■□――【メールマガジン労働情報/No.2057】
「賃上げ5カ年計画」「中小生産性向上」など表明/新しい資本主義実現会議 ほか
―2025年5月16日発行――――――――――――――□■
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本号の主な内容
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【行政】「賃上げ5カ年計画」「中小生産性向上」など表明/新しい資本主義実現会議 ほか
【統計】第14回「21世紀出生児縦断調査」を公表/厚労省 ほか
【労使】採用と大学教育の未来について報告書とりまとめ/産学協議会 ほか
【動向】1年前と比べた景気認識、大幅に悪化/連合総研調査
【企業】グローバル共通化に伴う人材マネジメントを推進/第一三共の新人事制度 ほか
【海外】2024年の在留外国人156万人、非専門就業外国人は30万人超/韓国
【イベント】労働セミナー「クオータ制と女性活躍推進~法的視点からのアプローチ~」/東京都労働相談情報センター ほか
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【JILPTからのお知らせ】
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☆「雇用調整助成金のコロナ特例に関する効果検証」結果を速報
https://www.jil.go.jp/press/documents/20250512.pdf
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【行政】
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●「賃上げ5カ年計画」「中小生産性向上」など表明/新しい資本主義実現会議
政府は14日、新しい資本主義実現会議を開催し、中小企業の賃上げを促進する「中小企業・小規模事業者の賃金
向上推進5カ年計画」等を議論した。会議後、首相は 「賃上げこそが成長戦略の要」とし、2029年度までに実質
賃金1%上昇を目指すとし、中小企業・小規模事業者の経営変革の後押しと賃上げ環境の整備に政策資源を総動員
すると述べた。施策パッケージ案は、中小の生産性向上に向けて、人手不足が深刻な飲食、運輸、建設など12業
種を対象とする「省力化投資促進プラン」をベースに60兆円規模の生産向上投資を行うとしている。
https://www.kantei.go.jp/jp/103/actions/202505/14shihon.html
▽「中小企業・小規模事業者の 賃金向上推進5か年計画」施策パッケージ案
https://www.cas.go.jp/jp/seisaku/atarashii_sihonsyugi/kaigi/dai34/shiryou1.pdf
●出産費用の自己負担無償化など提言/厚労省検討会
厚労省の「妊娠・出産・産後における妊産婦等の支援策等に関する検討会」は14日、これまでの検討に基づく
「議論の整理」結果を公表した。標準的な出産費用の自己負担無償化と安全で質の高い周産期医療提供体制の
確保の両立を図ることなどを提言、今後、2026年度を目途に具体的な制度設計を進めるとしている。
https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_20241225_00001.html
▽(概要)議論の整理
https://www.mhlw.go.jp/content/12501000/001488648.pdf
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【統計】
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●第14回「21世紀出生児縦断調査」を公表/厚労省
厚生労働省は13日、第14回「21世紀出生児縦断調査(2010年出生児)」結果を公表した。2010年出生児を毎年
追跡調査するもので、今回対象である子供が14歳(中学2年)である母親の有職割合は84.1%で2001年
出生児調査(2013年実施)の79.3%から4.8ポイント上昇した。出産1年前の就業状況が「勤め(常勤)」の
母のうち、第1回調査から第14回調査まで継続して「勤め(常勤)」の割合は32.4%で、2001年出生児の
24.1%に比べて8.3ポイント高くなっている。
https://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/syusseiji/23/index.html
▽報道発表資料
https://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/syusseiji/23/dl/houdou.pdf
▽概況版
https://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/syusseiji/23/dl/gaikyo.pdf
●4月の企業物価指数、前年比4.0%上昇/日銀
