メールマガジン労働情報 No.2058

■□――【メールマガジン労働情報/No.2058】

年金改革関連法案を閣議決定、被用者保険の適用拡大など/政府 ほか

―2025年5月21日発行――――――――――――――□■

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  本号の主な内容
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【行政】年金改革関連法案を閣議決定、被用者保険の適用拡大など/政府 ほか
【統計】2025年1~3月期のGDP実質成長率、年率0.7%減/1次速報値
【労使】「年金制度改正法案の閣議決定」に対する事務局長談話/連合 ほか
【動向】正社員不足の企業51.4%、4月としては過去最高/民間調査 ほか
【企業】希望退職1,500名募集/ジャパンディスプレイ
【海外】「高関税政策」に対する労使の反応/アメリカ
【イベント】「個別労働紛争解決研修・基礎研修」/全基連 ほか

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【行政】
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●年金改革関連法案を閣議決定、被用者保険の適用拡大など/政府

政府は16日、年金制度改革関連法案を閣議決定した。主な改正内容は、(1)パートらへの適用拡大として、
月8.8万円(年収106万円相当)の賃金要件撤廃(公布の日から3年以内)、現行51人以上の企業規模要件を2027
年10月から段階的に引き下げ2035年10月に撤廃、労働者の保険料負担を50%以下とする時限特例と労使折半超の
保険料を負担した事業主への助成金による支援、常時5人以上の個人事業所の非適用業種(宿泊、飲食サービス
等)への適用、(2)在職老齢年金の支給停止基準額の62万円への引き上げ(2026年4月)、(3)標準報酬月額の
上限(65万円)の段階的引き上げ(2029年9月に75万円)、(4)遺族厚生年金の支給対象に60歳未満の男性を
追加し、男女格差の解消を図る、など。報酬比例部分のマクロ経済スライドによる給付調整については次期財
政検証の翌年度(2030年度を予定)まで継続する。
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000147284_00017.html
▽改正法案の概要
https://www.mhlw.go.jp/content/12500000/000636611.pdf

●地方創生巡り経済団体と意見交換/政府

政府は16日、地方創生2.0に関する経済団体との意見交換を開催した。首相は冒頭あいさつで、人口減少に伴い、
従来の経済システムが機能しなくなっているとして「地方創生2.0」によって、地方の魅力向上や産業のスマート
化による高付加価値型産業の創出を目指すと述べた。実現にはAIやデジタル技術を活用したインフラ整備が重
要であり、民意の力なくして成功が難しいとしてトップらに協力を求めた。経済界からは行政区域にとらわれな
い新たな道州圏域構想や地域経済の好循環促進支援策などの資料が提出された。
https://www.cas.go.jp/jp/seisaku/atarashii_chihousousei/keizaidantai_ikenkoukan/gijisidai.html
(首相官邸HP)
https://www.kantei.go.jp/jp/103/actions/202505/16ikenkoukan.html
(首相官邸エックス)
https://x.com/kantei/status/1924281598469648681
(政府広報オンライン動画)
https://www.gov-online.go.jp/press_conferences/prime_minister/202505/video-297498.html

●経済社会情勢の変化に対応したキャリコン中間とりまとめ骨子(案)など議論/厚労省研究会

厚生労働省は16日、第4回「経済社会情勢の変化に対応したキャリアコンサルティングの実現に関する研究会」
を開催し、中間とりまとめ骨子(案)について議論した。労働市場の変化や職業人生の多様化に伴い、キャリ
アコンサルタントへの期待が高まっているとし、「今後必要な能力」として、多様な情報を活用する能力、
企業内労働者のキャリア自律の促進や人材育成を支援する能力をあげ、「労働市場やスキルの最新知識」
「的確なマッチング支援」「AI活用」など、様々なスキルを身につける必要があるとしている。
https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_57864.html
▽中間とりまとめ 骨子(案)
https://www.mhlw.go.jp/content/11801000/001488287.pdf

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【統計】
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●2025年1~3月期のGDP実質成長率、年率0.7%減/1次速報値

