資料シリーズ No.144
若年者の就業状況・キャリア・職業能力開発の現状②
―平成24年版「就業構造基本調査」より―

平成26年 9月10日

概要

研究の目的

2007年実施の『就業構造基本調査』と比較し、若者の就業状況についての変化を探る。

研究の方法

総務省統計局が2012年に実施した『就業構造基本調査』の二次分析を実施し、すでにとりまとめた『若年者の就業状況・キャリア・職業能力開発の現状―平成19年度「就業構造基本調査」特別集計より―』(資料シリーズNo.61)と比較可能なかたちで分析を行った。

主な事実発見・政策的インプリケーション

  1. 2007年と比べると、非求職無業者が長期滞留化する可能性が見出されており、かつ離職からの期間が長くなると活動意欲が低下することから、離職1年以内の働きかけが重要である。
  2. 初職正社員での移行が減少していることから(図表)、2つの点が指摘できる。

    第一に、高卒については、職業訓練の周知・活用のいっそうの促進である。労働政策研究・研修機構(2010)によれば、就職指導担当者のうち4割程度しか職業訓練等についての情報を生徒に周知していない。就職指導担当者への働きかけが求められる。

    第二に、高卒学歴には、大学等中退者が含まれていることが、初職正社員率を押し下げていることも推測できる。高等教育進学率が高まるにつれて、中退者の数も増加している。大学等中退者に対する政策的な支援も必要である。

  3. 非典型から正社員への移行には、2年以上非正規前職、初職正社員経験、自己啓発の効果が見られることから、能力開発を支援する際には、非典型でも就業を継続することや、非正規の間の自己啓発を行うこと、正社員であれば受けられたであろう初期訓練型の能力開発を補償するような政策が有効だと考えられる。
  4. 擬似コーホートによる分析から、パート・アルバイトから正社員へ移行するには、景気拡大期に遭遇することが重要であることが明らかになった。有効求人倍率が拡大を続けているような景気の良い時期こそ、正社員への移行をさらに支援する政策は効果があると考えられる。
  5. 最近3ヶ月に非典型から正社員になった者に限った分析によると、ややサンプルサイズが小さいものの、非典型から正社員への移行促進に公共職業能力開発施設の活用がプラスであることから、公共職業訓練機会の効果が期待される。

図表 初職正社員比率の変化(高卒、大卒)

図表

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政策への貢献

労働政策審議会資料として活用 (職業安定分科会雇用対策基本問題部会)

本文

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研究の区分

プロジェクト研究「経済・社会の変化に応じた職業能力開発システムのあり方についての調査研究」

サブテーマ「若年者の職業への円滑な移行に関する調査研究」

研究期間

平成25年度~26年度

執筆担当者

堀 有喜衣
労働政策研究・研修機構 主任研究員
小杉 礼子
労働政策研究・研修機構 特任フェロー
喜始 照宣
労働政策研究・研修機構 臨時研究協力員

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