メールマガジン労働情報 No.1971

■□――【メールマガジン労働情報/No.1971】

育成就労制度の創設などの改正法が成立/国会 ほか

―2024年6月19日発行――――――――――――――□■

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  本号の主な内容
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【行政】育成就労制度の創設などの改正法が成立/国会 ほか
【統計】大企業の従業員判断指数、52期連続の「不足気味」超/法人企業景気予測 ほか
【動向】2024年問題の影響、「マイナス」が5割超/民間調査
【企業】両立支援型店舗の運営開始/大東建託リーシング ほか
【海外】世界経済は緩やかに回復、2025年の成長率は3.2%と予測/OECD
【イベント】「アサーティブ・コミュニケーション講座」/神奈川県労働福祉協会

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【JILPTからのお知らせ】
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☆『労働関係法規集2024年版』 発売中!

主要な労働関係法規を持ち運びに便利な分量・判型に収めたコンパクトサイズの法規集です。
【B6判変型 1,191頁 定価:1,980円(本体1,800円) 3月15日刊行】
https://www.jil.go.jp/publication/ippan/houkishu.html

☆『欧米のハラスメント法制度』発売中!

ハラスメントへの対応に苦慮しているのは日本だけではありません。法学研究者たちが、「何がハラスメント
にあたるか」「ハラスメントについて法はどのように対応すべきか」「そもそも『ハラスメント』とは何か」
といった根源的な問いに向き合い、模索する欧米諸国(英米独仏EU)の法状況を明らかにします。
さらに、ハラスメントに対し有効と考えられる修復的正義(restorative justice)についても論及します。
【A5判 388頁 定価:2,750円(本体2,500円)】
https://www.jil.go.jp/publication/ippan/harassment-legal-system.html

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【行政】
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●育成就労制度の創設などの改正法が成立/国会

育成就労制度の創設などを定めた改正法(出入国管理及び難民認定法及び外国人の技能実習の適正な実施
及び技能実習生の保護に関する法律)が14日の国会で可決、成立した。「技能実習」に代わる在留資格として
「育成就労」を設け、特定技能1号水準の人材の確保を図る育成就労制度を導入する。同制度は、一定の
就労期間(分野により1~2年)、日本語能力等の条件を満たす場合の転職を可能とし、受入れ団体については
外部監査人の設置を義務付けるなどとしている。永住者の在留資格の取消しに関しては、従前の公租公課の
支払状況や現在の生活状況その他の当該外国人の置かれている状況に十分配慮する、との修正が加えられた。
▽改正法の概要
https://www.mhlw.go.jp/content/12000000/001231483.pdf
▽提出時法案
https://www.shugiin.go.jp/internet/itdb_gian.nsf/html/gian/honbun/houan/g21309059.htm
▽修正案
https://www.shugiin.go.jp/internet/itdb_gian.nsf/html/gian/honbun/syuuseian/3_57E6.htm

●外国人労働者を特集/「厚生労働」6月号

6月は「外国人雇用啓発月間」ということで、厚生労働省の広報誌「厚生労働」6月号では、
特集に外国人労働者を取り上げ、同省ウェブサイトに外国人労働者に関する解説を掲載している。
また「外国人労働者の人事・労務に関する3つの支援ツール」を紹介している。
https://www.mhlw.go.jp/stf/houdou_kouhou/kouhou_shuppan/magazine/202406_001.html
▽支援ツールについて
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/koyou/jigyounushi/tagengoyougosyu.html

●「仕事と健康の両立」を特集/男女共同参画白書

内閣府は14日、令和6年版男女共同参画白書を公表した。白書は、全ての人が希望に応じ、家庭と仕事で
活躍できる社会「令和モデル」の実現に向けて、基盤となるのが「健康」とし「仕事と健康の両立」を特集。
女性のキャリア継続等のためには、仕事と家事・育児等の両立支援に加えて、女性特有の症状を踏まえた
健康への理解・支援など、男女ともに希望する誰もが活躍できる社会の実現に向けた取り組みを提起している。
https://www.gender.go.jp/about_danjo/whitepaper/r06/zentai/pdfban.html
▽概要
https://www.gender.go.jp/about_danjo/whitepaper/r06/gaiyou/pdf/r06_gaiyou.pdf

