メールマガジン労働情報 No.2104

■□――【メールマガジン労働情報/No.2104】

新たな成長戦略を来夏に策定、日本成長戦略本部が初会合/政府 ほか

―2025年11月7日発行――――――――――――――□■

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  本号の主な内容
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【行政】新たな成長戦略を来夏に策定、日本成長戦略本部が初会合/政府 ほか
【統計】9月の実質賃金、前年同月比1.4%減で9カ月連続のマイナス/毎勤統計速報
【労使】年末一時金(第1回)・企業内最低賃金協定(最終)回答集計結果を公表/連合 ほか
【動向】職場のデジタル化、4人に1人が「不安を感じる」/民間調査 ほか
【企業】外国人材の「見える評価」制度を開始、「ジョブカード」制度を活用/CSSグループ ほか
【海外】所属企業に左右される父親の育休行動と母親の復職傾向/ドイツ ほか
【イベント】『2025年最新年収の壁セミナー』を開催/ラボール学園・NPO法人あったかサポート

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【JILPTからのお知らせ】
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☆事務職員(中途採用)の募集について(令和7(2025)年度採用)

労働政策研究・研修機構では、情報システムを担当する事務職員を募集します。
詳細は転職・求人サイト「Type」をご覧下さい。
【応募はこちらから】https://type.jp/job-1/1349650_detail/?pathway=5

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【行政】
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●新たな成長戦略を来夏に策定、日本成長戦略本部が初会合/政府

政府は4日、「日本成長戦略本部」の初会合を開催した。官民連携による戦略的投資を通じて、世界共通の課題
解決に資する製品・サービス・インフラの提供を目指し、経済成長の実現を図る。成長戦略の検討課題として、
「AI・半導体」「造船」など17の戦略分野を「危機管理投資」・「成長投資」の対象として設定したほか、「人
材育成」「労働市場改革」「賃上げ環境整備」など8つの分野横断的課題とあわせて、具体策を議論し、来年夏
に新たな成長戦略を取りまとめる。
高市首相は本部開設の訓示において、「日本成長戦略の肝となるのが『危機管理投資』」、「世界各国、官民で
しっかりと課題解決型の投資を進めている」、「様々なリスクを最小化するための製品・サービス、インフラ。
これを他国に先駆けて日本が開発をし、国内でも活用する。そして、海外にも展開していく」、「それぞれの持
ち場で知恵を振り絞り、一刻も早く日本が『強い経済』を取り戻し、成長路線に乗せる必要がある」と述べた。
https://www.cas.go.jp/jp/seisaku/nipponseichosenryaku/honbu/dai1/gijisidai.html
▽成長戦略の検討課題(案)
https://www.cas.go.jp/jp/seisaku/nipponseichosenryaku/honbu/dai1/shiryou4.pdf
▽首相訓示
https://www.kantei.go.jp/jp/104/actions/202511/04kanbankake.html

●「生涯現役地域づくり環境整備事業情報交換会」を開催/厚労省

厚生労働省は11月17日(月)、「令和7年度生涯現役地域づくり環境整備事業情報交換会」を開催する。同省で
は、自治体を中心とした協議会により、地域のニーズを踏まえた、高年齢者等の雇用・就業支援の取組を支援す
るとともに、それを持続可能にするモデルの構築と他地域への展開や普及を図ることを支援する「生涯現役地域
づくり環境整備事業」を、現在6協議会で実施している。
情報交換会では、事業の実施にあたり重要な取組みについて、有識者による基調講演、事業を実施している地域の
事例発表、ディスカッションを行い、各取組みの質の向上とともに情報展開を図る。
地域の高年齢者雇用や就業等に関心のある人は、オンラインによる一般参加可。参加無料。
https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_65417.html
▽申込ページ(事業委託先サイト)
 https://forms.gle/RRJSKbnmh6te6J7L8

