論文要旨 韓国における若者雇用の現状と今後の課題
─教育から労働市場進入前後における現状に対する考察
若者は国の未来だと言われているが、韓国社会において若者を取り巻く環境はあまりにも厳しい。世界一厳しいと言われる受験戦争を終え、大学に進学しても理想の仕事を見つけることが難しく、多くの若者が失業状態に置かれていたり、パートやアルバイト等の非正規労働者として働いている。
韓国における大学進学率は、2013年現在70.7%で高い水準を維持しているにもかかわらず、4年制大卒者の就職率は55.6%で、およそ大卒者2人のうち1人は就職ができないという状況に追い込まれている。大卒者の労働市場は供給過剰状態であり、さらに大卒者が就職を希望する企業や職種、そして地域には偏りがあり、そのため雇用のミスマッチが生じている。
韓国の若者の雇用状況がなかなか改善されない理由としては、2008年以降のグローバル景気沈滞の影響による企業の新規採用減少、事業所の海外移転、大卒者の増加による需要と供給のミスマッチ、中高齢就業者の増加等が考えられる。
大企業の新規採用枠は制限されているのに、大卒者の大多数が就職先として大企業のみを目指している。一方、中小企業は必要な人材を確保できず、人材不足に悩んでいる。
ミスマッチを解決するために韓国政府は、中小企業の賃金水準や労働環境の改善、技術力や競争力のある中小企業の育成、若者の創業支援のための関連政策を積極的に展開すべきである。
2015年特別号(No.655) 自由論題セッション●第1分科会(労働政策、ワークルール)
2015年1月26日 掲載