基礎情報:イギリス(2013年)
6. 労使関係

6-1 労使関係

ビジネス・イノベーション・技能省(BIS)の「労働組合調査2011」(Trade Union Membership 2011)によれば、2011年における労働組合の組合員数は640万人で前年から14万3000人減少、また組織率は前年から0.6ポイント減の26%で、いずれも継続的な減少傾向にある。公共部門の組合員数は2010年までの6年間410万人前後で推移してきたが、2011年には18万6000人減少して390万人となった。組織率は前年から0.2ポイント増の56.5%で、これは政府の人員削減による影響を組合員層より未組織層が大きく受けたことによるとみられる。一方、民間部門の組合員数は2010年までの3年間で約45万人減少した後、2011年には4万3000人増の250万人となった。

一方、統計局資料("Labour Disputes, Annual Article 2011", ONS (2012))によれば、2011年の争議件数は149件で前年から57件増、損失日数は前年の36万5300日から138万9700日とほぼ4倍に達し、1990年以来の水準となった。公共部門におけるストライキの増加(47件から88件へ)が主な理由。

資料出所:Department for Business, Innovation and Skills, Office for National Statistics, 各ウェブサイト

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6-2 労働組合

ナショナル・センターであるイギリス労働組合会議(TUC)の組合員数は650万人(2009年)。傘下労組は54組織、主要組織は以下の通り。

表:主な労働組合と組合員数
組織名 組合員数
Unite(製造業等) 1,474,564人
UNISON(公務等) 1,374,500人
GMB(公務・製造・運輸など) 601,730人
Union of Shop, Distributive and Allied Workers(小売) 386,572人
Public and Commercial Services Union(公務など) 301,562人
National Union of Teachers(教員) 295,124人
NASUWT The Teachers' Union(教員) 279,145人
CWU(通信) 217,807人
Association of Teachers and Lecturers(教員) 125,778人
Union of Construction, Allied Trades and Technicians(建設) 127,433人
University and College Union(大学職員等) 119,401人

資料出所:TUCウェブサイト

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6-3 労使紛争処理制度

司法機関

  • 雇用審判所
  • 通常裁判所(契約違反、不法行為等コモンローに関する労働事件を扱う)

行政機関

助言・あっせん・仲裁局(ACAS):

労使等に対する助言、個別紛争及び集団紛争のあっせん、不公正解雇事件の仲裁等を行う。雇用審判所に申し立てられた事件については、まずACASによるあっせんが試みられる。

中央仲裁委員会(CAC):

集団紛争の仲裁等を行う。

平等人権委員会(EHRC):

性・人種・障害の有無等の差別事件に関する助言・指導、是正勧告等を行う。

私的手続

企業内の苦情処理制度(労働協約、就業規則等)

企業内の苦情処理について、制定法により次の3段階(標準手続の場合)の手続の導入。

  1. 従業員からの書面による苦情の申出
  2. 使用者によるミーティングの実施・苦情処理に関する決定の通知
  3. 決定に対する従業員からの異議申立
  • 従業員は、(1)の手続を経ないと雇用審判所への申立ができない。
  • 手続に従っていなかった当事者については、雇用審判所での補償金の増減という不利益が課せられる。

資料出所:JILPT『企業内紛争システムの整備支援に関する調査研究-中間報告書-』(2007)ほか

関連情報

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