(香港特別行政区)失業率4期連続低下で7.5%

カテゴリー:雇用・失業問題統計

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  • 国別労働トピック:2004年3月

重症急性呼吸器症候群(SARS)の影響もあって、2003年7月期(5-7月期)に最悪の8.7%を記録してから、8月期と9月期に2期連続で低下した失業率は(2004年1月香港労働情報参照)、景気の回復の影響もあり(同月記事「香港経済、景気後退を脱して確実な成長軌道に回復」を参照)、10月期と11月期にさらに低下して4期連続の低下となり、8%を割って7.5%になった。

政府発表の11月17日の統計によると、8-10月期の失業率は8%(前期比0.3ポイント低下)で、ほぼSARS禍以前の状態に戻り、失業者数は労働人口348万5000人中28万2000人(前期比1万5000人減少)、不完全雇用率3.5%(前期比0.1ポイント低下)だった。また、被雇用者数は8200人増加して320万3000人となったが、これは1月以来の増加である。

この10月期の労働市場の好転には、旅行者制限の緩和による中国本土からの観光客の大幅な増加が特に寄与している。旅行者に関するこの時点での最新の統計である9月の統計によると、月間最多数の147万人の旅行者が香港に来訪し、このなかで中国本土からの旅行者が最も多いが、ビジネスの来訪者も再び増え始めており、ホテル等の旅行関連業種で雇用が伸びている。

これに対して12月18日発表の政府統計では、前期の傾向を踏襲して労働市場はさらに好転し、9-l1月期の失業率は7.5%で、前期比で0.5ポイント低下し、これは過去20年間で最大の前期比での低下だった。また、この失業率の低下は代表的エコノミストの予測7.5~7.9%を大きく上回り、驚きの声も上がっている。失業者数は、労働人口348万2000人中26万4000人、不完全雇用率は3.4%だった。また被雇用者数は1万4000人増加して、321万7000人だった。

失業率の低下は、香港市民の消費拡大と観光業の好転によって、消費関連部門で特に顕著だったが、雇用の拡大はすべての主要部門で見られ、小売業、建設業、輸出・輸入業、通信部門、企業サービス部門、装飾・メンテナンス部門、社会・人材サービス部門等でも見られた。エコノミストによると、これは観光業の好転に誘導された労働市場の好転が、他の部門にも及び始めたことを示している。

この労働市場の好転についてヘンリー・タン財務長官は、統計は香港経済の好転の反映で、失業率の低下は、市民の将来の経済に対する自信が増大し、好転する経済の需要に応じるために雇用が創出され始めたことの表れだとしている。ただ、職工会連盟(CTU)などから、失業率が依然高いことが危惧されており、製造業の余剰人口を吸収できない香港の産業構造を危惧する向きもあり、タン長宮も、産業構造の転換を香港の労働市場が抱える課題だとしており、この課題の改善に向けた努力の必要を強調している(注1)。

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