労働政策研究報告書 No.148
大都市の若者の就業行動と意識の展開
―「第3回若者のワークスタイル調査」から―

平成24年 3月30日

概要

研究の目的と方法

本報告書の目的は、東京都の20代の若者に対する「第3回若者のワークスタイル調査」(第1回は2001年)を通じて、大都市の若者の就業の実態や彼ら彼女らが直面している課題について明らかにし、政策的な支援の方向性について検討することである。

主な事実発見

知見は多岐にわたるので、一部のみ紹介する。

  1. 離学時の正社員比率は2006年調査より高まった。高等教育卒業者及び2005~2009年の景気回復の影響下にあった時期に学校を卒業した者の正社員比率は高いが、高卒者の正社員比率は低い水準のままである。この高卒者の離学時の正社員比率は、学校や職業安定機関を通して把握されている水準よりかなり低い。
  2. 2006年調査と比べて、離学時に正社員就職した場合の定着率は高まった。一方、離学時に無業や非典型雇用であった場合に後に正社員になる比率は、男性では5割と2006年の4割より高まったが、女性は3割で変わらなかった。この結果「非典型一貫」は男性では若干の減少がみられた。変わらない傾向は、中途退学者には「非典型一貫」が多いこと、中途退学者のうち20歳代後半男性では「他形態から正社員」も多いことである。
  3. 経年的な変化をみると、フリーターから正社員になろうとした割合は2001年から2006年に低下したのち、2011年にふたたび2001年の水準にまで戻った。しかし正社員になれた割合(離脱成功率)は、2001年の水準にまで戻ってはいない(図表参照)。

    図表 フリーター経験者のうち、正社員になろうとした者と正社員になった者(成功率)の割合

    図表 フリーター経験者のうち、正社員になろうとした者と正社員になった者(成功率)の割合/労働政策研究報告書No.148

  4. 職業意識の時系列的な比較によると、2001年に比べて堅実な意識を表明する20歳代の若者の姿が浮かび上がった。また、かつてのフリーターは専門知識や資格の取得に対する意欲が高かったが、フリーターを含む非典型雇用者についてみると、2011年ではその意欲が低下している。
  5. ソーシャル・ネットワークについてみると、相談ネットワークの豊かさは2006年には正社員>非典型雇用であったが、正社員と非典型雇用の間の関係は2006年時点よりも流動的になり、相談ネットワークについての差が明確でなくなってきていることがうかがえた。こうした変化は、20代でキャリアが何らかの意味で確立されるとは限らなくなり、むしろ20代という期間が全体としてキャリア探索期ないしキャリア形成期になったということを意味していると考えられる。

政策的含意

  1. 新卒就職支援について、就職活動の継続に対する支援および求職者に限ってきた支援の対象層の拡大
  2. 中途退学の実態把握と予防、退学後の支援
  3. 企業の正社員登用や新卒枠の緩和の促進のサポート
  4. 能力開発の促進
  5. 20歳代をキャリア探索期と捉えた相談機会、能力開発機会の充実

政策への貢献

若者雇用戦略会議、雇用政策研究会にて活用。

本文

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研究期間

平成23年度

執筆担当者

堀 有喜衣
労働政策研究・研修機構副主任研究員
小杉礼子
労働政策研究・研修機構統括研究員
寺地幹人
労働政策研究・研修機構臨時研究協力員
久木元真吾
公益財団法人家計経済研究所次席研究員

入手方法等

入手方法

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お問合せ先

内容について
研究調整部 研究調整課 03(5991)5104
ご購入について
成果普及課 03(5903)6263

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