■□――【メールマガジン労働情報/No.2037】
「中堅企業成長ビジョン」案を提示/政府会議 ほか
―2025年2月26日発行――――――――――――――□■
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本号の主な内容
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【行政】「中堅企業成長ビジョン」案を提示/政府会議 ほか
【統計】12月の実質賃金、前年同月比0.3%増で2カ月連続のプラス/毎勤統計確報
【労使】相談受付件数、「パワハラ・嫌がらせ」が最多/連合「労働相談ダイヤル」(1月)
【動向】企業の6割で賃金改善の見込み、従業員給与は平均4.5%増と試算/民間調査
【企業】シニア社員の人事制度改正/日本特殊陶業 ほか
【海外】相次ぐ事業所閉鎖の発表と懸念される雇用への影響/フランス
【イベント】講座「人事労務関連の法改正と実務対応」「改正育児介護休業法実務対応」/神奈川県労働福祉協会
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【JILPTからのお知らせ】
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☆アンケートのお願い
2月21日に、「メールマガジン労働情報」についてのアンケートのお願いをメールでお送りしています。
ご協力よろしくお願いいたします。すでにご回答いただいた皆様にはお礼申し上げます。
◇『日本労働研究雑誌』2025年2・3月号を刊行しました!
学界展望「労働調査研究の現在―2022~24年の業績を通じて」
公募特集「組織における人の管理の実態・背景・効果」
今回の「学界展望」座談会のテーマは、「労働調査研究の現在」です。
2022年から24年の3年間の業績を5つの観点から取り上げて、議論しています。
また、公募特集として「組織における人の管理の実態・背景・効果」に関する
論文2本と研究ノート1本を紹介しています。
https://www.jil.go.jp/institute/zassi/backnumber/2025/02-03/index.html
◇『ビジネス・レーバー・トレンド』 3月号を公開しました!
「現代社会におけるツールを活用したキャリア支援」
さまざまな環境変化や技術の進展などにより、将来の職業世界がどうなるのか、見通すことが難しい
今日では、キャリア支援においても、将来の予測が難しいことを織り込みながら進めていくことが
重要となります。こうしたなか、JILPTでは、カード式職業情報ツールである「OHBYカード」を昨年、
17年ぶりに改訂。情報内容を刷新するなどして、「新版OHBYカード」としてリニューアルしました。
本号では、「新版OHBYカード」の活用・実践を通じたキャリア支援について報告・議論した労働政策
フォーラムの内容を紹介し、現代社会におけるツールを活用したキャリア支援の今後を展望します。
https://www.jil.go.jp/kokunai/blt/backnumber/2025/03/index.html
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【行政】
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●「中堅企業成長ビジョン」案を提示/政府会議
政府は21日、中堅企業等の成長促進に関する連絡会議を開催し、「中堅企業成長ビジョン」(案)を提示した。
従業員2,000人以下の「中堅企業」の数は全体の0.3%(約9,000)だが雇用者数は約11%、売上高は約20%を
占める(ビジョン案 p.4)。同ビジョンは、2030年までに「中堅企業数の約2割増加」などの目標を設定し、
主要業種別の成長要因の分析や中堅企業固有の経営課題を解決するための官民取組み事項を整理
(同p.3)。また、同ビジョンの重点6本柱(資金調達、人材確保など)をもとに今後、活用可能な
「中堅企業成長促進パッケージ2025」(13府省庁・全155件・総額1.4兆円の施策)をまとめた。
https://www.kantei.go.jp/jp/singi/katsuryoku_kojyo/seichou_sokushin_wg/dai9/gijisidai.html
▽「中堅企業成長ビジョン」(案)
https://www.kantei.go.jp/jp/singi/katsuryoku_kojyo/seichou_sokushin_wg/dai9/siryou2_2.pdf
▽「中堅企業成長促進パッケージ2025」