●NHKビジネスクリエイト不当労働行為再審査事件で初審命令を維持/中労委

会社が自動車運転職の組合員に対し昇給を行わなかったことや賞与において運転職の平均を下回る業績加算を支
給したことなどが不当労働行為であるとして救済申立てがあった事件の再審査事件において、中央労働委員会は
10月28日、会社の対応は当該組合員の勤務態度や業務への取組姿勢等による評価に基づくもので、その評価には
相応の根拠がありその内容も不合理なものといえないことから、組合員であることなどをもってされた取扱いで
あると認めることはできず不当労働行為には当たらないとして、初審命令を維持し組合の再審査申立を棄却した。
https://www.mhlw.go.jp/churoi/futouroudou/dl/r071029-1.pdf

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【統計】
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●9月の実質賃金、前年同月比1.4%減で9カ月連続のマイナス/毎勤統計速報

厚生労働省は6日、9月の「毎月勤労統計調査」結果(速報、事業所規模5人以上)を公表した。現金給与総額
指数を消費者物価指数で割った実質賃金は、前年同月比1.4%減で、9カ月連続のマイナス。現金給与総額は同
1.9%増の29万7,145円、うち一般労働者が38万1,898円(同2.3%増)、パートタイム労働者が10万9,659円
(同1.9%増)で、時間当たり給与は2.8%増の1,388円だった。
併せて公表された2025年夏季賞与では、賞与支給のある事業所の1人当たり平均は42万6,337円(前年比2.9%増)
だった。
https://www.mhlw.go.jp/toukei/itiran/roudou/monthly/r07/2509p/dl/pdf2509p.pdf
▽統計表等
https://www.mhlw.go.jp/toukei/itiran/roudou/monthly/r07/2509p/2509p.html

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【労使】
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●年末一時金(第1回)・企業内最低賃金協定(最終)回答集計結果を公表/連合

連合は6日、年末一時金(第1回)・企業内最低賃金協定(最終)回答集計結果を公表した。年末一時金(組合
員1人あたり加重平均)は、72万1,878円(昨年同時期82万7,478 円)、2.56月(同2.56月)。
企業内最低賃金協定(回答組合の単純平均)は、協約があり基幹的労働者の定義を定めている場合で月額19万4,886
円/時間額1,166 円。基幹的労働者の定義を定めていない場合では月額 18万7,079 円/時間額1,138 円となった。
https://www.jtuc-rengo.or.jp/activity/roudou/shuntou/2025/yokyu_kaito/kaito/nenmatsu/press_release_20251106.pdf

●「連合・賃金レポート2025<サマリー版>」を公表/連合

連合は10月28日、「賃金レポート2025<サマリー版>」を公表した。「2024年賃金構造基本統計調査」(賃金セ
ンサス)のデータを使い、賃金水準が底を打った2013年以降の動向を中心に分析。2014年以降、それまで減少が
続いていた正社員比率が横ばいに転じ、中途採用者比率が上昇するなど、労務構成に変化がみられると指摘。若
年層の賃金上昇が顕著なことも特徴の一つだとしている。
https://www.jtuc-rengo.or.jp/activity/roudou/shuntou/2026/wage_report/wage_report_summary.pdf

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【動向】
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●職場のデジタル化、4人に1人が「不安を感じる」/民間調査

エン・ジャパンは5日、同社サイト「エン派遣」のユーザーを対象とした「職場のデジタル化」調査(2025)
を発表した。派遣先の職場で「デジタル化が進んでいる」と感じているのは66%で、デジタル化のメリットは
「データの保管・管理が楽になる」が最も多かった。23%が「職場でAIが導入されている」と回答し、業務で
の活用シーンは「文章作成・要約」が最多。職場でデジタル化が進むことに対し、4人に1人(26%)が
「不安を感じる」と回答。今後身に付けたいスキルや知識は「AIツールの活用」64%、「データ分析」
41%が上位だった。
https://corp.en-japan.com/newsrelease/2025/43616.html

●1―10月の「人手不足」倒産323件、年間最多を更新/民間調査

東京商工リサーチは5日、2025年1ー10月の「人手不足」関連倒産の結果を公表した。倒産件数は、323件(前
年同期比30.7%増)、年間最多だった2024年の292件を2カ月残して上回った。年間300件超は、2013年の調査開
始以降で初めて。内訳は、「従業員退職」が95件(同53.2%増)、「人件費高騰」114件(同37.3%増)。より
良い待遇を求めて従業員の流動化が進むが、新たな人材確保や従業員の退職阻止に向けた賃上げが、経営体力が
脆弱な企業の資金繰りを圧迫しているとみている。
https://www.tsr-net.co.jp/data/detail/1201965_1527.html

