メールマガジン労働情報 No.2056

■□――【メールマガジン労働情報/No.2056】

 「雇用調整助成金のコロナ特例に関する効果検証」結果を速報 ほか

―2025年5月14日発行――――――――――――――□■

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  本号の主な内容
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【行政】多様な働き方とキャリア形成の実現に向けた提言を受領/官邸 ほか
【統計】3月実質賃金、前年同月比2.1%減で3カ月連続のマイナス/毎勤統計速報 ほか
【労使】中小企業の業況DIほぼ横ばい、消費マインド低迷で/日商LOBO調査
【動向】4月の倒産件数826件、36カ月連続で前年を上回る/民間調査 ほか
【企業】国内外で1万人削減/パナソニック
【海外】「低賃金労働者」の実質賃金15.3%上昇――2019~24年、EPI推計/アメリカ
【イベント】学術大会「AIと産業保健法」/日本産業保健法学会 ほか

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【JILPT研究成果情報】
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☆「雇用調整助成金のコロナ特例に関する効果検証」結果を速報

JILPTは12日、厚生労働省の要請に基づき、提供を受けた行政記録情報(業務データ)を用いて新型コロナウイル
ス感染症の影響に伴う雇用調整助成金の特例措置の効果検証を行い、その結果を速報しました。雇調金のコロナ
特例の支給規模はリーマン期に比べ大きく、幅広い産業で活用されるとともに期間も長期に及んでいます。
特に初期段階において雇用維持効果が確認される反面、利用が長期に及んだ場合には効果は失われる傾向がある
ことなどが明らかになりました。
https://www.jil.go.jp/press/documents/20250512.pdf

☆記者発表 「ものづくり産業におけるDXと人材育成に関する調査」
https://www.jil.go.jp/press/documents/20250509.pdf

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【JILPTからのお知らせ】
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☆「メールマガジン労働情報」読者アンケート調査の結果について

2025年2~3月実施した読者アンケート調査の結果をとりまとめました。ご協力ありがとうございました。
https://www.jil.go.jp/kokunai/mm/enquete/index.html

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【行政】
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●多様な働き方とキャリア形成の実現に向けた提言を受領/官邸

首相は12日、自民党雇用問題調査会会長らと面会し、多様な働き方とキャリア形成の実現に向けた賃上げや両立
支援策、雇用セーフティネットの強化等を柱とする提言書を受け取った。主な内容としてハローワークのオン
ライン化・デジタル化、男性育児休業取得等の目標設定、パートタイム労働者への雇用保険適用拡大等が盛り込
まれている。
https://www.kantei.go.jp/jp/103/actions/202505/12shukou.html
▽政府広報オンライン
https://www.gov-online.go.jp/press_conferences/prime_minister/202505/video-297246.html
▽『構造的賃上げを実現し、誰もが幸せに暮らせる雇用労働リ・スキリング改革への提言』/自民党HP
https://storage2.jimin.jp/pdf/news/policy/205729_1.pdf

●福祉人材確保専門委員会が初会合/厚労省

厚生労働省は9日、福祉人材確保専門委員会の初会合を開いた。将来にわたって必要な介護サービスを安心して
受けられるよう、介護人材の確保・定着に向けた取組みを強化する必要があることから、「2040年に向けたサービス
提供体制等のあり方検討会」中間まとめ等を踏まえた検討を開始した。秋をメドにとりまとめを行う。
https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_57663.html
▽「2040年に向けたサービス提供体制等のあり方検討会」中間まとめ
https://www.mhlw.go.jp/content/12000000/001484824.pdf

●生成AIで課題解決/NEDO懸賞金活用型プロジェクト

国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)は9日、生成AIによる課題解決サービスを開発
促進する懸賞金活用型プロジェクト「GENIAC-PRIZE」を開始した。募集課題は「製造業における暗黙知の形式知化」
「カスタマーサポートの生産性向上」「官公庁の審査業務効率化」「安全性向上に資する技術開発」の4つ。
成果に応じ懸賞金(総額8億円)を授与する。
https://www.nedo.go.jp/koubo/CD2_100402.html
▽経産省ホームページ
https://www.meti.go.jp/press/2025/05/20250509002/20250509002.html

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【統計】
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●3月実質賃金、前年同月比2.1%減で3カ月連続のマイナス/毎勤統計速報

厚生労働省は9日、3月の「毎月勤労統計調査」結果(速報、事業所規模5人以上)を公表した。現金給与総額
は、就業形態計で前年同月比2.1%増の30万8,572円、うち一般労働者が同2.7%増の39万9,394円、パートタイム
労働者が同1.8%増の11万292円。一方、現金給与総額指数を消費者物価指数(持家の帰属家賃を除く総合)で
割った実質賃金は、前年同月比2.1%減で、2月の1.5%減より拡大し3カ月連続の減少。今回から、国際比較の
ために、持家の帰属家賃を含む「消費者物価指数(総合)」で割った実質賃金も併せて表示している(前年同月
比1.5%減)。
https://www.mhlw.go.jp/toukei/itiran/roudou/monthly/r07/2503p/dl/pdf2503p.pdf
▽統計表等
https://www.mhlw.go.jp/toukei/itiran/roudou/monthly/r07/2503p/2503p.html