https://www.kantei.go.jp/jp/singi/katsuryoku_kojyo/seichou_sokushin_wg/dai9/siryou3.pdf
▽参考(首相官邸/地方創生を担う中堅企業との意見交換会)
https://www.kantei.go.jp/jp/103/actions/202502/21ikenkoukan.html
●同一労働同一賃金について、待遇改善につながるよう検討を進める/厚労省大臣会見
厚生労働大臣は21日の記者会見で、同一労働同一賃金に関わる法律や指針についての今後の取り組みについて
問われ、働き方改革関連法の施行から丸5年を迎え、労働政策審議会同一労働同一賃金部会で、施行状況等を
踏まえた必要な見直しについて議論を開始した、今後、有識者の方々や労使団体からのヒアリングをなどを
予定しており、非正規雇用労働者の待遇改善につながるよう検討を進める、とした。
https://www.mhlw.go.jp/stf/kaiken/daijin/0000194708_00781.html
●企業内の人材育成について議論/厚労省
厚生労働省は20日、「今後の人材開発政策の在り方に関する研究会」を開催した。同日は、企業内の
人材育成について資料が提出され、議論された。前回(第1回)では、持続的・構造的な賃上げ
実現のため「リ・スキリングによる能力向上支援」は三位一体の労働市場改革の柱の一つととし、
(1)経営環境の変化と適合した職業能力開発の推進、(2)労働者個々人に対応したキャリア形成の支援
の強化、(3)未活用労働力の活用のための職業能力開発の在り方、(4)近年の人材開発政策における
取組とその評価等を検討課題としてあげた。今年の夏頃を目処に最終的とりまとめを行う(開催要綱)。
「企業内の人材育成の促進」では、中小企業の人材育成促進の重要性など、「労働者のスキル向上と
キャリア形成の支援」では、職業能力開発の機会に恵まれない層に対する支援の重要性など、「労働市場の
基盤整備」では、必要なスキルを付与する訓練や、オンラインなどの柔軟な実施方法の重要性についての
意見が出された(主な意見)。
https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_52429.html
▽資料1:企業内の人材育成について
https://www.mhlw.go.jp/content/11801000/001417055.pdf
▽開催要綱
https://www.mhlw.go.jp/content/11801000/001385083.pdf
▽第1回研究会での主な意見
https://www.mhlw.go.jp/content/11801000/001417056.pdf
●育成就労制度の関係省令の整備に向けた検討を開始/厚労省、出入国管理庁
厚生労働省は、「特定技能制度及び育成就労制度の円滑な施行及び運用に向けた有識者懇談会」を
設置し、技能実習制度に代わる育成就労制度の関係省令に関する検討を開始した。第1回(6日)では、
受入れ機関が作る育成就労計画の認定基準、転籍の要件、技能実習制度の監理団体に代わる監理支援機関の
許可基準、外国人が送出し支援機関に支払う費用上限等の「論点」を提示、第2回(13日)でも検討している。
また、出入国管理庁では、「特定技能制度及び育成就労制度の基本方針及び分野別運用方針に関する有識者
会議」を設置した。第1回(6日)では、育成就労期間は3年などとする「特定技能制度及び育成就労制度の
基本方針(案)」を示している。
https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_50156.html
▽改正入管法及び育成就労法の関係省令に関する論点
https://www.mhlw.go.jp/content/11800000/001397716.pdf
▽特定技能制度及び技能実習制度の見直しの経緯・改正入管法等の概要
https://www.mhlw.go.jp/content/11800000/001397715.pdf
▽出入国管理庁「有識者会議」
https://www.moj.go.jp/isa/03_00116.html
●メンタルヘルス対策等自主点検実施結果を発表/東京労働局
東京労働局は18日、「メンタルヘルス対策等自主点検」結果を公表した。
メンタルヘルス対策に取り組んでいる事業場の割合は 91.7%(2023年度結果、89.4%)で、2023年度から
5年間にわたり重点的に取り組む事項を定めた第14次東京労働局労働災害防止計画のアウトプット指標
「2027年までに80%」を上回った。個々の取組内容でもほとんどの項目で60%以上となっているが、「心の
健康づくり計画を策定」のみが38.9%と低率だった。50人未満の事業場でストレスチェックを実施している
