メールマガジン労働情報 No.1933

■□――【メールマガジン労働情報/No.1933】

昨年を上回る賃上げ、労務費転嫁のための価格交渉に関する指針の徹底を要請/「政労使会議」で首相 ほか

―2024年1月24日発行――――――――――――――□■

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  本号の主な内容
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【行政】昨年を上回る賃上げ、労務費転嫁のための価格交渉に関する指針の徹底を要請/「政労使会議」で首相
【統計】小規模事業所の7月現金給与額20万円、前年比1.6%増/毎勤特別調査 ほか
【労使】ベアなどの要求基準を1万2,000円とする2024年春季生活闘争方針を決定/JAMの中央委員会 ほか
【企業】退職した従業員を広く再雇用の対象とする、「カムバック制度」を開始/日通
【海外】地方自治体主導の外国人季節労働者・地域特化型ビザ制度の導入状況/韓国
【イベント】「テレワークセミナー」/東京テレワーク推進センター ほか

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【JILPTからのお知らせ】
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★第130回労働政策フォーラム 申込受付開始!
 「ガイダンスツールを活用した就職相談とキャリア支援─相談支援現場からの実践報告─」

本フォーラムでは、job tagの職業適性テスト(Gテスト)を中心とした研究開発成果をご紹介するとともに、
公的相談窓口や民間の学生・若者向け相談、ミドル層の再就職相談における活用事例を交えながら、
支援の現状と課題、適性検査/キャリアガイダンスツールの今後の可能性について議論・考察します。
なお、フォーラムに先立ち、教育や相談の場で様々な活用ができるガイダンスツール「VRTカード」の講習会を実施します。
https://www.jil.go.jp/event/ro_forum/20240227/index.html

 <第1部> 「VRTカード」講習会 ※会場開催(定員50名)
   日時 2月27日(火)13時00分~14時25分
   会場 AP日本橋 RoomA/B
      (東京都中央区日本橋3-6-2 日本橋フロント6階)

 <第2部> 研究報告・事例紹介・パネル討論 ※オンライン開催
   日時 2月27日(火)14時45分~17時10分

 ☆「VRTカード」とは
  https://www.jil.go.jp/institute/seika/vrtcard/index.html

★第129回労働政策フォーラム(オンライン開催) 申込受付中!
 <労働関係図書優秀賞記念企画>

テーマ :仕事と介護の両立─介護離職ゼロに向けた課題
日 時 :第1部 記念講演        2月1日(木)~5日(月)
     第2部 パネルディスカッション 2月5日(月)14時00分~16時30分
開催方式:Zoomウェビナー
参加費無料/申込期限1月31日(水)

本フォーラムでは、働きながら家族の介護をしている人に寄り添った地域の支援や、職場・企業における
両立支援の取組の現状と課題について議論し、介護離職の防止に向けて何が求められているのか考察します。
https://www.jil.go.jp/event/ro_forum/20240205/index.html

◇第21回北東アジア労働フォーラム「技術革新の雇用・労働への影響」の概要を公開(2023年11月9日開催)
https://www.jil.go.jp/foreign/labor_system/2024/01/20231109_report.html

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【行政】
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●昨年を上回る賃上げ、労務費転嫁のための価格交渉に関する指針の徹底を要請/「政労使会議」で首相

岸田首相は22日、政労使の意見交換会議に出席した。会議は、2024年春季労使交渉の開始に先立ち、意見交換を行うもの。
首相は、「我が国経済は、30年余り続いたコストカット型経済から、所得増と成長の好循環による新たな経済へ移行する
チャンスを迎えている」として、「物価動向を重視し、昨年を上回る水準の賃上げ」を求めた。なかでも、
中小企業・小規模企業における賃上げが不可欠とし、「労務費の価格転嫁を通じ、賃上げ原資の確保」のため、
経済団体に対して、労務費転嫁のための価格交渉に関する行動指針の徹底と取り組み状況のフォローアップなどを要請した。
https://www.kantei.go.jp/jp/101_kishida/actions/202401/22seiroushi.html
▽資料
https://www.cas.go.jp/jp/seisaku/atarashii_sihonsyugi/seiroushi/dai3/gijisidai.html