●二人以上世帯の消費支出、前年同月比2.1%増/3月家計調査報告

総務省は9日、3月の「家計調査報告」を公表した。二人以上世帯の1世帯当たりの消費支出は33万9,232円、
実質で前年同月比2.1%増と1カ月ぶりの増加。前月比(季調値)は0.4%の増加。支出項目別でのプラス寄与は、
授業料等(1.11%)、電気代(同0.46%)、教養娯楽用耐久財(同0.32%)など。マイナス寄与は、保健医療
サービス(マイナス0.38%)、設備修繕・維持(同0.33%)、仕送り金(同0.21%)など。勤労者世帯の実収入
は、1世帯当たり52万4,343円(前年同月比で実質2.0%減)で3カ月連続の実質減少。
https://www.stat.go.jp/data/kakei/sokuhou/tsuki/index.html
▽報道発表資料
https://www.stat.go.jp/data/kakei/sokuhou/tsuki/pdf/fies_mr.pdf

●3月の景気動向指数、基調判断は「下げ止まり」で据え置き/景気動向指数速報

内閣府は9日、2025年3月「景気動向指数(速報)」を公表した。
景気の現状を示す「一致指数」は116.0で、前月と比較して1.3ポイント下降し、4カ月ぶりの下降。
マイナスに寄与したのは、「耐久消費財出荷指数」「鉱工業用生産財出荷指数」「投資財出荷指数 (輸送機械を
除く)」など。プラス寄与は「有効求人倍率(除学卒)」「商業販売額(小売業)」「商業販売額(卸売業)」など。
一致指数の基調判断は「下げ止まりを示している」として据え置いた。
https://www.esri.cao.go.jp/jp/stat/di/di.html
▽概要
https://www.esri.cao.go.jp/jp/stat/di/202503psummary.pdf

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【労使】
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●中小企業の業況DI横ばい、消費マインド低迷で/日商LOBO調査

日本商工会議所はこのほど、「商工会議所LOBO(早期景気観測)」4月調査結果を発表した。全産業合計の業況DI
は、前月比0.7ポイント増のマイナス18.5と、ほぼ横ばいにとどまった。新年度需要や観光需要は好調だったが、
人手不足の継続やガソリンやコメをはじめとするコスト増などにより消費マインドが低迷したとしている。
トピックス「コスト増加分の価格転嫁の動向」では、価格協議を実施した企業は76.4%にのぼったものの、コスト
増加分を「4割以上価格転嫁」できた企業は52.7%にとどまった。また、労務費増加分を「4割以上価格転嫁」
できた企業は36.4%で、2024年10月調査からほぼ横ばいの0.4ポイント減だった。
https://cci-lobo.jcci.or.jp/wp-content/uploads/2025/04/LOBO202504.pdf

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【動向】
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●4月の倒産件数826件、36カ月連続で前年を上回る/民間調査

帝国データバンクは12日、「倒産集計 2025年4月報」を公表した。倒産件数は826件(前年同月比8.7%増)で、
36カ月連続で前年を上回り、戦後最長を更新し続けている。このうち「物価高倒産」は71件、4割が原材料価格
の高騰による。「後継者難倒産」(46件)と「人手不足倒産」(34件)が倒産の1割前後を占める。業種別では、
7業種中5業種で前年を上回った。「サービス業」215件(同3.4%増)が最多。倒産の主因では、「不況型倒産」
698件(同6.6%増)が最多で、36カ月連続で前年を上回った。
https://www.tdb.co.jp/report/bankruptcy/aggregation/ac-e6moxej/

●景気は2カ月ぶり悪化、トランプ関税への警戒感/民間調査

帝国データバンクは7日、TDB景気動向調査(2025年4月調査)結果を発表した。景気DIは前月比0.8ポイント減
の42.7となり、2カ月ぶりに悪化。コロナ禍終盤にあたる2023年2月以来の水準まで低下した。業界別では10業
界中9業界で悪化、地域別でも北海道を除く9地域が悪化したほか、すべての企業規模別で悪化した。トランプ
関税の警戒感から景気は弱含みで推移する見込みとしている。
https://www.tdb.co.jp/report/economic/ets202504/

