メールマガジン労働情報 No.1921

■□――【メールマガジン労働情報/No.1921】

育児との両立支援拡充案、残業免除は小学校就学前まで等/厚労省分科会 ほか

―2023年12月6日発行――――――――――――――□■

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  本号の主な内容
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【行政】育児との両立支援拡充案、残業免除は小学校就学前まで等/厚労省分科会 ほか
【統計】経常利益、前年同期比20.1%増/7~9月期法人企業統計調査
【労使】ベア分を含め5%以上を要求目標とする2024春季生活闘争方針を決定/連合の中央委員会 ほか
【動向】男性育休に関する男女の意識調査を発表/民間調査
【企業】「孫育」のための特別休暇を導入/九州電力
【海外】最低賃金、2024年4月より11.44ポンド/イギリス ほか
【イベント】「アサーティブ・コミュニケーション講座」/神奈川県労働福祉協会

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【JILPTからのお知らせ】
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★JILPTリサーチアイ(第79回)「なぜWell-beingを『幸せ』と訳すのでは足りないか?」
  労働市場・労働環境部門 研究員 鈴木恭子

Well-beingは生活の質をあらわす概念として、こんにち各国の公共政策において重要な位置を占める。
日本でも近年、学術的な議論や政策の場に限らず、企業経営やマスメディアで「ウェルビーイング」という言葉を広く目にするようになった。
本稿では労働との関連において、Well-beingという概念をどのように理解し位置づけるべきかを論じたい。
https://www.jil.go.jp/researcheye/bn/079_231129.html

◇『ユースフル労働統計2023―労働統計加工指標集―』を公開しました!

既存の労働統計から新しい統計指標を計算する方法と結果を紹介する資料集です。
2022年版より書籍としての刊行・販売を取り止め、ホームページにおける掲載(PDF)に移行しました(11月28日公表)。
https://www.jil.go.jp/kokunai/statistics/kako/2023/index.html

★企画展示「労働組合機関紙の世界」/労働図書館

JILPT労働図書館では、閲覧室内の展示コーナーで、テーマを決めて企画展示をしています。
現在は2024年2月16日(金)まで「労働組合機関紙の世界」と題し、所蔵する関連資料をご紹介しています。
https://www.jil.go.jp/lib/exhibition/index.html

★事務職員(中途・社会人経験者)の募集について

労働政策研究・研修機構では、事務職員(中途・社会人経験者)を募集しています。
リクナビNEXT応募フォームより、必要事項を記入して送信(応募)してください。
チームワークで仕事ができる方、幅広い好奇心・チャレンジ精神をもって仕事に取組み、
新しい分野について貪欲に学び続ける意欲のある方を歓迎します。
https://www.jil.go.jp/information/koubo/shokuin/2023/index.html

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【行政】
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●育児との両立支援拡充案、残業免除は小学校就学前まで等/厚労省分科会

厚生労働省は4日、労政審雇用環境・均等分科会を開催し、「仕事と育児・介護の両立支援対策の充実について(案)」を提示した。育児の両立支援としては、テレワークを子が3歳になるまでの両立支援として努力義務化するとともに、
短時間勤務制度の適用が難しい場合の代替措置に追加するとした。3歳以降小学校就学前までの支援拡充としては、事業主が始業時刻等の変更、テレワーク、短時間勤務制度、新たな休暇等から2つ以上を選択して措置し、労働者が措置の中から1つ選べるようにすることや、 所定外労働の制限(残業免除)を挙げた。
看護休暇については、病気やケガだけでなく、感染症に伴う学級閉鎖、 入・卒園式や入学式への参加でも取得できるようにする。
https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_36733.html
▽資料1(仕事と育児・介護の両立支援対策の充実について(案))
https://www.mhlw.go.jp/content/11901000/001174908.pdf

▽JILPT関連書籍
『介護離職の構造―育児・介護休業法と両立支援ニーズ』(※2023年度 労働関係図書優秀賞受賞)
 https://www.jil.go.jp/institute/project/series/2022/04/index.html

●男性国家公務員の育休取得率、初の7割超え/人事院調べ

人事院は11月29日、「仕事と家庭の両立支援関係制度の利用状況調査(2022年度)」結果を公表した。
2022年度の育児休業取得率は、一般職(常勤)の男性で72.5%、女性は99.1%だった。
取得率は、同年中に子が生まれた職員の数に対する、同年中に最初の育休を取得した職員の数の割合。
男性の育休期間は「2週間以上1月以下」が48.6%で最多、次いで「1月超3月以下」が22.5%。
配偶者出産休暇および育児参加のための休暇を合わせて「5日以上」使用した男性職員は、22年度に子が生まれた
男性職員の83.7%だった。
https://www.jinji.go.jp/kisya/2311/ikukyuR5gaiyou.html
▽報道発表資料
https://www.jinji.go.jp/kisya/2311/ikukyuR5syousai.pdf

