調査シリーズNo.214
「同一労働同一賃金の対応状況等に関する調査」
(企業に対するアンケート調査 及び ヒアリング調査)結果

2021年11月12日

概要

研究の目的

令和2年4月1日より、 「パートタイム・有期雇用労働法」が施行された(中小企業は、令和3年4月1日から適用)。そこで、(同法の適用前ながら)中小企業を中心とする「アンケート調査」を実施して、「同一労働同一賃金ルール」等に企業がどう対応しようとしているかの全体的な動向を把握するとともに、(既に適用されている)大企業に対しては別途、「ヒアリング調査」も行い、具体的な取組内容や待遇の変化、取組のプロセスや重要なポイント等を把握した。

研究の方法

アンケート調査 + ヒアリング調査

アンケート調査:
民間信用調査機関が所有するデータベースから層化無作為抽出した、16産業に於ける全国の10人以上規模の企業2万社を対象に、2020年10月14日~11月18日にかけて実査。回収された9,027社(45.1%)の有効回答を集計した。
ヒアリング調査:
厚生労働省より情報提供のあった首都圏の大企業を中心に依頼し、2020年8~9月に聴き取りを行い、5社について結果を取りまとめた。

主な事実発見

アンケート調査結果より

  • 全有効回答企業(n=9,027)を対象に「同一労働同一賃金ルール」の認知度を尋ねると、「内容はわからないが、同一労働同一賃金という文言は聞いたことがある」(31.4%)を含めた認知度は9割を超えたものの、「内容を知っている」企業は64.0%にとどまった(図表1)。

    図表1 「同一労働同一賃金ルール」の認知度

    図表1画像

  • 全有効回答企業のうち本年10月1日現在で「パートタイム・有期雇用労働者」を雇用している企業(n=6,877)を対象に、「同一労働同一賃金ルール」への対応(雇用管理の見直し)状況を尋ねると、「既に必要な見直しを行った(対応完了)」が14.9%、「現在、必要な見直しを行っている(対応中)」が11.5%、「今後の見直しに向けて検討中(対応予定)」が19.5%となり、総じて「必要な見直しを行った・行っている、または検討中」の企業が4割超となった(図表2)。一方で、約5社に一社(19.4%)が、依然として「対応方針は、未定・わからない」状態にとどまっている現状も浮き彫りになっている。

    図表2 「同一労働同一賃金ルール」への対応(雇用管理の見直し)状況

    図表2画像

ヒアリング調査結果より

  • 正社員以外の雇用区分として、いずれの企業も複数の区分を設けていたが、職務内容や人材活用の仕組み・運用等のいずれもが正社員と同じ区分はなかった。
  • 待遇の種類によって、既に正社員とパートタイム・有期雇用労働者とで同様にしているもの、同一労働同一賃金ルールが大企業に施行される2020年4月に向けて見直したもの、施行後も正社員とパートタイム・有期雇用労働者間に差異があるものと、各社それぞれである。なお、見直しに当たっては、パートタイム・有期雇用労働者の待遇の見直しを行っており、正社員の待遇を見直した企業はなかった。
  • 待遇の見直しに向けた具体的な行動としては、他社の動向や事例の情報収集、最高裁判決ほか裁判例についての情報収集などが多かった。
  • 同一労働同一賃金の取組を進める上での重要なポイントとしては、労働者側の納得を得られるようにすることを挙げた企業が多かった。
  • 同一労働同一賃金に向けた取組による効果を定量的に測定することは困難だが、パートタイム・有期雇用労働者の賃金の増加率などを挙げた企業もあった。また、パートタイム・有期雇用労働者自身にとっての処遇向上、満足度の上昇などのメリットのほか、会社としてのメリットを示した企業もあった。

政策的インプリケーション

アンケート調査結果より

  • 「同一労働同一賃金ルール」への対応方針を見定めてもらうためにも、まずは内容までの認知度を高めることが喫緊の課題である。
  • 「同一労働同一賃金ルール」への対応に当たり、 「労使の話合いを行った(行う)」 企業は半数に届かない。一方で、「パートタイム・有期雇用労働者」も含めて「労使の話合いを行った(行う)」企業ほど、「職場の公平・公正化や納得感の醸成」「働く意欲や生産性の向上」「人材の確保・定着」等の効果を見込む割合が高いことから、「労使の話合い」の重要性をそのメリットとともに啓発する必要がある。
  • 調査時点の割合は一定程度だが、「職務分離や人材活用の違いの明確化」のみの企業や、「正社員の待遇要素の減額や縮小」「(制度の)廃止」等を行う企業がみられ、引き続き、対応動向を注視する必要がある。

ヒアリング調査結果より

  • ヒアリング企業の取組、特にプロセス、進め方等共通する部分などは、他の企業の参考になり得るのではないか。
  • 国においては、具体的な取組を進めようとする企業への支援としてさまざまなツールを提供しているが、個々の企業の個別の待遇において待遇差が不合理かどうかの判断はやはりなかなか難しいことから、個別具体の事情に応じたできる限りきめ細かい支援が今後もますます重要になるのではないかと考える。

政策への貢献

アンケート調査結果について

ヒアリング調査結果について

本文

全文がスムーズに表示しない場合は下記からご参照をお願いします。

研究の区分

緊急調査

研究期間

令和2年度~3年度

調査・執筆担当者

藤澤 美穂
雇用構造と政策部門 統括研究員
渡邊 木綿子
雇用構造と政策部門付リサーチャー(当時)
現・調査部 政策課題 主任調査員

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