内閣府は16日、2025年1~3月期の四半期別GDP(国内総生産)1次速報値を公表した。GDP成長率(季節調整済
前期比)は、実質がマイナス0.2%、年率換算でマイナス0.7%。需要項目別では、民間最終消費支出が実質0.0%
(前期は0.1%)、うち家計最終消費支出(除く持ち家の帰属家賃)は実質0.0%(同0.1%)。雇用者報酬の
伸び率は実質マイナス1.3%、名目0.6%。2024年度のGDPも公表され、実質成長率はプラス0.8%だった。
https://www.esri.cao.go.jp/jp/sna/data/data_list/sokuhou/gaiyou/pdf/main_1.pdf
▽統計表
https://www.esri.cao.go.jp/jp/sna/data/data_list/sokuhou/files/2024/qe241/gdemenuja.html

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【労使】
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●「年金制度改正法案の閣議決定」に対する事務局長談話/連合


連合は16日、「年金制度改正法案の閣議決定」に対する事務局長談話を発表した。厚生年金積立金の活用による
年金の給付水準底上げが見送られたことについては、基礎年金の給付水準底上げは、被用者保険の適用拡大や、
国民年金の保険料拠出期間の延長、国庫負担財源の確保が不可欠とし、十分に議論すべきであるとした。被用者
保険の適用拡大については、2030年の次期改正までに企業規模要件の撤廃、個人事業所(5人以上)への適用を
行い、着実に進めることを求めた。第3号被保険者制度については、働き方に中立的な社会保険制度とはいえな
いことから、今後の道筋をつけるべきであるとしている。
https://www.jtuc-rengo.or.jp/news/article_detail.php?id=1349

●全国一律最賃の必要性強調/全労連

全労連は16日最低生計費試算調査結果を発表した。最低生計費(25歳男性・月150時間労働換算)を最低賃金が
最も高い東京都と秋田市で比較すると、東京1,664円、秋田1,691円で大都市と地方で変わらないと指摘。最低
生計費をまかなえる一律の最賃額として「いますぐ1,500円、めざせ!1,700円」との目標を掲げた。調査は、
27都道府県・約4万9,000人を対象に実施、7割の人が持っている物や、余暇、社会保険などの費用を積み上げ
るマーケット・バスケット方式で実施した。
https://www.zenroren.gr.jp/old/jp/saichinchecker/lp.php
▽2024最低生計費調査総括表(基本)2025年4月改定版
https://www.zenroren.gr.jp/campaign/最低生計費試算調査の結果一覧~自立して生活す/

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【動向】
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●正社員不足の企業51.4%、4月としては過去最高/民間調査

帝国データバンクは19日、「人手不足に対する企業の動向調査」結果を公表した。2025年4月時点の企業が人手
不足を感じる割合は、正社員51.4%となり4月としては過去最高だった。非正社員も30.0%と高止まりし、慢性
的な人手不足が続いている。正社員業種別では、特に「情報サービス」の69.9%が最多、「メンテナンス・警備・
検査」69.4%が続く。「2024年問題」から1年が経過したなかで、建設業(68.9%)、道路貨物運送業(72.2%)も
全業種平均(51.4%)を大きく上回っている。非正社員では「飲食店」が65.3%と最高だが、前年、前々年から
低下傾向。「旅館・ホテル」(51.8%)も同様の傾向。今後については、女性やシニア層の就業増にもかかわら
ず、人手不足割合は高止まりが長期化すると予想。リスキリングや組織への定着・戦力化を促進する取り組み
(オンボーディング)を通じた質の高い人材確保が急務としている。
https://www.tdb.co.jp/report/economic/20250519-laborshortage202504/