●女性活躍推進行動計画、低い認知度/21世紀職業財団

21世紀職業財団がこのほど発表した『DEI推進状況調査(2024年)』結果によると、女性活躍推進法に基づき策定、
都道府県労働局への届出、外部への公表が義務付けられている女性活躍推進行動計画について、勤務先の計画
を知っている一般社員の割合は男性28.5%、女性28.8%と3割未満にとどまった。管理職では男性53.4%、
女性55.4%で認知度はいまだ不十分としている。
DEIとは、多様性・公平性・包摂性を指し、同財団では2018年から推進状況を隔年調査している。
https://www.jiwe.or.jp/research-report/2024dei

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【企業】
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●国内外で1万人削減/パナソニック

パナソニックホールディングスは9日、国内外での1万人規模の人員削減などを盛り込んだグループ経営改革案を発表した。
人員適正化を含む固定費構造改革・収益改善により、2026年度1,500億円以上の収益改善効果をはかる。会見で楠見雄規社長
は、同社の販売管理費が「同業他社と比べて極めて高い」「メスを入れないと、再び成長に転じることができない」などと
説明した。
▽グループ経営改革の進捗・説明資料
https://holdings.panasonic/content/dam/holdings/jp/ja/corporate/investors/pdf/20250509_reform_j.pdf
▽グループ経営改革の進捗(要旨)
https://news.panasonic.com/uploads/tmg_block_page_image/file/32669/jn250509-5-1.pdf
▽説明会音声
https://www.video-streaming.net/ir/6752/2024_4q_j/

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【海外】
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●国別労働トピック/JILPT

<アメリカ>
▽「低賃金労働者」の実質賃金が15.3%上昇――2019~24年、EPI推計

リベラル系シンクタンクの経済政策研究所(EPI、ワシントン)は3月24日、米国の低賃金労働者(10パーセン
タイル:賃金分布の下位から10%に位置する者)の実質賃金(時給)が2019~24年の間に15.3%上昇したと推計
するレポートを発表した。中央値の労働者は5.8%、高賃金労働者は6.9%の伸び率にそれぞれとどまっている。
EPIでは、労働市場の逼迫と、政府による経済対策などが相まって、低賃金層の賃金上昇につながったと指摘し
ている。(JILPT調査部)
https://www.jil.go.jp/foreign/jihou/2025/05/usa_02.html

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【イベント】
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●学術大会「AIと産業保健法」/日本産業保健法学会

日本産業保健法学会は9月20日(土)、21日(日)、「AIと産業保健法:DX時代の多様化した産業保健と法」をテーマ
に第5回学術大会を会場(港区)とオンラインで開催する。産業保健現場での新技術活用と法的課題を多角的に検討、
AI・デジタルヘルステクノロジー時代の職業リスクを洗い出し、新局面に対応する法政策の在り方を考える。要事前登録。
参加費は、非会員10,000円、学生3,000円(9月3日までに登録の場合)。10月1~31日の期間は
オンデマンド配信。
https://jaohl.info/

●男性の家事・育児推進セミナー「妊娠期からはじめるパートナーとの子育て」/東京ウィメンズプラザほか

東京都・東京ウィメンズプラザは共催で6月22日(日)、男性の家事・育児推進セミナー「妊娠期からはじめる
パートナーとの子育て」をオンラインで開催する。「父親になるあなたに伝えたいこと」をテーマに、男性が
妊娠期から出産・育児に関わることの大切さについて専門家が伝える。
https://www.d-wks.net/ikugyou250622/

●「教育・デジタル格差、体験格差の実態と解消に向けた実践」をテーマにシンポジウム開催/NPOキッズドア

認定NPO法人キッズドアは5月26日(月)、シンポジウム「教育格差・IT格差の実態と格差解消に向けての実践報告」を
会場(東京都中央区)とオンラインで開催する。同法人が実施している困窮家庭等の女子高校生のためのプログラム
の成果を報告するとともに、産学民各分野(政財界、アカデミア、ソーシャルセクター等)の支援の担い手や
専門家によるパネルディスカッションを行う。同プログラムに実際に参加した高校生からの発表も予定。
参加無料。定員(会場)100名。申込締切5月19日(月)。
https://kidsdoor.net/news/news/20250406.html

●全国シンポジウム「日本の新たな労使コミュニケーション制度を求めて」/経営民主ネットワーク

経営民主ネットワークは5月28日(水)14時~17時、東京都千代田区の連合会館405会議室で、創立30周年記念
「全国シンポジウム2025」を開催する。基調講演「労使自治・労働者参加制度について」は、高橋賢司(立正大
学法学部教授・日独労働法協会長)。報告は、菅原敏夫(地方自治総合研究所)「公務員・公務労働者の労働者
代表制」と高木雄郷(経営民主ネットワーク事務局長)「連合の労働者代表法案の戦略的課題と展望について」。
参加無料。要事前申込。参加申込先:jwdnetwork[at]mbr.nifty.com ※[at]を@にご修正ください