メールマガジン労働情報 No.1894

■□――【メールマガジン労働情報/No.1894】

社会保障・税による再分配後の所得格差は、横ばいで推移/厚労省調査 ほか

―2023年8月25日発行――――――――――――――□■

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  本号の主な内容
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【行政】社会保障・税による再分配後の所得格差は、横ばいで推移/厚労省調査 ほか
【統計】入職数・離職者数とも、対前年比で増加/2022年雇用動向調査 ほか
【動向】夫婦の家事分担、妻の割合は低下するも依然として8割超/社人研調査 ほか
【海外】第111回ILO総会を開催―質の高い見習い研修制度のための勧告を採択
【イベント】労働セミナー「これからの自分らしい働き方」/東京都労働相談情報センター ほか

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【JILPTからのお知らせ】
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★『日本労働研究雑誌』9月号を刊行しました!
   特集「労働組合のサステナビリティ」

 労働組合の衰退が言われて久しいですが、日本だけでなく先進国や途上国でも見られる
事象です。労働組合の弱体化については、産業構造の変化、グローバル競争の激化などの
社会経済構造の変化に対応できなかったためと言われています。本特集では、労働をめぐる
環境の変化に対し、労働組合がどう対応しようとしてきたのか、もしくはしてこなかった
のかを考察し、組合の持続可能性について考えます。
https://www.jil.go.jp/institute/zassi/backnumber/2023/09/index.html

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テーマ:企業で働く人の社会貢献活動と生涯キャリア
日 時:
 基調講演・研究報告  9月23日~27日(オンデマンド配信)
 事例紹介・パネル討論 9月27日(水)14時~16時30分(ライブ配信)
     花王株式会社、NPO法人藤沢市民活動推進機構、個人の実践者 ほか
参加無料
申込期限:9月22日(金曜)15時まで(要予約・定員1,000人)
https://www.jil.go.jp/event/ro_forum/20230927/index.html

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人事管理・労働経済コース 9月13日開講~11月30日(計15日)
労働法コース       9月 1日開講~11月28日(計15日)
 ※一部の講義は「会場+オンライン(ライブ配信)」のハイブリット開催

会 場:ビジョンセンター永田町(東京都千代田区)
受講料:4万5,000円(税込・各コース共通)
https://www.jil.go.jp/kouza/senmon/index.html

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【行政】
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●社会保障・税による再分配後の所得格差は、横ばいで推移/厚労省調査

 厚生労働省は22日、世帯ごとの所得格差や社会保障と税による再分配の効果等を
明らかにする「所得再分配調査」の2021年調査結果を公表した。所得格差を示す
ジニ係数は、再分配前の当初所得の0.570に対し、再分配所得では0.3813、改善度
33.1%となった。当初所得は、2005年(0.5283)以降、上昇傾向にあるが、再分配
所得は、0.38前後で推移しており、社会保障を中心とした所得再分配機能に一定の
効果があった結果であるとしている。当初所得のジニ係数の上昇傾向については、
65歳以上世帯の増加と現役世帯の減少の影響によるものと分析している。
(報道資料)
https://www.mhlw.go.jp/toukei/list/dl/96-1/R03press.pdf
(報告書)
https://www.mhlw.go.jp/toukei/list/dl/96-1/R03hou.pdf

●介護職員の働きやすい職場環境づくり、大臣表彰の受賞者決定/厚労省

 厚生労働省は23日、2023年度「介護職員の働きやすい職場環境づくり 内閣総理大臣
表彰・厚生労働大臣表彰」の受賞者決定を発表した。介護職員の待遇改善、人材育成
および介護現場の生産性向上への取組が優れた介護事業者を表彰し、それらの好事例
の普及を目的に2023年度より実施するもの。受賞者(全60事業者)の一覧と、6つの
取組事例を紹介している。表彰式は24日に首相官邸で行われた。
https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_34818.html
(受賞者の取組み事例)
https://www.mhlw.go.jp/content/12304250/20230823_hyosyo_torikumi.pdf
(表彰式・首相官邸)
https://www.kantei.go.jp/jp/101_kishida/actions/202308/24hyoushou.html

