労働党政権に対する2大中央労組の見解
ブラジル地理統計資料院(IBGE)と中央労組のDIEESEが、2003年10月の失業率と就労者の収入低下データを発表した後、2大中央労組は、いずれも今後の労働市場に対する憂慮を表明したが、それぞれの政治的意図を含めているために、発表内容は大きく異なっている。
労働党と直結しているCUTのルイス・マリーニョ委員長は、「現在の状況からして2004年上半期中も困難が予想される。今後は経済成長が起こっても、企業は超過勤務で間に合わせて、雇用は増加しないかもしれない。したがって重要なことは労組が行政を監視していくことだ」と発表した。
ただ、従来より労働党と思想的に一心同体のような言動をとってきた中央労組のCUTが、12月5日の全国の首脳会議で、労働党政権1年目は、大部分の経済政策に適切な方針が採用されたが、結果に満足しているわけではないとの判断を発表した。すでに政界進出準備中のロベルト・マリーニョ委員長は発言を控えたが、ジョン・フェリシオ前委員長(現総務)は、高率失業、労働者の所得低下を前にして、労組指導者として満足するわけにはいかないと評価した。
これに対して、労働党やCUTとは政治的に対立している社会経済研究機関であるフォルサ・シンジカルのパウロ・シルバ委員長は、「労働党政権によって社会的行き詰まりと絶望的状態に突入しつつあることを、データははっきりと提示しており、高金利、政府財政引き締め、雇用拡大政策不在という3大欠陥行政に固執する労働党政権とその経済チームの頑固な政策の結果だ」と非難した。またパウロ・シルバ委員長は、自身が所属するブラジル民主労働党のテレビ無料政治宣伝で労働党の中央や地方自治体行政の攻撃を行うなど、次期政界進出を準備している。
2004年3月 ブラジルの記事一覧
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