●医療・介護・障害福祉関係団体に賃上げを要請/意見交換で首相

岸田首相は19日、医療・介護・障害福祉関係団体との賃上げに関する意見交換を行った。
「賃金が上がり、可処分所得が増えるという状況を今年夏には確実に作り上げる、そのためにも、
医療・介護・障害福祉分野において、率先して賃上げを実現していく官民連携の姿勢が欠かせない」とし
「報酬改定による加算措置、賃上げ促進税制を活用いただき、報酬改定に見合う物価に負けない賃上げの実現、
それも現場の幅広い職種の方に賃上げを行き渡らせていくこと」を要請した。関係団体も、賃上げに向けて
積極的に取り組んでいく、とした。
https://www.kantei.go.jp/jp/101_kishida/actions/202401/19ikenkoukan.html
▽資料
https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_37461.html

●能登半島地震関連の、雇用・労働関係の特例措置をまとめたリーフレットを作成/厚労省

厚生労働省は23日、能登半島地震をうけて設けられた雇用や労働に関する様々な特例措置に関するリーフレットを作成した。
「被災された従業員の方、仕事をお探しの方向け」、「被災された事業主の方向け」にそれぞれの内容を一覧にまとめたもの。
被災地域をはじめとするハローワーク、労働基準監督署などで配布予定。
https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_37498.html
▽被災された従業員の方、仕事をお探しの方へ
https://www.mhlw.go.jp/content/11700000/001195027.pdf
▽被災された事業主の方へ
https://www.mhlw.go.jp/content/11700000/001195028.pdf

●「賃金構造基本統計調査」の「速報」を公表/厚労省

厚生労働省は例年3月に「賃金構造基本統計調査」の調査結果を公表しているが、「速報」として、
結果の一部(産業大分類×学歴別、勤続年数別、年齢階級×産業大分類別、年齢階級×学歴×企業規模別)を
1月24日に公表した。次号で速報内容を紹介予定。
https://www.mhlw.go.jp/toukei/list/chinginkouzou.html

●「女性活躍推進シンポジウム」/厚労省

厚生労働省は2023年度委託事業「民間企業における女性活躍促進事業」の一環として、
2月2日(金)、「女性活躍推進シンポジウム」をオンラインで開催する。
男女の賃金の差異をテーマとして、女性活躍に関する講演、パネルディスカッションを行う。
参加無料、HPから要事前申込。
https://www.joseikatsuyaku.jp/04_symposium.html

●「労使関係セミナー」を開催/中労委

中央労働委員会は、判例や労働法制に関する情報を広く発信し、労使紛争の未然防止と
早期解決を図ること等を目的として各地で「労使関係セミナー」を開催している。
2月19日(月)には東京都港区で開催し、講演と三者委員によるパネルディスカッションを行う。
参加無料。定員は80名程度、要事前申込。なお、今回は会場開催のみで、WEB配信は行わない。
▽労使関係セミナー・2023年度
https://www.mhlw.go.jp/churoi/roushi/index.html
▽中労委HP
https://www.mhlw.go.jp/churoi/

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【統計】
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●小規模事業所の7月現金給与額20万円、前年比1.6%増/毎勤特別調査

厚生労働省は19日、2023年「毎月勤労統計調査特別調査」の結果を公表した。
全国の主要産業の小規模事業所(常用労働者1~4人規模)の賃金、労働時間及び
雇用の実態を明らかにすることを目的に毎年実施しているもの。23年7月の
「きまって支給する現金給与額」は20万3,956円(前年比0.4%増)。男女別では、
男性が同2.2%増に対し、女性は同0.3%減。産業別では、「建設業」の27万4,365円
(同2.0%増)が最高額。常用労働者に占める女性の割合は58.4%(同1.1ポイント増)。
https://www.mhlw.go.jp/toukei/itiran/roudou/monthly/tokubetu/23/dl/toku2023_pdfhoudou.pdf
▽概況
https://www.mhlw.go.jp/toukei/itiran/roudou/monthly/tokubetu/23/dl/toku2023_pdfgaikyo.pdf
▽統計表
https://www.mhlw.go.jp/toukei/itiran/roudou/monthly/tokubetu/23/r05maitoku.html

