進む労働市場の二極化
労働市場の二極化が進行している。低所得と高所得の職種が増大しているのに対して中所得の職種の割合が減っていることが、ロンドン・スクール・オブ・ビジネス(LSE)の調査で分かった。技術の進歩によって技能労働が経済全体に均一に拡大するとの従来の見方が過度に単純であることを示唆している。
高所得・高技能労働は金融やビジネス・サービスの専門職・管理職で増大し、低技能労働は主に低賃金のサービス産業で増大している一方で、事務職や熟練肉体労働などのいわば「中所得・中技能」職種は減っており、こうした労働市場の二極化傾向が進めば、賃金格差も拡大することが予想される。
ただ、もし中技能労働の需要が減って低技能労働の需要が増えれば、後者の賃金は相対的に上昇するはずだが、実際にはそうした傾向は見られず、調査報告はその理由は不明だとしている。
イギリスの労働市場のこうした特徴は、OECDの『2003年雇用情勢レポート』でも指摘されている。それによると、イギリスでの過去10年間の雇用創出パターンは、低賃金労働の相対的に強い伸びによって特徴づけられるが、これは、相対的に賃金の高い産業や職種のほうが急速に増大している世界的傾向と逆行している。賃金水準を団交よりも市場によって決定するなど、労働市場のフレキシビリティーを進める諸施策が賃金格差の増大を引き起こしている可能性があると、同レポートは述べている。
2004年1月 イギリスの記事一覧
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