マルコ・ビアジ教授による白書の立法化

※この記事は、旧・日本労働研究機構(JIL)が作成したものです。

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  • 国別労働トピック:2003年5月

弾力性の強化への道を開く法案を上院が最終的に承認したことで、マルコ・ビアジ元モデナ大学教授(注)による白書の成果である労働市場改革が、ついに立法化されることになった。改革の具体的な実施に関しては、新法の施行のために議会が政府に委任した10の実施政令を待つのみである。Roberto Maroni労働社会政策大臣は、「歴史的な日」であり、「ビアジ改革が承認されたことに満足し、感動している」とコメントした。

今回の上院の承認により、今年夏には、新法による新制度が始動することになろう。具体的には、呼び出し労働やジョブシェアリングが認められ、また、派遣業社や労働コンサルタント、大学等も、求人・求職業務を扱うことが可能になる。パートタイムについては、労働時間の弾力化がさらに進み、時間外労働の利用や労働時間帯の変更がより容易になろう。また、企業部門の移転に関する新たな規制も実施されることになる。さらに、スタッフ・リースを用いることで、労働者を期間の定めなく「賃貸する」ことも可能になる。

労働者および企業の双方にとって、きわめて大きな変化が生じることになる。今回の改革により新たな契約の機会が提供されることで、新たな人材の利用が可能になろう。ただし、新法の有効性を判断するには、データとして現れる成果を待たねばならないMaurizio Sacconi労働社会政策次官は、「労働者憲章以来の33年間で、最も果敢な今回の改革は、マルコ・ビアジがもっていた現代性の賜物である。この法律は、ヨーロッパの中で正規就業率が最も低く、闇労働率が最も高いイタリアを適正化し、その競争力を高めるために、待ち望まれてきた。同法による新たな規制は、とくに、南部の若年者、イタリア全土の女性および高齢労働者を、正規労働市場に取り込むのに寄与するであろう。」と述べた。

改革の実現には1年以上を要したが、いずれにせよ、ベルルスコーニ政府の掲げた改革の中で、最も早く具体化されたものであることには違いない。一方、労働者憲章第18条の見直し(解雇規制の暫定的修正)は、今回の改革には含まれていない。同条の修正が今回の改革の実現を阻害していたため、政府は、今回の法律から同条の修正を削除し、別の法案に盛り込んだのである。昨年7月に、政府、使用者団体ならびにCISL(イタリア労働者組合同盟)およびUIL(イタリア労働連合)との間で成立したイタリア協定(CGIL(イタリア労働総同盟)は署名せず)には、18条の修正、社会的緩衝措置および就業助成措置の改革も含まれていた。

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