●「年収の壁」対応のキャリアアップ助成金新コース開始/厚労省

厚生労働省は、10月1日以降、社会保険に加入となった労働者に対して、手当等の支給や労働時間の延長を行うなどの
収入を増加させる取組を行った事業主に、労働者1人あたり最大50万円を助成。受給のためには「キャリアアップ計画書」の
事前の届出が必要だが、特例として2023年10月から2024年1月31日までに取組を開始する場合は、2024年1月31日までに
労働局に提出できることとしている。

▽キャリアアップ助成金(社会保険適用時処遇改善コース)
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/koyou/kyufukin/syakaihoken_tekiyou.html
▽パンフレット
https://www.mhlw.go.jp/content/001162100.pdf

▽年収の壁突破・総合相談窓口
0120-030-045(フリーダイヤル)
受付時間 平日8:30~18:15(土日祝・年末年始(12/29~1/3)を除く)

●医師の働き方特設サイト/厚労省

厚生労働省は1日、「医師の働き方改革」に関する特設サイトをホームページ上に公開した。
2024年4月から始まる勤務医の残業時間の上限規制に関する情報発信や、リーフレット等の広報物を公開。
医師の働き方改革を進めるためには、医療機関や医療従事者だけでなく、患者を含む関係者の取組みも重要とし、
「診療時間内での受診への協力」や「“いつもの先生“以外の医療スタッフ対応への理解」について協力を呼びかけていく。
特設サイトでは今後、動画コンテンツを追加予定。
https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_36685.html

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【統計】
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●経常利益、前年同期比20.1%増/7~9月期法人企業統計調査

財務省は1日、2023年7~9月期の「法人企業統計調査」結果を公表した。全産業(金融業、保険業を除く)の企業動向を
前年同期比でみると、売上高(367兆7,350億円)は5.0%増(製造業3.5%増、非製造業5.6%増)、
経常利益(23兆7,975億円)は20.1%増で3四半期連続の増加(非製造業は40.0%増、製造業は0.9%減)、
設備投資(12兆4,079億円)は3.4%増。
https://www.mof.go.jp/pri/reference/ssc/results/data.htm
▽報道発表資料(2023年7~9月期)
https://www.mof.go.jp/pri/reference/ssc/results/r5.7-9.pdf

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【労使】
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●ベア分を含め5%以上を要求目標とする2024春季生活闘争方針を決定/連合の中央委員会

連合(芳野友子会長、683万7,000人)は1日、都内で中央委員会を開催し、2024春季生活闘争方針を決定した。
賃金引き上げの要求目標を「賃上げ分3%以上、定昇相当分(賃金カーブ維持相当分)を含め
5%以上の賃上げを目安とする」と設定。賃上げ要求幅の数字「5%」は2023闘争方針と同様だが、
「程度」としていた表現を「以上」に改め、昨年を上回る賃上げをめざすスタンスを明確にした。(JILPT調査部)
https://www.jil.go.jp/kokunai/topics/mm/20231206.html

●円安基調が業績に与える影響、「デメリット大」が47.8%/日商LOBO調査

日本商工会議所は11月30日、「商工会議所LOBO(早期景気観測)」11月調査結果を発表した。
「円安基調が業績に与える影響」によると、「メリットが大きい」は3.3%にとどまり、「デメリットが大きい」が47.8%と約5割。
「具体的なデメリット」(複数回答)は、「原材料、部品、商品等の仕入価格の上昇に伴う負担増」が85.0%、
「燃料・エネルギー価格の上昇に伴う負担増」が74.9%。
価格転嫁ができたことを理由とする設備投資は、前回調査比1.5ポイント減の8.5%。業況DI(全産業合計)はマイナス9.7で、
前月比0.8ポイントの上昇。原材料価格やエネルギー価格の高騰に加え、人手不足に伴う人件費上昇等、コスト負担の増加が続き、
十分な価格転嫁が行えていない中、人手不足も続き、中小企業の業況は足踏みが続いているとしている。
先行き見通しDIはマイナス13.6(今月比3.9ポイントの低下)。
https://cci-lobo.jcci.or.jp/wp-content/uploads/2023/11/LOBO202311.pdf