日本銀行は14日、企業物価指数(2025年4月速報)を公表した。国内企業物価指数は126.3で、前年同月比で4.0%、
前月比0.2%の上昇。前年同月比での上昇を製品別でみると「農林水産物」が42.2%で最高、「電力・都市ガス・
水道」10.1%などが続く。輸入物価指数(ドルなどの契約通貨ベース )は、前年比2.6%、前月比0.6%、
いずれも低下。円ベースでは同7.2%、同2.9%低下した。
https://www.boj.or.jp/statistics/pi/cgpi_release/cgpi2504.pdf
●街角景況感、前月差2.5ポイント低下/4月景気ウォッチャー調査
内閣府は12日、全国の商店主やタクシー運転手などに街角の景況感をたずねた2025年4月の「景気ウォッチャー
調査」結果を公表した。3カ月前と比較した景気の現状判断DI(季調値)は、前月差2.5ポイント低下の42.6
で、4カ月連続の低下。家計、企業、雇用のすべてのDIが低下した。先行き判断DI(同)は、前月差2.5ポイ
ント低下の42.7。結果について「景気は、このところ回復に弱さがみられる。先行きは賃上げへの期待がある
一方、価格上昇の影響に加え米国通商政策の影響への懸念が強まっている」に下方修正した。
https://www5.cao.go.jp/keizai3/2025/0512watcher/menu.html
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【労使】
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●採用と大学教育の未来について報告書とりまとめ/産学協議会
経団連と大学関係者で構成する「採用と大学教育の未来に関する産学協議会」は9日、2024年度報告書を発表した。
産学協働による学生キャリア形成支援活動を、情報提供中心の「オープン・カンパニー」型から、学生の実践力向
上と学生評価材料の取得の「高度専門型インターンシップ」まで4つに類型化し、就業体験を通じて、学生が自ら
の能力の見極め、企業は学生の評価材料をする「汎用的能力・専門活用型インターンシップ」は 着実に拡大して
いると評価した。一方で就職活動の早期化・長期化傾向には改善が見られないとして、インターンシップはマッチ
ング精度を高める機会であり、採用選考そのものではないことを学生・企業・社会に浸透させることが課題とした。
https://www.keidanren.or.jp/policy/2025/030.pdf
●「中小企業・小規模事業者の賃金向上推進5か年計画」の施策パッケージ案等に対する意見書/連合
連合は14日、同日の新しい資本主義実現会議 「中小企業・小規模事業者の賃金向上推進5か年計画」の
施策パッケージ案、論点案 に対する意見書を公表した。「物価上昇を1%程度上回る賃金上昇を賃上げの
ノルムとして我が国に定着させる」ことについて「賛成」としつつ、「物価に負けない賃上げ」は、
5年後ではなく早急に実現・定着させるべきであり、最低賃金の中期目標とは切り分ける必要があるなど
としている。
https://www.cas.go.jp/jp/seisaku/atarashii_sihonsyugi/kaigi/dai34/shiryou10.pdf
●改正労働安全衛生法等法について談話/連合事務局長
連合は8日、同日付で可決・成立した「労働安全衛生法及び作業環境測定法の一部を改正する法律案」について
事務局長談話を公表した。改正法に盛り込まれた「個人事業者等に対する安全衛生対策」「ストレスチェックの
全事業場への実施義務拡大」「化学物質による健康障害防止対策の推進」「機械等の製造時等検査制度の適正化」
「高齢者に対する安全衛生対策の努力義務化」について連合の要請に概ね沿っているとして評価した。
https://www.jtuc-rengo.or.jp/news/article_detail.php?id=1348
●持続可能な「外国人材とのあるべき共生社会」を提言/経済同友会PT
経済同友会の外国人材の活躍促進PTは8日、持続可能な「外国人材とのあるべき共生社会」の構築を目指した政策
提言を発表した。外国人材を単なる労働力ではなく「共に国を支える仲間」として位置づけ、特にエッセンシャル
領域における外国人材の活躍促進には、就労だけでなく教育・生活支援を含めた包括的な支援が重要としている。
https://www.doyukai.or.jp/policyproposals/2025/250508.html
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【動向】
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●1年前と比べた景気認識、大幅に悪化/連合総研調査
連合総研は15日、第49回「勤労者短観報告書」(勤労者の仕事と暮らしに関するアンケート調査/首都圏・関西
圏版)を発表した。1年前と比べた景気認識について、2025年4月のDI値はマイナス46.5で、24年10月調査の
マイナス32.8から大幅に悪化した。1年前と比べて物価が上がったとの認識は、25年4月のDI値がプラス70.9