●企業における「人権尊重の取組み促進」に向け、検討会設置/厚労省

 厚生労働省は23日、第1回「国内の労働分野における政策手段を用いた国際課題への
対応に関する検討会」を開催した。同省は2022年9月、国際スタンダードを踏まえた
企業による人権尊重の取組を促進するため、「責任あるサプライチェーン等における
人権尊重のためのガイドライン」を策定。一方で、企業がガイドラインに沿って対処
するにあたり具体的な取組方法がわからないという課題もあることから、労働分野での
課題に対する解決プロセスや国際協力を推進するための戦略について検討する。
https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_34806.html

●新たに36万人が「技能士」に、2022年度「技能検定」/厚労省

 厚生労働省は10日、2022年度の「技能検定」実施状況を公表した。受検申請者数は
計86万9,319人(前年度比10.6%減)。合格者数は計35万9,641人(同2.3%減)。
 技能検定制度は、働く上で身につけるべき、または必要とされる技能の程度を国が
証明するもので、「ファイナンシャル・プランニング」「機械保全」「機械加工」
「機械検査」「プラスチック成形」など131職種で実施。最も受検申請者が多いのは
「ファイナンシャル・プランニング」(53万9,871人)だった。
https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_34615.html

●大学学部の女子学生の割合、45.7%で過去最高/文科省・学校基本調査

 文部科学省は23日、2023年度「学校基本調査(速報値)」を公表した。2023年5月
1日時点で、国公私立大学の学部生は263万3千人で過去最多。うち女子学生数
(120万4千人)も過去最多となり、女子学生の割合は45.7%と過去最高を記録。
大学教員についても、女性教員の割合(27.2%)が過去最高となった。
https://www.mext.go.jp/content/20230823-mxt_chousa01-000031377_001.pdf

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【統計】
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●入職数・離職者数とも、対前年比で増加/2022年雇用動向調査

 厚生労働省は22日、2022年「雇用動向調査」結果を公表した。年初の常用労働者
数に対する割合である入職率、離職率はそれぞれ15.2%(前年比1.2ポイント上昇)
と15.0%(同1.1ポイント上昇)。就業形態別の入職率・離職率は、一般労働者は
11.8%・11.9%、パートタイム労働者は24.2%・23.1%で、いずれも上昇。産業別
では、「宿泊業,飲食サービス業」が入職率34.6%に対して離職率26.8%、「生活
関連サービス業,娯楽業」で入職率23.2%、離職率18.7%と、いずれも入職超過。
https://www.mhlw.go.jp/toukei/itiran/roudou/koyou/doukou/23-2/index.html
(報道発表資料)
https://www.mhlw.go.jp/toukei/itiran/roudou/koyou/doukou/23-2/dl/siryo.pdf
(概況全体版)
https://www.mhlw.go.jp/toukei/itiran/roudou/koyou/doukou/23-2/dl/gaikyou.pdf

●労働争議270件、過去2番目の低さ/厚労省調査

 厚生労働省は23日、2022年「労働争議統計調査」の結果を公表した。ストライキや
ロックアウトなど争議行為を伴う争議は65件(前年55件)、争議行為を伴わない争議
は205件(同242件)で、両者を合わせた「総争議」270件は、過去2番目に低い。
主な要求事項(複数回答)は「賃金」が139件(51.5%)で最多。次いで「組合保障
及び労働協約」103件、「経営・雇用・人事」98件など。産業別では「医療,福祉」22件、
「情報通信業」13件、「製造業」11件の順に多い。
https://www.mhlw.go.jp/toukei/list/14-r04.html
(報道発表資料)
https://www.mhlw.go.jp/toukei/list/dl/14-r04-09.pdf
(概況)
https://www.mhlw.go.jp/toukei/list/dl/14-r04-08.pdf

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【動向】
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●夫婦の家事分担、妻の割合は低下するも依然として8割超/社人研調査

 国立社会保障・人口問題研究所は22日、「第7回全国家庭動向調査」結果を発表した。
妻と夫の1日の平均家事時間は、妻が平日247分・休日276分となり、2018年調査より減少。
夫は平日47分・休日81分で前回調査より増加。妻の家事分担割合は低下しているものの、
依然として80%を超える水準にある。同調査は、出産・子育ての現状、家族関係の実態を
明らかにし、家庭機能の変化の動向や要因を明らかにするための調査で、1993年から概ね
5年ごとに実施している。
https://www.ipss.go.jp/ps-katei/j/NSFJ7/Kohyo/NSFJ7_yoshi_20230822.pdf
(詳細)
https://www.ipss.go.jp/ps-katei/j/NSFJ7/Kohyo/keteidoukou7_gaiyou_20230822.pdf

