年金改革に対して労働組合反発
2003年12月6日、3大総連合のCGIL(イタリア労働総同盟)、CISL(イタリア労働者組合同盟)およびUIL(イタリア労働連合)が、中道左派連合「オリーブの木」とともに、予算法および年金改革に対する反対運動をローマで行った。労働組合と警察との間で参加者数について齟齬があるものの(労組側の算定では150万人、警察側によると20万~25万人)、いずれにせよ、今回のデモンストレーションに多くの労働者が参加し、労働組合側が固く団結していることは事実である。
労働組合の要求は、
- 独立労働者の拠出率引き上げ(労働組合は、独立労働者が優遇されていると考えている)、
- 社会保障財政と社会扶助財政との分離、そして、
- 政府の提案する社会保険料納付期間の37年への引き上げおよび年金受給開始年齢の65歳への引き上げではなく、ディーニ改革(1995年年金改革)のシステムの維持(社会保険料納付期間の現状(35年間)維持、および、年金受給開始年齢の60ないし62歳への引き上げ)、
の3点である。政府は、これらの点について改革案を修正するつもりはないとしているが、次回の選挙が改革の対立に大きく影響することは間違いない。
いずれにせよ、少なくとも現段階で、政府は社会保障改革を最重要課題と考えている。ただし、ロベルト・マローニ労働社会政策大臣は、法案の承認が2004年1月末か2月初めにずれ込むことを公式に認めている。政府と労使との合意の道を探るには、ここからさらに2カ月以上必要であろう。
政府の考えによると、改革案のなかでも優先すべき事項は、年金受給最低年齢を引き上げることと、年金財政を国内総生産の0.7%以下に抑えることである。ジャンフランコ・フィーニ副首相は、デモに屈するつもりはなく、反対派と対決する準備はできていると断言している。中道右派は、反対派を攻撃して、「左派からは、政府の提案に対する代案がなんら提示されていない」と批判している。一方、CISL指導者のサーヴィーノ・ペッツォッタは、社会保障改革の仲裁に対する友好路線を捨て、強硬的な対立路線をとるCGILと協調する可能性を示唆している。
2004年3月 イタリアの記事一覧
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