年齢差別で画期的判決

カテゴリー:高齢者雇用労使関係

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  • 国別労働トピック:2004年1月

雇用控訴審判所は2003年10月、65歳以上の労働者は公的年金を給付されているため不公正解雇の申し立てや剰員整理手当の請求はできないとする判断を示した。

衣料産業で解雇された72歳と75歳の2人の男性労働者が2002年に、65歳を超えても働き続けるのは女性よりも男性のほうがはるかに多いのだから、これは雇用差別に当たるとして雇用審判所に訴えを起こし、主張が認められていた。ところが、パトリシア・ヒューイット貿易産業相が雇用控訴審判所に控訴すると、雇用控訴審判所は雇用審判所の判決を覆した。年齢に基づく雇用差別に対する訴えは数千件起こされており、今回の決定がそれらに影響を与える可能性があるが、今回の当事者2人がさらに控訴するかどうかにかかっている。

今回の判決を受けてエイジ・コンサーンは、政府は中高年労働者に矛盾したメッセージを発していると非難し、また今回の判決は、職場での年齢差別が今なお受け入れられていることの証左であり、65歳以上の労働者に対する背信行為だと述べている。

一方、年齢に関する使用者フォーラム(EFA)は、性差別の申し立てを行うことで不公正解雇に関する上限年齢を撤廃しようとするのは、中高年労働者の置かれている状況を改善する最良の方法ではなく、また今回のような判決はかなりの混乱をもたらすと述べている。EFAはさらに、政府はEU指令によって職場での年齢差別を防止する法律を2006年に導入しなければならないこと、また使用者はそうした法律に対する計画を立ててはいるが、法律施行後すぐに雇用慣行の抜本的な変化がもたらされるわけではないこと、を指摘している。

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