フリーポート鉱山において頻発する事故と労働災害
10月9日の土砂崩れ事故、11月22日のガス漏れ事故に引き続き、12月12日にも土砂崩れの事故が起きたインドネシア、パプア州のフリーポート社。これらの事故は、労働者数人が死亡する労災事故に至っている。この事故の影響を受けて銅と金の採掘は一時ストップし、同社との合弁事業で銅製錬所を運営する日系企業は、生産計画の調整を検討している。
インドネシアの東の端に位置するパプア州。アメリカ資本の鉱山会社Freeport McMoRan社のグラスバーグ鉱山採掘場において、10月9日、土砂が崩れる事故が発生。8人の死者を出した(負傷者のうち1人は両足を切断する重症)。
11月22日にはガス漏れ事故が起き、2人が死亡しほかにも多くの労働者が事業所内の診療所で手当を受けた。さらに12月12日に、10月と同じ採掘場において、再び土砂崩れが起こった。けが人は出なかったものの、15万トンもの土砂が崩れ、採掘場所は数カ月閉鎖される見通しである。そしてその結果、生産量に影響が出てくることが予想されている。
今回の土砂崩れは、10月、11月と続いて起こった事故により減退していた生産稼働率が平常に戻り、当初目標を達成可能との発表が12月10日になされた矢先の出来事であった。
10月の事故では、同社運営部門長の過失が原因との見方が有力である。採掘の角度が急すぎるために事故の可能性が指摘されていたにもかかわらず、責任者はこれを無視し採掘を続けていたという。
ちなみに、インドネシアにおいて労働安全衛生行政は、労働安全衛生マネジメントシステム(OHSMS)という枠組みで取り組んでいる(詳しくは、中央労働災害防止協会の中欧労働災害防止協会を参照)。
フリーポート社の事故は日本の企業への影響を及ぼしている。フリーポート社との合弁事業で、銅製錬所を運営する三菱マテリアルの銅事業カンパニーは、銅地金生産計画を減産する調整を検討している。
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