●「一般職の国家公務員の兼業について(Q&A集)」を掲載/人事院

人事院は12日、「一般職の国家公務員の兼業について(Q&A集)」をホームページで公表した。
2023年8月の人事院勧告時の報告で、公務における兼業の在り方について検討するとした取組の一環として
内閣人事局と共同で、一般職国家公務員の兼業に関する現行制度の考え方等について、事例中心・Q&A形式で作成した資料。
https://www.jinji.go.jp/seisaku/kinmu/page_00132.html
▽Q&A集
https://www.jinji.go.jp/content/000004413.pdf

●内航海運業者の働き方改革、「みんなで創る内航」推進運動を開始/国交省

国土交通省は12日、「みんなで創る内航」推進運動を開始すると公表した。内航海運業者の「働き方改革」
「取引環境改善」「生産性向上」に資する自主的な取組を見える化し、業界での一層の推進を図るもの。
これらに取り組む「自主宣言」を行った企業を同省がHPで公表してPRする。また、推進運動についての
オンライン説明会を6月26日(水)に開催する(要事前申込)。
あわせて、内航海運業者の働き方改革等に資する自主的な取組を「取組事例集」としてHPで公表している。
https://www.mlit.go.jp/report/press/kaiji03_hh_000177.html
▽報道発表資料(説明会について)
https://www.mlit.go.jp/report/press/content/001748172.pdf

●需要が回復する一方、供給面の課題が顕在化/観光白書

観光庁は18日、令和6年版「観光白書」を公表した。宿泊業の売上高は、新型コロナウイルス感染症による
落ち込みから緩やかだが増加傾向にあるとし、2022年後半以降、人員不足の企業割合が高い状態が続き、
雇用者数は回復傾向。賃金はほぼ横ばいで推移し、労働生産性は回復傾向にあるが、どちらも全産業の水準を
下回っている。観光需要が回復する一方、観光地や観光産業における人材不足や生産性の低さ等、供給面の
課題が顕在化している、としている。(p.16~「観光関連産業の状況」)
https://www.mlit.go.jp/kankocho/news02_000517_00001.html

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【統計】
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●大企業の従業員判断指数、52期連続の「不足気味」超/法人企業景気予測

内閣府と財務省は13日、「法人企業景気予測調査」(2024年4~6月期調査)結果を公表した。
雇用に関する「従業員数判断」BSIは、大企業は25.7%ポイントで2011年9月末以降、52期連続の
「不足気味」超。中堅企業、中小企業はいずれも「不足気味」超。
「貴社の景況判断」BSIは、大企業は0.4%ポイントで、2023年10~12月期以来、2期ぶりの「上昇」超。
中堅企業、中小企業はいずれも「下降」超となった。
https://www.mof.go.jp/pri/reference/bos/results/1c202401.pdf
▽統計表等
https://www.mof.go.jp/pri/reference/bos/results/data.htm

●4月の基調判断、「持ち直しの動きが見られる」で据え置き/機械受注統計

内閣府は17日、機械受注統計調査報告(2024年4月実績)を公表した。機械受注総額は、前月比3.6%減の
3兆299億円(季調値)。民間設備投資の先行指標である「民需(船舶・電力を除く)」は、同2.9%減の
8,863億円。うち製造業は同11.3%減・4,194億円で、非製造業(船舶・電力を除く)は同5.9%増・4,753億円。
基調判断は「持ち直しの動きが見られる」で据え置き。
https://www.esri.cao.go.jp/jp/stat/juchu/2024/2404juchu.html
▽概要
https://www.esri.cao.go.jp/jp/stat/juchu/2024/2404gaiyou.pdf

●4月の生産指数、前月比0.9%低下/鉱工業指数確報

経済産業省は14日、4月の「鉱工業指数(生産・出荷・在庫、生産能力・稼働率)」確報値を公表した。
生産指数(季節調整済)は100.8(前月比0.9%低下)で2カ月ぶりの低下。業種別で低下したのは
「化学工業(無機・有機化学工業を除く)」「輸送機械工業(自動車工業を除く)」「汎用・業務用機械工業」等。
上昇は「生産用機械工業」「金属製品工業」「無機・有機化学工業」等。出荷は前月比0.4%の低下。
在庫は0.2%、在庫率は0.7%のいずれも低下。速報に比べ、生産、出荷は下方修正、在庫、在庫率は上方修正。
https://www.meti.go.jp/statistics/tyo/iip/result-1.html
▽概要
https://www.meti.go.jp/statistics/tyo/iip/result/pdf/press/b2020_202404kj.pdf

