日本の中小企業に国際比較から見て例外的なことはない
要約
日本の企業の99%以上が中小企業であり,全労働者の5割の人が中小企業で働いている。ところが中小企業の生産性は大企業の6割にすぎない。したがって,中小企業の生産性が低く,利益が上がらず,賃金が低いことが問題とされている。それゆえ,中小企業を保護し,発展させなければならないと広く主張されている。ところが,どの国においても,中小企業は数において圧倒的だが,1人当たりの賃金や生産性が低い。日本の中小企業の賃金の対大企業格差が他の国に比べて特に大きいということはない。これは,日本の中小企業政策に日本固有の特段の政策は必要ないことを示唆する。そもそも,中小企業で働く人が多いから中小企業を保護し,その生産性を上げなければならないと考える必要は必ずしもない。なぜなら,中小企業で働く人が大企業に移っても,社会全体の生産性や賃金は上昇するからである。もし,そうならないとすれば,なぜ人々が生産性や賃金の高い大企業に移れないのかを明らかにしなければならない。問題は,日本において,生産性の低いところで働いている人々の割合が高いということである。より多くの人々が生産性の高い企業で働けば社会全体の生産性も高まる。すなわち,中小企業問題を,生産性の低い中小企業の生産性を高めることと捉えるか,人々がより生産性の高い企業で働くかの問題と捉えるかである。人手不足の時代に,そこで働いている人がたくさんいるから中小企業は大事だという発想が歪んでいる。
2026年9月号(No.794) 特集●中小企業を捉え直す
2026年8月25日 掲載