●25年1~5月「早期・希望退職」募集人数、前年2倍に急増/東京商工リサーチ

東京商工リサーチが18日発表した上場企業の「早期・希望退職募集」状況によると、2025年1~5月に早期・希望
退職を募集した企業は19社と前年同期の27社から約3割減少したが、募集人数は8,711人と、前年の約2倍に急増
した。大手メーカーを中心に、中長期的な競争力強化や業績改善のための構造改革の動きが強まっており、
この状況が続くと、2025年の「早期・希望退職募集」は2000年以降、最多だった2009年の2万2,950人を上回る
可能性もあるとしている。
https://www.tsr-net.co.jp/data/detail/1201396_1527.html

●介護職の5割 年収300万未満表/民間調査

マイナビが運営する介護人材紹介サービス「マイナビ介護職」は12日、登録会員対象の調査「介護職白書2024年
度版」を発表した。介護職の約5割が年収300万円未満、正社員でも年収500万円以上は4.4%だった。給与に満足
していない介護職員が6割を超えた一方、満足との回答も前年から増加し、「前年より処遇改善に関する対応を
受けた」との回答は8.1ポイントの増の60.3%だった。3人に1人が職場の経営難や倒産の危機を感じている状況
を裏付けるように2024年介護事業者の倒産件数は過去最多、職場の経営に対する不安が強まっているとした。
深刻な人手不足への対策として注目される特定技能外国人を雇用する職場は13.1%だった。
https://www.mynavi.jp/news/2025/05/post_48787.html

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【企業】
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●希望退職1,500名募集/ジャパンディスプレイ

ジャパンディスプレイ(JDI)は15日、2025年3月期連結決算を発表した。赤字が続くディスプレイ事業にお
いて、コスト削減の一環として人員削減を決定し、2026年3月までに茂原工場の生産を終了、石川工場に集約す
る。役員報酬や賞与、従業員賞与の減額も行う。国内希望退職の募集人数は1,500名程度、応募による人件費削
減額は年間約135億円と見込んでいる。
https://www.j-display.com/ir/library/explanatory.html

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【海外】
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●国別労働トピック/JILPT
<アメリカ>「高関税政策」に対する労使の反応

トランプ政権が国内産業保護のために打ち出した諸外国に対する高関税政策への波紋が広がっている。全米自動
車労組(UAW)は3月26日、「自由貿易による災害に終止符を打つ」と評価。一方、国際港湾倉庫労働者組合
(ILWU)は4月28日、「関連する労働者の壊滅的な失業につながる可能性がある」と警鐘を鳴らした。経営者団体
である米国商工会議所(U.S.Chamber of Commerce)のニール・ブラッドリー最高政策責任者は、「広範な関税は
増税であり、消費者物価を押し上げ、経済に悪影響を及ぼす」と批判している。世論調査や各種報道では、高関
税政策がインフレを招くことを懸念する意見が目立つ。(JILPT調査部)
https://www.jil.go.jp/foreign/jihou/2025/05/usa_03.html

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【イベント】
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●「個別労働紛争解決研修・基礎研修」/全基連

全国労働基準関係団体連合会(全基連)は、2025年度「個別労働紛争解決研修・基礎研修」をオンデマンド配信
による事前学習と、ライブ配信または会場(東京・大阪)での研修を、6月~2026年2月に開催する。紛争解決
に必要な「基本的な法知識」と「問題解決能力」を修得し、紛争の予防、解決に資する人材の育成を目的とする。
受講料は基礎研修28,600円。なお、基礎研修修了者等を対象とする応用研修を10月から開催する。
(基礎・応用研修を合せての申込もあり)。
https://www.zenkiren.com/jutaku/tabid258.html
▽個別労働紛争解決研修リーフレットダウンロード
https://www.zenkiren.com/jutaku/tabid594.html

●「労使関係セミナー」講義動画を公開中/中労委

中央労働委員会では、判例や労働法制に関する情報を広く発信し、労使紛争の未然防止と早期解決を図り、紛争
解決をサポートする労働委員会への理解促進のため「労使関係セミナー」を各地で開催している。HPで講義動
画を配信、資料を公開している。
▽労使関係セミナーのご案内/中央労働委員会HP
https://www.mhlw.go.jp/churoi/
▽公開動画リスト
https://www.mhlw.go.jp/churoi/roushi/index.html