給与生活者、25年連続貧困化

カテゴリー:雇用・失業問題労働条件・就業環境

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  • 国別労働トピック:2004年6月

カンピーナス総合大学のワルジル・クワドロス教授の分析によると、ブラジルの給与所得者は25年連続で貧困化していることが明らかになった。労働人口の増加を吸収できるような経済成長がないことに加え、犯罪の増加など治安の悪化も原因となっているようだ。マイナスのスパイラルから抜け出せないブラジルの経済社会情勢が浮き彫りとなった形だ。

サンパウロ州立カンピーナス総合大学のワルジル・クワドロス教授は、ブラジル地理統計資料院(IBGE)のデータを分析して、ブラジルの給与生活者は、25年間連続で貧困化しているとの結論を出した。分析によると1981年に3320万人いた給与生活者は、2002年の価値に修正して平均968レアル(1ドルは約3レアル)の世帯収入を有していたものが、2002年は、この人口が3680万人に増加したものの、平均収入は772レアルへ低下した。2003~2004年を見ると、収入低下はさらに悪化しているために、25年間の連続貧困化となる。この給与生活者の中で、中流のみを見ると、中流の上と分類される月収5000レアル以上の人口は、1981年に給与生活者全体に4.37%占めていたものが、2002年には4.14%へ低下した。中流の中のクラスは9.13%を7.57%へ、中流の下は29.03%から24.32%へとそれぞれ低下している。

この期間に、給与生活者に占める中卒(学歴12年)人口は320万人から1080万人へ増加した。しかしこのクラスの平均給料は2920レアルから、2200レアルへ低下している。同教授は、子供の将来に期待して教育に投資してきた中流は、最近の行政や社会に対し、当惑し、反感を持っていると結論を出している。さらに、年金を含めて、何らかの収入を持っていた人口は同期間に5290万人から9550万人へ増加した代わりに、平均収入は734レアルから700レアルへ低下しており、国民全体が長期に亘り貧困化している。貧困化と社会条件の悪化原因としては、労働人口の増加を吸収できる経済成長が無いこと、大量失業が慢性化し、特に低所得者のさらなる収入低下、社会全体が犯罪に曝されていることなどを指摘している。

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