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【動向】
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●男性育休に関する男女の意識調査を発表/民間調査

パーソル総合研究所は11月17日、全国の男女1,100人(20~59歳)に対する「男性育休に関する本音調査」の結果を発表した。
男性に「育児に積極的に参加したいと思うか?」と尋ねたところ、76.3%が「参加したい」と回答。一方、育児・家事への
取組みについて、「どちらかというとパートナーの指示を待つ」「パートナーの指示を待つ」は、女性4.9%に対して男性23.1%と、
男性で指示待ちの比率が高い。適切な育休期間を「1カ月以上」と回答した男性は67.9%に上ったが、
実際に自分が取得するとしたら、その割合は50.0%に。男性育休について、「取らない」「1カ月未満」と回答した理由(複数回答)を尋ねると、
男性は「代替人員の不足」(21.4%)、「上司や同僚に迷惑をかけたくない」(19.2%)などが上位を占める。
女性は「育休中のパートナーの役割がよくわからない」(22.2%・1位)、「パートナーの育児をするイメージがない」(14.6%・3位)など、
男性の「取るだけ育休」「指示待ち育休」への懸念があるとしている。
https://www.persol-group.co.jp/news/20231117_12987/

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【企業】
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●「孫育」のための特別休暇を導入/九州電力

九州電力は11月30日、孫が生まれる際の立ち合いや、孫の世話・看病など、「孫育」のための特別休暇(看護休暇)を
12月1日から導入すると発表した。子育て世代に加え、支える側の祖父母世代が孫の育児にかかわる「孫育」を支援し、
あらゆる世代が育児参画し支え合う風土を醸成することが目的。小学校3年生までの孫が1人の場合は年5日、2人以上の
場合は年10日、特別休暇を取得できる。
https://www.kyuden.co.jp/press_h231130-1.html

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【海外】
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●国別労働トピック/JILPT

<イギリス>
▽最低賃金、2024年4月より11.44ポンド

政府は11月、来年度の最低賃金の改定額を決定した。2024年4月から、成人向けの額は前年より9.8%増の
11.44ポンド、また18-20歳向けは14.8%増の8.10ポンド、16-17歳向けは21.2%増の6.40ポンドとなる。
物価の上昇や人手不足などを背景として賃金水準が大幅に上昇する中、政府が掲げる平均的な賃金水準の
3分の2への引き上げを達成するため、これまでで最大の引き上げ幅となった。(JILPT調査部)
https://www.jil.go.jp/foreign/jihou/2023/12/uk_01.html

▽本人以外による代替が可能なプラットフォーム労働の従事者は労働者ではない―最高裁判決

最高裁判所は11月、プラットフォームを通じた料理配送サービスを行うデリバルー社の配達員について、
労働者ではないとする判決を下した。配達員の団体交渉権をめぐる行政機関の判断を不服として、
労働組合が行政審査の申し立てを行っていた件に関するもので、判決は、同社と配達員の契約が本人以外による
配達の自由を認めている点などを重視、両者の間に雇用関係があるとはいえず、このため団体交渉に関する
権利保護も適用されない、との判断を示した。(JILPT調査部)
https://www.jil.go.jp/foreign/jihou/2023/12/uk_02.html

<アメリカ>
▽なぜアメリカの労働者はストライキをするのか(そして勝つのか)?

労働政策研究・研修機構(JILPT)は11月29日、アメリカン大学のステフェン・シルヴィア教授を講師に迎え、
「なぜアメリカの労働者はストライキをするのか(そして勝つのか)?」と題する国際研究会を開催した。
研究会では、豊富な労働経済データとともに、ストライキ増加の要因を6つの角度から説明した。
その概要を紹介する。(JILPT調査部)
https://www.jil.go.jp/foreign/labor_system/2023/12/usa.html

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【イベント】
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●「アサーティブ・コミュニケーション講座」/神奈川県労働福祉協会

神奈川県労働福祉協会は2024年1月25日(木)に「アサーティブ・コミュニケーション講座」をライブ配信で開催する。
日常の業務の中で活用できる、アサーティブ・コミュニケーションの根底にあるマインドと実践的なコツを紹介。
講義翌々日から、オンデマンド配信もあり(1カ月間視聴可)。受講料4,000円。ライブ配信は定員100名、要事前申込。
https://www.zai-roudoufukushi-kanagawa.or.jp/assertive_communication.html