メールマガジン労働情報 No.2091

■□――【メールマガジン労働情報/No.2091】

遺族(補償)等年金支給要件など議論/厚労省労働条件分科会労災保険部会 ほか

―2025年9月19日発行――――――――――――――□■

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  本号の主な内容
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【行政】遺族(補償)等年金支給要件など議論/厚労省労働条件分科会労災保険部会 ほか
【統計】8月の消費者物価指数、前年比2.7%上昇/総務省 ほか
【労使】「近年にない極めて大きな賃上げを果たし、大変大きな成果をあげた」と今春の賃上げ交渉を総括/自動車総連の定期大会 ほか
【動向】「IT投資」企業の9割が近年中に実施予定/民間調査
【企業】男性育休、1カ月必須に 本人・同僚対象に報奨金5万円/三井住友銀
【判例】ジェットスターに支払い命令 賃金体系変更「合理性なし」/東京地裁
【イベント】国際労働問題シンポ「プラットフォーム・エコノミー-新しい経済と私たちの働き方-」/大原社研・ILO駐日事務所 ほか

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【JILPT研究成果情報】
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◇記者発表「働く意識の変化や新たなテクノロジーに応じた労働の質の向上に向けた人材戦略に関する調査(企業調査・労働者調査)」
https://www.jil.go.jp/press/documents/20250916.pdf

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【JILPTからのお知らせ】
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☆「メールマガジン労働情報」は9月24日(水)の配信をお休みします。
  次回の配信は9月26日(金)です。

☆任期付研究員(テニュアトラック)の募集について(2026年度採用)

労働政策研究・研修機構では、労使関係・人事労務管理分野で任期付研究員(テニュアトラック)を募集します。
応募書類提出期限:2025年9月30日(火)必着。
【募集要項】
https://www.jil.go.jp/information/koubo/kenkyuin/2025/05.html

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【行政】
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●遺族(補償)等年金支給要件など議論/厚労省労働条件分科会労災保険部会

厚生労働省労働政策審議会労働条件分科会労災保険部会は18日、第120回会合を開き労災保険制度の在り方につい
て議論した。労災保険制度の具体的課題として、遺族(補償)等年金の夫と妻の支給要件差の解消についてや、
「消滅時効期間の見直し」「遅発性疾病に係る労災保険給付の給付基礎日額」などの論点が示された。
https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_63605.html

●日本交通産業不当労働行為再審査事件で初審命令を維持/中労委

会社がタクシー乗務員である組合員との雇用関係を終了したことが不当労働行為であるとして救済申立てがあった
事件の再審査事件において、中央労働委員会は3日、会社が当該組合員の勤務態度や勤務成績が低劣であるとし
て2014年に2度の改善指導等を行い、2017年には教育期間と位置付ける勤務シフトに変更を命じた後も、成績向
上のための改善意向を示さず標準営業収入を超えた月が一度もないなどの勤務態度や勤務成績を考慮して雇用終
了としたことには相応の合理性があり不当労働行為に当たらないとして、初審命令を維持し組合の再審査申立を
棄却した。
https://www.mhlw.go.jp/churoi/futouroudou/dl/r070904-1.pdf

●働き方・休み方改革シンポを開催/厚労省

厚生労働省は10月28日(火)、働き方・休み方改革シンポジウムをオンライン開催する。人手不足であるからこそ
働き方改革が重要であり、多様な人材の活用につながる柔軟な働き方の活用が大きなテーマになっているとして、
学識経験者による基調講演、企業の取り組み事例の紹介、パネルディスカッションを通じて、これからの働き方
改革、休み方改革について考える。対象は、事業主、企業の人事労務担当者、社会保険労務士。定員1,000人程度。
https://murc-jimukyoku.smartcore.jp/work-holiday_seminar2025

●第12回国際民商事法シンポ「東南アジア4か国の労働法制と実務対応」/法務省法務総合研究所・ICCLC

法務省法務総合研究所と国際民商事法センター(ICCLC)は10月9日(木)、第12回国際民商事法シンポジウム
「東南アジア4か国の労働法制と実務対応」を現地(大阪・中之島)とオンラインのハイブリッド開催する。
法律実務家と研究者が、インドネシア、フィリピン、ベトナム、マレーシアから招いた専門家と共に、日本企業
が現地に進出する際の留意点、各国の労働法制の比較研究の成果を発表する。
参加無料、日英同時通訳あり、レセプション(無料)あり。
https://www.icclc.or.jp/pdf/2025/info250917.pdf

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【統計】
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●8月の消費者物価指数、前年比2.7%上昇/総務省

総務省は19日、2025年8月の全国消費者物価指数を公表した。生鮮食品を除く総合指数は111.6で前年同月比
2.7%の上昇、上昇幅は7月の3.1%から0.4ポイント縮小した。前月比(季調値)は横ばい(0.0%)だった。
前年同月比で上昇が大きかったものは、「穀類」22.7%、「菓子類」11.5%など。下落が大きかったものは、
「授業料等」マイナス9.6%、「電気代」マイナス7.0%。
https://www.stat.go.jp/data/cpi/sokuhou/tsuki/index-z.html
▽報道資料
https://www.stat.go.jp/data/cpi/sokuhou/tsuki/pdf/zenkoku.pdf

