2025春季生活闘争でめざしてきたもの
要約
2025春季生活闘争は,2024年に続き定期昇給相当込み5%台の賃上げが実現した。しかし,中小組合では引き上げ率・金額とも全体平均を下回り,格差拡大に歯止めをかけるには至らなかった点は課題である。賃上げの背景には物価高と人手不足,政労使の意見交換や地域での地方版政労使会議などでの賃上げ機運の高まり,連合の積極的な要求と情報発信があり,組織内での働きかけが成果につながった。さらに,有期労働者等の時給の引き上げ率では,全体の引き上げ率を上回るなど進展が見られた。2025春季生活闘争では,ここ2年の交渉で規模間格差が拡大したことを受けて,中小労組の格差是正分として1%以上を加え,賃上げ率で6%以上を目安とする取り組みを展開した。中小企業の賃上げ原資確保には適正取引と価格転嫁の実現が不可欠である。そのためにチェックリストの作成や価格交渉指針周知の展開,地方版政労使会議の開催などを通じた支援を行い,取引ルール整備の政策的成果として下請法改正(取適法)の成立と施行準備が挙げられる。連合がめざすのは,「賃金も物価も上がらない」という従来のノルムを変え,持続的な賃上げと格差是正を通じて中間層の復活と働く貧困層の解消を実現することであり,そのためには人への投資を拡大し,労務費を含む適正な価格転嫁・取引慣行の定着によって賃上げ原資を広げることが不可欠である。
2026年特別号(No.787) パネルディスカッション●賃上げをめぐる労働政策
2026年1月26日 掲載