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【動向】
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●2024年問題の影響、「マイナス」が5割超/民間調査

東京商工リサーチは17日、「2024年問題に関するアンケート」調査結果を発表した。
「2024年問題」が会社経営に及ぼす影響を尋ねたところ、「大いにマイナス」13.9%、「どちらかというと
マイナス」41.3%で、「マイナス」の影響、は合計55.3%で、前回調査(2023年10月)の61.9%から
6.6ポイント改善したが、依然として影響がある。産業別での「マイナス」回答比率は、卸売業(65.8%)が
トップ、次いで、建設業(64.1%)、製造業(60.7%)、運輸業(60.4%)が続く。前回調査で「マイナス」
の影響が72.7%だった運輸業は、今回12.2ポイント低下。荷主・元請との交渉や社内体制が整い始めた可能性
があるとしている。マイナスの影響は、「物流・建設コスト増加による利益率の悪化」が71.4%で、前回調査
に引き続きトップだった。
https://www.tsr-net.co.jp/data/detail/1198679_1527.html

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【企業】
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●両立支援型店舗の運営開始/大東建託リーシング

大東建託は7日、グループ企業の大東建託リーシング(不動産賃貸仲介業)で「両立支援型店舗」の
運営を開始したと発表した。「いい部屋ネット藤沢店」を5月7日より両立支援型店舗1号店として、
「土日を店休日・時短営業(10:00~16:00、12:30から昼休憩1時間)・完全予約制」を導入。
育児・介護などにより従来の勤務形態での就業継続が困難となる従業員の支援、柔軟に働ける環境作りを
目的とし、顧客にとっても来店しやすい店舗となるよう、課題抽出も並行して実施する、としている。
https://www.kentaku.co.jp/corporate/pr/info/2024/release_eheyafujisawa_240607.html

●賃上げおよび初任給の引き上げ/東邦銀行

東邦銀行(本店・福島市)は10日、賃上げおよび初任給引き上げを発表した。賃上げは、ベースアップ・
定期昇給等により、平均7.7%・最大11.6%の水準。実施日は2024年10月1日。パートタイマーの時給引き上げ、
ベテラン層の活躍促進に向けた環境整備および処遇向上施策としている。また、25年4月1日より、「大卒・
転居を伴う転勤あり」の初任給を26万円(4万円引き上げ)とする予定。将来を担う人財を積極的且つ安定的に
確保する観点からとしており、若手層のモチベーションと成長意欲向上を目的とした賃上げも実施予定としている。
https://www.tohobank.co.jp/cms_source/data/newsrelease/files/20240610.pdf

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【海外】
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●国別労働トピック/JILPT

<OECD>
▽世界経済は緩やかに回復、2025年の成長率は3.2%と予測―OECD経済見通し2024」

経済協力開発機構(OECD)は2024年5月2日、「経済見通し2024:回復の兆し (Economic Outlook 2024:
An unfolding recovery)」と題する報告書を公表した。世界経済の見通しは明るくなり始めているものの、
成長は依然として緩やかになると分析。金融引き締めの影響が引き続きみられるが、インフレ率は予想以上に
早く低下しており、世界経済は比較的底堅いとして、2025年の世界の経済成長率は3.2%、OECDのインフレ率は
3.4%と予測した。失業率は記録的な低水準かそれに近い状況にあるとし、OECD全体の平均失業率の予測値は5.0%とした。(JILPT調査部)
https://www.jil.go.jp/foreign/jihou/2024/06/oecd_02.html

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【イベント】
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●「アサーティブ・コミュニケーション講座」/神奈川県労働福祉協会

神奈川県労働福祉協会は7月25日(木)に「アサーティブ・コミュニケーション講座」をライブ配信で開催する。
日常の業務の中で活用できる、アサーティブ・コミュニケーションの根底にあるマインドと実践的なコツを
紹介。講義翌々日から、オンデマンド配信もあり(1カ月間視聴可)。受講料8,250円。要事前申込。
https://www.zai-roudoufukushi-kanagawa.or.jp/assertive_communication.html