●11月の実質賃金、前年同月比2.5%減少/毎勤統計確報値

厚生労働省は23日、11月の「毎月勤労統計調査」結果(確報・事業所規模5人以上)を公表した。
現金給与総額は、就業形態計で28万9,905円(前年同月比0.7%増)、うち一般労働者が37万9,900円(同1.1%増)、
パートタイム労働者が10万3,993円(同2.3%増)。一方、実質賃金は同2.5%減で20カ月連続の減少。総実労働時間は
138.3時間(同0.3%減)。うち、所定内労働時間は128.0時間(同0.1%減)、所定外労働時間は10.3時間(同1.8%減)。
https://www.mhlw.go.jp/toukei/itiran/roudou/monthly/r05/2311r/dl/pdf2311r.pdf
▽統計表等
https://www.mhlw.go.jp/toukei/itiran/roudou/monthly/r05/2311r/2311r.html

●労災の死亡者数4.1%減、休業4日以上死傷者数2.7%増/厚労省

厚生労働省は18日、2023年の労働災害発生状況(12月速報値)を公表した。死亡災害は、死亡者数が677人で
前年同期比4.1%減少。業種別では、陸上貨物運送事業23.1%増、建設業24.6%減、製造業2.3%減など。
休業4日以上の死傷者数は、12万2,436人で同2.7%増加。業種別では、第三次産業4.7%増、製造業2.1%増、
陸上貨物運送事業1.2%減、建設業0.3%減。公表された数値は、新型コロナウイルス感染症のり患による労働災害を除いたもの。
https://www.mhlw.go.jp/bunya/roudoukijun/anzeneisei11/rousai-hassei/dl/23-13.pdf

●24年1月の総人口、前年同月比66万人減/総務省人口推計

総務省は22日、人口推計の2024年1月概算値及び8月の確定値を公表した。24年1月1日現在の総人口(概算値)は1億2,409万人
(前年同月比66万人・0.53%減)。8月1日現在の総人口(確定値)は1億2,443万9千人(同64万3千人・0.51%減)。
年齢階層別(確定値)では「15歳未満」が2.22%減少、「15~64歳」が0.39%減少、「65歳以上」が0.08%減少。
うち「75歳以上」人口は3.83%増加した。
https://www.stat.go.jp/data/jinsui/pdf/202401.pdf
▽統計表等
https://www.stat.go.jp/data/jinsui/new.html

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【労使】
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●ベアなどの要求基準を1万2,000円とする2024年春季生活闘争方針を決定/JAMの中央委員会

機械・金属関連の中小労組を多く抱える産別労組のJAM(安河内賢弘会長、約36万7,000人)は19日、
都内で中央委員会を開催し、2024年春生活闘争方針を決定した。ベアや賃金改善分だけでみた賃上げ要求基準を
昨年方針の9,000円から3,000円上積みし、1万2,000円に設定した。安河内会長は、道半ばにある価格転嫁や
人手不足などを理由に、「中小企業こそ大幅な賃上げが必要だ」と強調した。(JILPT調査部)
https://www.jil.go.jp/kokunai/topics/mm/20240124.html

●「労使協創協議制」など労使自治を軸とした労働法制に関する提言を発表/経団連

経団連は16日、「労使自治を軸とした労働法制に関する提言」を発表した。
人口減少、DXの進展や、労働者の価値観や働き方が多様化するなかで、日本の産業競争力維持のために、
労使双方がよりよい働き方を探る必要があるとしたうえで、現行の労働基準法は画一的規制のために多様な働き方の実現を
難しくしている、労働法全般が詳細・複雑化し、労使の当事者の理解・活用の妨げとなっていると指摘し、労使自治を
軸とした労働法制を検討すべきとしている。具体的見直し事項として、(1)(過半数労組がある場合)労働時間規制の
デロゲーション(規制の例外を認めること)の範囲拡大、(2)(過半数労組が無い場合)労使コミュニケーション充実に向け
「労使協創協議制」(選択制)の創設、(3)就業規則作成時における意見聴取等の単位の見直し(事業場単位から企業単位へ)を挙げている。
https://www.keidanren.or.jp/policy/2024/007.html
▽連合:経団連「労使自治を軸とした労働法制に関する提言」に対する談話
https://www.jtuc-rengo.or.jp/news/article_detail.php?id=1287

