(香港特別行政区)香港経済、景気後退を脱して確実な成長軌道に回復

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  • 国別労働トピック:2004年3月

重症急性呼吸器症候群(SARS)の影響で2四半期連続で国内総生産(GDP)が前年同期比でマイナス成長となり、景気後退(リセッション)に陥っていた香港経済は、2003年第3四半期(7-9月期)に予測を大幅に上回るGDP4%成長(前年同期比)を記録し、景気後退を脱するとともに確実な成長軌道に回復してきた。

香港ではSARSの影響で、2003年前半に1998年以来の景気後退(前年同期比で2四半期連続のマイナス成長を指標とする)に陥り、GDP成長は特に第2四半期(4-6月期)には前年同期比で-5.1%だった。だが、このところの経済指標の好転が考慮されて成長予測が上向き、代表的な14人のエコノミストによる第3四半期の成長予測は前年同期比で平均2.8%だった。しかし11月28日の政府発表の統計では、GDP成長はこの平均予測を大幅に上回り、前年同期比で4%上昇を記録した。

政府発表の統計で回復を示す指標として特に顕著だったのは、2年間減少を続けていた民間消費支出が第3四半期に前年同期比で2%増大したことである。香港では民間消費支出はGDPの60%を占めるが(その他は、政府支出10%、民間増資25%で、残りは輸出)、多くのエコノミストによると、消費着の自信回復、株式市場での株価の上昇、失業率の低下等が作用して、民間の消費支出が増大したという。また、第3四半期の輸出総量も、前年同期比で10%伸びている。

この政府発表統計の民間消費支出の増大を裏づけるように、12月8日発表の人口統計局の統計では、2003年10月の小売販売が前年同月比で、総額で3.8%、総量で4.6%伸びている。また、2003年8-10月期の販売総量は前年同期比で6.3%伸びている。

このほかに、12月19日発表の破産管財局の数字によると、11月の個人破産件数とその申し立て件数は、それぞれ939人(前月比で約半分)、1417件(前月比で14%減少)で、過去2年聞で最小の数字となっており、これも香港経済が予測されたよりも力強い回復傾向を示している証拠を提供している。

このような経済の予測を超える成長軌道への回復をもたらした要因として、多くのエコノミストは、中国政府との経済貿易協力強化(CEPA)(海外労働時報2003年9月号参照)によって香港の投資活動が活発化したこと、団体だけでなく、個人旅行を認めたことにより、中国本土からの旅行者が大幅に増加して、それによる消費も拡大したことを挙げており、中国経済の驚異的な成長とともに(2003年GDP成長率は、中国全土9.1%、上海11.6%、広東省13%)、これらのことは今後も積極的な影響を及ぼすと予測している。

このような経済の好転とともに、12月初めに主要な投資銀行の2004年の香港GDP成長予側は軒並み上方修正されており、メリル・リンチは5.4%から6.3%に、ゴールドマン・サックスは5%から6%に、モルガン・スタンレーは3.5%から4.5%に修正している。また、会員4000人を擁する有力使用者団体の1つである香港商工会議所は、成長予測を12月10日に3.5%から3.8%に上方修正しており、さらに年末の12月23日には、国際通貨基金(IMF)が香港の成長予測は4.5~5%との数字を発表している。

ちなみに、香港商工会議所が2003年10月半ばから11月半ばにかけて行った年次調査では、調査対象企業の20%が2004年のビジネス条件が好転すると回答し(2002年の調査では3.1%にすぎなかった)、2005年については43.6%が好転すると回答した。

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