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【企業】
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●外国人材の「見える評価」制度を開始、「ジョブカード」制度を活用/CSSグループ

ホテル・レストランの食器洗浄・厨房衛生を支えるスチュワード業務や調理受託のフードサービス業務を展開
するCSSグループは5日、外国人材の就労成績を“見える化”する新制度を10月にスタートしたと発表した。
厚生労働省が様式を定め、「生涯を通じたキャリア・プランニング」と「職業能力証明」の機能を担うツール
として普及推進している「ジョブカード制度」を活用し、外国人材向けに評価シートをアレンジしたもの。
まず評価シートを提示することで、企業が求める働き方を明確にすることを目的の第一とし、外国人材がキャ
リア活動を進める際に履歴書や職務経歴書とともに提出することで、彼らのキャリアスタンスを見える化する
“信頼の証”として活用できるとしている。
https://pdf.irpocket.com/C2304/LgpJ/Wca0/wlX0.pdf

●NTTデータ、全社員20万人が「生成AI」で価値提案/27年度目標

NTTデータグループは10月29日、2027年度までに全社員約20万人を生成AI(人工知能)を使って実践的なビジネ
ス提案ができる人材に育成することを目指すと発表した。今月時点で7万人の育成を達成したため、目標を大幅
に更新。顧客提案やサービス開発での生成AIの活用を広げ、ビジネス機会創出につなげる。
NTTデータグループでは、習熟度を4段階で定義した独自の研修プログラムを24年から展開。このうち2段階目
に当たる、顧客に対して職種などに基づいた価値提案ができる研修を終えた人を生成AI人材として定義しており、
全社員の能力をこのレベルまで引き上げることを目指す。従来は26年度末までに3万人の育成を目標としていた。
今後はさらに、コンサルタントや営業などより専門性を持ち高度な技術を持つ人材の拡大も狙う。
(時事通信 2025年10月29日)※リンク先なし

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【海外】
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●国別労働トピック/JILPT

<ドイツ>
▽所属企業に左右される父親の育休行動と母親の復職傾向

ドイツ労働市場・職業研究所(IAB)が公表した最新の分析によると、父親が育休を取得するか否かは、所属企
業の特徴に大きく左右されることが明らかとなった。家族に配慮した支援制度を整備している企業ほど父親の育
休取得割合が高く、そうでない企業では低くなる。この傾向は、産業特性や個人属性を統制した分析でも変わら
ず確認された。さらに、父親が長期間の育休を取得するほど、母親の職場復帰が早まる傾向も示された。以下で、
その概要を紹介する。(JILPT調査部)
https://www.jil.go.jp/foreign/jihou/2025/11/germany_01.html

●フォーカス/JILPT

<ドイツ>
▽コロナ危機下におけるドイツの事業所協定・労働協約による雇用維持

第1節 問題提起
これまでの大きな経済危機において、ドイツの労働市場は極めて高い安定性を示してきた。2008/09年の金融危
機の際も、コロナ禍によって引き起こされた危機の際も同様である。経済への打撃が大きかったにもかかわらず、
操業短縮労働(Kurzarbeit)(Bellmann et al.2020)や雇用同盟(Bundnisse fur Arbeit)といった経済政策
(Pusch, Seifert 2025)が迅速かつ大規模に導入され、失業率の急激な上昇を抑制することに成功した。
こうした対策の合意および実施は、主として「内部柔軟性」の原則に基づいている。すなわち、雇用維持または
事業拠点維持のための事業所協定(Betriebsvereinbarung)は、法令に定められた共同決定権および労働協約に
基づいて締結されている。
https://www.jil.go.jp/foreign/labor_system/2025/11/germany.html

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【イベント】
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●『2025年最新年収の壁セミナー』を開催/ラボール学園・NPO法人あったかサポート

ラボール学園とNPO法人あったかサポートは11月29日(土)、『2025年最新年収の壁セミナー』を京都市で開催する。
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https://www.labor.or.jp/gakuen/archives/12333