●「必要な食料が買えなかった経験がある」、ひとり親世帯で2割に/社人研調査

 国立社会保障・人口問題研究所は22日、「2022年 生活と支え合いに関する調査」結果の
概要を発表した。過去1年間に、必要な食料が買えなかった経験のある世帯は 11.1%
(前回調査13.6%)、衣服では12.1%(同15.0%)といずれも前回より減少。ひとり親世帯
では、食料が買えない経験をした割合が20.8%、衣料が18.8%と高い。
 同調査は、人々の生活、家族関係、社会経済状態、および公的給付や社会ネットワークの
支援が果たす機能を把握するため、5年毎に実施している。
https://www.ipss.go.jp/ss-seikatsu/j/2022/SSPL2022_press-release/SSPL2022_press-release.pdf
(詳細)
https://www.ipss.go.jp/ss-seikatsu/j/2022/SSPL2022_gaiyo/SSPL2022_gaiyo.pdf

●公立学校教員の長時間労働、残業代支給されない「給特法」の見直しを/日本労働弁護団

 日本労働弁護団は18日、「公立学校教員の労働時間法制の在り方に関する意見書」を
発表した。教員の長時間労働は数多くの過労死等を引き起こすとともに、教員志願者数の
減少・教員不足等を招き、教育の質の低下を引き起こす社会問題となっているとして、
いわゆる「給特法」の問題点を指摘、見直しを求めた。「給特法」とは、教育職員に対
して給料月額の4%相当額を支給する一方、時間外勤務手当や休日勤務手当を支給しない
ことを定めたもの。
https://roudou-bengodan.org/topics/12223/

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【海外】
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●国別労働トピック/JILPT

<ILO>
▽第111回ILO総会を開催―質の高い見習い研修制度のための勧告を採択

 国際労働機関(ILO)は、2023年6月5日から16日にかけて、第111回総会を開催した。
スイスのジュネーブにあるILO本部において4年ぶりに全ての議事が対面で行われ、
187の加盟国から政労使の三者構成による代表団約5千人が出席した。総会では、
見習い研修制度(徒弟制度)に関する勧告の採択、公正な移行に関する一般討論など
が行われた。
https://www.jil.go.jp/foreign/jihou/2023/08/ilo_02.html

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【イベント】
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●労働セミナー「これからの自分らしい働き方」/東京都労働相談情報センター

 東京都労働相談情報センターは、労働セミナー「これからの自分らしい働き方~
自分らしいライフデザインを実現するための育業の活かし方&様々な柔軟な働き方~」を
中野区で開催する。日時は、10月10日(火)と13日(金)の18時30分~20時30分。
自分らしいライフデザインを実現するための育業の活かし方や様々な柔軟な働き方について、
専門家が解説する。受講無料。要事前申込、定員50名。
https://www.hataraku.metro.tokyo.lg.jp/seminarform/index/detail?kanri_bango=seminar-zchuo-001395

●「テレワークセミナー」/東京テレワーク推進センター

 東京テレワーク推進センターは、テレワークに関するセミナーを9月5日(火)、
15日(金)、25日(月)に文京区及びオンラインで開催する。データからみるハイブリッド
ワークの推進ポイント(5日)、ハイブリッドワークにおける職場のメンタルヘルス
対策(25日)など。参加無料。要事前予約。定員各回15名(会場)、300名(オンライン)。
https://tokyo-telework.metro.tokyo.lg.jp/seminarevent

●「全国シンポジウム2023」/経営民主ネットワーク

 経営民主ネットワークは9月25日(月)14時から、「全国シンポジウム2023」
(メインテーマ「企業再編と労働組合の社会的役割」)を港区で開催する。報告は、
中村圭介(東京大学名誉教授)「企業再編と労働組合の役割」ほか。参加無料。
 会場:友愛会館901号会議室(東京都港区芝2―20―12 友愛会館9階)
 申込先:経営民主ネットワーク(リンク先なし)
  TEL&FAX:0475(88)3821
  E-mail:jwdnetwork[at]mbr.nifty.com  [at]を@ にご修正ください