●物価上昇への対応として、7割が「ベースアップ」実施/経団連調査

経団連は16日、「2023年人事・労務に関するトップ・マネジメント調査結果」を公表した。
「労使交渉・協議等における議論と結果」において、2023年の賃金改定で、特に考慮した要素(2つを選択)は、
「物価の動向」(54.0%)、「人材確保・定着率の向上」(49.7%)、「企業業績」(34.5%)など。
直近1年間程度における物価上昇の対応として実施したもの(該当を全て選択)は、「ベースアップ」(70.9%)、
「賞与・一時金(ボーナス)への加算」(18.6%)で、「一時金(ボーナス以外)の支給」と「対応していない」は
どちらも15.3%。「諸手当」では、配偶者手当の見直しについて「議論した」が78.6%、議論の結果では
「手当の廃止(段階的廃止を含む)」が63.2%に上った。このほか、採用方法の多様化、男性の育児休業取得率等の両立支援、
高齢者雇用など幅広いテーマに関する調査結果をまとめている。
https://www.keidanren.or.jp/policy/2024/006.pdf

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【企業】
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●退職した従業員を広く再雇用の対象とする、「カムバック制度」を開始/日通

日本通運は12日、過去に退職した従業員を広く再雇用する「カムバック制度」を導入し、1月から開始したと発表した。
同社では、出産・育児、介護等の事情により退職した従業員を再雇用する「ジョブ・リターン制度」を設けており、
「カムバック制度」は、その制度を拡充し、退職事由を限定せず、意欲ある退職従業員を再雇用するとしている。
https://www.nipponexpress-holdings.com/ja/press/2024/20240112-1.html

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【海外】
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●国別労働トピック/JILPT

<韓国>
▽地方自治体主導の外国人季節労働者・地域特化型ビザ制度の導入状況

ナラサルリム研究所は2023年8月、「地方自治体主導の外国人(移民)政策分析:季節労働者及び地域特化型政策を中心に」
という報告書を発表した。韓国では急速な少子高齢化が進行し、特に地方の農村、漁村は深刻な人手不足によって消滅の危機に
直面しており、外国人労働力の受入れを拡大する傾向にある。外国人政策のうち、季節性のある農業・漁業分野を対象に
短期間外国人労働者を雇用できる「季節労働制度」及び「地域特化型ビザ」はいずれも、外国人政策の中で地方自治体が
大きな権限を持つ。この報告書では、これらの地方自治体が主導する外国人政策の状況と問題点についてまとめている。(JILPT調査部)
https://www.jil.go.jp/foreign/jihou/2024/01/korea_02.html

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【イベント】
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●「テレワークセミナー」/東京テレワーク推進センター

東京テレワーク推進センターは2月、テレワークに関するセミナーを会場とオンラインで開催する。
2月9日(金)は「社員も会社も納得して好循環を生む ハイブリッドワークにおける人事評価のポイント」(会場:立川市)、
2月16日(火)は「ワーケーションがもたらす人と企業の新たな価値創造」(会場:文京区)。どちらも参加無料、要事前予約。
定員各回(オンライン)300名、(会場)15名。
https://tokyo-telework.metro.tokyo.lg.jp/seminarevent

●セミナー「ハラスメント講座」/中災防
中央労働災害防止協会は2月13日(火)、セミナー「ハラスメント講座」を会場(東京都港区)と
オンラインのハイブリッド方式で開催する。対象は人事・労務担当者、産業保健スタッフなど。
午前は「もっと知りたい!ハラスメント対策~メンタルヘルス不調者をどう守るか」、
午後は「科学データに基づくパワハラ上司をつくらない職場づくり」を開催。参加費は各19,800円。
https://www.jisha.or.jp/seminar/health/h3981_anti_harassment.html