のは51.2%(同47.2%)で、14次防のアウトプット指標である「27年までに50%」を上回った。 必要な
産業保健サービスを提供している事業場は88.1%(同87.8%)で、14次防のアウトプット指標である「27年
までに80%」を上回った。調査は同局管内の10人以上の事業場から抽出して2024年に行い、579事業場が回答した。
https://jsite.mhlw.go.jp/tokyo-roudoukyoku/content/contents/002145627.pdf
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【統計】
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●12月の実質賃金、前年同月比0.3%増で2カ月連続のプラス/毎勤統計確報
厚生労働省は25日、12月の「毎月勤労統計調査」結果(確報・事業所規模5人以上)を公表した。
実質賃金は前年同月比0.3%増(速報では0.6%増)で、2カ月連続のプラスとなった。
現金給与総額は、就業形態計61万7,375円(前年同月比4.4%増)、うち一般労働者は83万7,851円、
(同4.7%増)、パートタイム労働者は13万465円(同7.3%増)、時間当たり給与は1,378円(同4.7%増)。
きまって支給する給与は同2.4%増、特別に支払われた給与は同6.2%増(いずれも就業形態計)。
同日には「毎月勤労統計調査」の2024年分結果速報も公表された。現金給与総額は、就業形態計で前年比
2.8%増の34万7,994円、実質賃金は同0.3%減で3年連続の減少。うち、きまって支給する給与は
同2.0%増の28万1,959円、実質では同1.2%減となり、3年連続の減少。
https://www.mhlw.go.jp/toukei/itiran/roudou/monthly/r06/2412r/dl/pdf2412r.pdf
▽統計表等
https://www.mhlw.go.jp/toukei/itiran/roudou/monthly/r06/2412r/2412r.html
▽2024年分結果確報
https://www.mhlw.go.jp/toukei/itiran/roudou/monthly/r06/24cr/dl/pdf24cr.pdf
▽2024年分統計表等
https://www.mhlw.go.jp/toukei/itiran/roudou/monthly/r06/24cr/24cr.html
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【労使】
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●相談受付件数、「パワハラ・嫌がらせ」が最多/連合「労働相談ダイヤル」(1月)
連合は20日、「なんでも労働相談ダイヤル」2025年1月分集計結果を発表した。
受付件数は1,063件(前年同月比87件増)。相談の内容は、「パワハラ・嫌がらせ」(17.5%)が最多、
次いで「雇用契約・就業規則」(9.8%)、「解雇・退職強要・契約打切」(8.5%)、「退職手続」(6.8%)など。
業種別では「医療・福祉」(23.1%)が最多、次いで「サービス業(他に分類されないもの)」(19.4%)、
「卸売・小売業」(10.9%)、「製造業」(10.8%)など。
https://www.jtuc-rengo.or.jp/soudan/soudan_report/data/202501.pdf
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【動向】
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●企業の6割で賃金改善の見込み、従業員給与は平均4.5%増と試算/民間調査
帝国データバンクは20日、「2025年度の賃金動向に関する企業の意識調査」結果を公表した。正社員の
賃金改善(ベースアップや賞与、一時金の引上げ)が「ある」と見込む企業は61.9%と4年連続で増加、
2007年の調査開始以降で初めて6割を超えた。賃金改善が「ある」企業に理由を尋ねたところ(複数回答)、
最多が「労働力の定着・確保」の74.9%。総人件費が2024年度と比較してどの程度変動するか尋ねたところ、
「増加」とする企業は73.6%(前年比で1.5ポイント増)、総人件費の増加率は平均4.5%増、うち従業員給与
は平均4.5%、賞与は平均4.44%、各種手当を含む福利厚生費も平均4.46%、増加すると試算した。
https://www.tdb.co.jp/report/economic/20250220-wage2025/