となり、過去最高値を更新。初めて7割を超えた。1年後の物価見通しDI値はプラス59.2で、引き続き物価上
昇が続くとの認識が強い。
https://www.rengo-soken.or.jp/work/2025/05/151200.html
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【企業】
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●グローバル共通化に伴う人材マネジメントを推進/第一三共の新人事制度
製薬大手の第一三共株式会社(東京都中央区)は12日、都内でオンライン併用の記者説明会を開き、グローバル
共通の人事基盤の構築を進めていることを発表した。その取り組みの一環で、国内でも環境の変化や現行の課題
認識を踏まえた新たな人材マネジメントを進めることとし、人事制度のうち、評価・等級・報酬の3つの基幹制
度を改定した。昨年度から採用している新たな評価制度は、社員の自律的なキャリア形成を促す仕組みに改変。
今年度から導入した等級制度は、職種・職責を軸にした等級体系・格付にシフトした。等級体系に紐付く報酬
制度も、職務価値や貢献度に応じたメリハリのある処遇の実現に焦点を当てて、社員の動機付づけと生産性向上
をはかるとともに、優秀な人材の獲得と定着をめざす設計を施している。(JILPT調査部)
https://www.jil.go.jp/kokunai/topics/mm/20250516.html
●2万人、7工場を削減/日産が経営再建計画
日産は13日、2027年度までに国内外で車両を生産する7工場と人員2万人を削減する経営再建計画を発表した。
これにより、24年度実績比で固定費と変動費計5,000億円を削減、自動車事業の営業利益とフリーキャッシュ
フローの黒字化を目指す。
https://global.nissannews.com/ja-JP/releases/250513-02-j
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【海外】
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●国別労働トピック/JILPT
<韓国>
▽2024年の在留外国人156万人、非専門就業外国人は30万人超
統計庁及び法務部は韓国国内の在留外国人を対象として2017年から「移民者滞留実態及び雇用調査」を実施して
いる。2024年度の結果は3月18日に公開された。本調査の結果概要を以下にて説明する。
2024年5月時点で韓国内に居住する満15歳以上の外国人は、前年より9%ポイント増加し、156万1,000人に達し
た。このうち約2割にあたる30万3,000人は、一般雇用許可制の在留資格である非専門就業(E-9)によって
滞在している。非専門就業の外国人が30万人を超えるのは今回が初めてである。(JILPT調査部)
https://www.jil.go.jp/foreign/jihou/2025/05/korea_01.html
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【イベント】
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●労働セミナー「クオータ制と女性活躍推進~法的視点からのアプローチ~」/東京都労働相談情報センター
東京都労働相談情報センターは6月17日(火)、18日(水)に、労働セミナー「クオータ制と女性活躍推進~
法的視点からのアプローチ~」を江東区で開催する。女性活躍推進のための仕組みづくりについて性別などを
基準に一定の数・割合を割り当てる「クオータ制」をヒントに弁護士が2日にわたり解説する。受講無料。
定員50名。
https://www.hataraku.metro.tokyo.lg.jp/seminarform/index/detail?kanri_bango=seminar-kame-000244
●交流会「障害者雇用における『高齢化』」/千代田区障害者就労支援センター
千代田区障害者就労支援センターは5月30日(金)、地域交流会「障害者雇用における『高齢化』について」を
会場(千代田区)とオンラインで開催する。就労能力や体力の低下、業務・健康への不安といった「困った」
解決に向け制度や情報を講師が説明する。参加無料。要事前申込、5月27日締切。要約筆記有り。手話通訳応相談。
https://docs.google.com/forms/d/e/1FAIpQLSfZE9kYnnbftMUvV6sQ8L957hAW8_vTtyG99gzz7s2gFNzkew/viewform
●「調査研究に対する助成」の申請を受け付け/労働問題リサーチセンター
公益財団法人労働問題リサーチセンターでは、2025年度「調査研究に対する助成」の申請を受け付けている。
社会的に有意義で発展性があると財団が認める労働問題に関する調査研究に助成を行う。個人研究、共同研究
を問わない。申込み締切は6月20日(当日消印有効)。
https://www.rodorc.or.jp/