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【企業】
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●シニア社員の人事制度改正/日本特殊陶業
スパークプラグ等セラミクス製造業の日本特殊陶業は7日、60歳定年退職後に再雇用するシニア社員の継続
雇用制度を2025年4月から改正すると発表した。(1)等級体系を見直して管理職相当の資格体系を整備、
役職就任も可能、(2)現役世代と同程度の役割の場合には、再雇用後の賃金水準も同程度になるように
変更し、賞与ではなくインセンティブ報酬を追加支給、(3)60歳定年時に柔軟な働き方を選択できるように
する。多様な働き方を可能にし、スキルや知見を最大限に発揮できる場を提供し、シニア社員の戦力化と
労働意欲の維持・向上を目的として制度を見直す、としている。
https://www.niterragroup.com/news/upload/df95011232474b2b041548fdf1c548e8.pdf
●JR東海、子ども手当1人2万円へ倍増 最長2年の不妊治療休職制も
JR東海が、子どものいる社員に支給している手当を倍増させる方向で検討していることが18日、分かった。
現行制度では扶養する22歳未満の子ども1人当たり月1万円を支給しているが、制度を見直し2万円に引き
上げる。子育て世帯への支援強化が狙い。併せて最長2年取得できる不妊治療のための休職制度も新設する。
社員が置かれたさまざまな環境に配慮し、やりがいや安心感を持って働けるよう大幅に制度を改正する。
現在、労働組合と協議を進めており、妥結すれば7月から導入する予定だ。
子育て世帯の支援では、子ども手当の倍増のほか、出産祝い金も増額する方向。現行は一律20万円として
いるが、第1子を20万円、第2子を30万円、第3子以降は50万円に引き上げる考えだ。一方、配偶者を対象
とした月5,000円の手当は、共働き世帯の増加などを踏まえて廃止する。
不妊治療を目的とした休職制度は、最長2年を2回に分けて使える仕組みを想定。これまで不妊治療は
自己都合休職の対象で、取得上限を1年としていた。また、昇格試験に際しては、休職期間を欠勤として
扱わない運用とし、キャリア形成を妨げないよう配慮する。
勤務地別の調整手当も見直す考え。現在、東京地区は月2万円、その他は1万5,000円だが、一律2万円
として転勤により手当が下がらないようにする。交渉が妥結すれば4月から適用する。
(時事通信)2025年2月18日 ※リンク先なし
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【海外】
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●国別労働トピック/JILPT
<フランス>
▽相次ぐ事業所閉鎖の発表と懸念される雇用への影響
国立統計経済研究所(INSEE)の発表によると、2024年第4四半期(10月期~12月期)のGDPは前年同期比で
マイナス成長となった。同期の民間部門の雇用労働者数は前期比で5万100人(0.2%)減少し、雇用情勢の
悪化が鮮明になった。それを反映するかのように、事業所閉鎖や解雇による人員削減の発表が目立つように
なった。この動向は今後、暫く続くという見方が有力である。(JILPT調査部)
https://www.jil.go.jp/foreign/jihou/2025/02/france_01.html
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【イベント】
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●講座「人事労務関連の法改正と実務対応」「改正育児介護休業法実務対応」/神奈川県労働福祉協会
神奈川県労働福祉協会は3月に、次の講座をZoomライブで開催する。オンデマンドもあり。
○「人事労務関連の法改正と実務対応~法改正を一気に紹介~」
3月6日(木)、対象は人事労務担当者など。受講料16,500円、要事前申込。
https://www.zai-roudoufukushi-kanagawa.or.jp/roumu-kaisei.html
○「改正育児介護休業法実務対応~2025年施行の法改正ポイントと実務対応~」
3月12日(水)、改正はもとより、育児・介護休業法の基本事項を押さえ、自社の運用検討及び
条文作成まで解説。受講料13,750円、要事前申込。
https://www.zai-roudoufukushi-kanagawa.or.jp/fmla.html