●「全国イノベーション調査2024」結果を公表/NISTEP

科学技術・学術政策研究所(NISTEP)は17日、イノベーション活動の実態や動向を把握する「全国イノベーション
調査2024」結果を公表した。
2021年から23年までの3年間に、36%の企業(15万6,960社)がイノベーションを実現し、前回調査(2019~21
年)から約4%ポイント増加した。新製品・サービスを市場に導入する「プロダクト・イノベーション」を12%
(5万1,733社)が、業務プロセスを革新する「ビジネス・プロセス・イノベーション」は32%(約13.9万社)
が実現し、いずれも製造業での実施割合が前回より増加した。ディジタリゼーションの利用状況をみると、
9%の企業が機械学習(人工知能)を利用し、前回調査から約5%ポイント増加した。
同調査はガイドライン「オスロ・マニュアル」に準拠した国際比較可能な最新データとしてOECDにも提供される。
https://www.nistep.go.jp/archives/61459
▽全国イノベーション調査2024年調査統計報告/科学技術・学術政策研究所ライブラリ
https://nistep.repo.nii.ac.jp/records/2000265

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【労使】
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●「近年にない極めて大きな賃上げを果たし、大変大きな成果をあげた」と今春の賃上げ交渉を総括/自動車総連の定期大会

自動車総連(金子晃浩会長、78万1,000人)は4、5の両日、都内で定期大会を開催し、2025年春季生活闘争
(「2025年総合生活改善の取り組み」)の総括を確認した。今春の取り組みでは、賃金の制度維持分と改善分を
合わせた平均獲得額が1万2,886円で、1976年以降の最高水準を記録。金子会長はあいさつで、「近年にない極
めて大きな賃上げを果たし、全体としては大変大きな成果をあげることができた」などと評価した。来春闘に向
けては、取引の適正化に向けた取り組みである「グッドサイクル(好循環)運動」をさらにティア全域へ浸透さ
せ、「着実に深化させていかなければならない」との考えを示した。(JILPT調査部)
https://www.jil.go.jp/kokunai/topics/mm/20250919.html

●「ビジネスと人権」に関する考え方などで意見書/経団連

経団連は16日、「『人権尊重経営』の推進-『ビジネスと人権』に関する経団連の考え方と政府への期待-」を
発表した。企業が「人権尊重経営」に取り組む際の基本的な考え方や今後の対応、政府が年内に改定を予定して
いる「『ビジネスと人権』に関する行動計画(2020-2025)」に盛り込まれることを期待する取組などをまとめ
たもの。企業による自主的な人権尊重の取組は着実に広がっているものの、多様な人権リスクに対する万能の解
決策は存在しないとして、事例ごとに創意工夫を凝らし、実質的な問題解決に真摯に取り組む必要があるとした。
その上で、政府に対しては企業の実態や要望を十分に聴取し、創意工夫に基づく自主的な取組をニーズに合う形
で支援する施策の充実を求めた。(概要5頁)
https://www.keidanren.or.jp/policy/2025/056.html
▽概要
https://www.keidanren.or.jp/policy/2025/056_gaiyo.pdf

●経営者の「学び直し」、時間的な制約が課題/東商

東京商工会議所は12日、経営者を対象に実施した、「学び直しに関するアンケート調査」結果を発表した。回答
率は1.8%と低水準だったものの、学び直しの実施状況は「取り組んでいる」50%、「取り組んでいないが2~3
年以内に取り組みたい」20%と合計7割に達し、学習意欲の高さが目立つ結果となった。
学び直しに取り組む課題として、現在取り組んでいる経営者、取り組んでいない経営者のいずれも時間的な制約
を挙げる回答が最多だった。ヒアリングを行った4社の事例もとりまとめた。
https://www.tokyo-cci.or.jp/page.jsp?id=1207097

●中小企業向け「従業員承継チェックシート」を作成/東商

東京商工会議所は11日、従業員承継を検討する際に、事前確認すべきポイントをチェック項目形式でまとめた
チェックシートを作成した。中小企業の事業承継は、「親族内承継」が中心だったが、2020年以降に承継した企
業は3割が役員・従業員への承継となっていることから、中小企業の経営者が事業承継のステップごとに潜在的
リスクを参照しながら、自社の状況を確認できるようにしている。従業員承継に関する2社の事例を掲載している。
https://www.tokyo-cci.or.jp/page.jsp?id=1207049

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【動向】
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●「IT投資」企業の9割が近年中に実施予定/民間調査

帝国データバンクが12日に発表したIT投資に関する企業アンケート結果によると、約9割(88.8%) の企業が
2025年内または26年にIT投資を実施予定と回答、規模別では大企業98.5%、中小企業87.4%、うち小規模企業
83.0%。大企業が小規模企業を15ポイント以上上回り、規模間格差が顕著に表れたとしている。
投資目的(複数回答)では、PC買い替えなど「ハードウェアの更新」が最多の69.3%、「ソフトウェアの更新」
52.6%、「業務効率化・省人化」29.5%などが続いた。最も役立っているシステムのトップは、財務管理の効率
化のための「会計ソフト」39.8%、今後導入したいシステムとしては、従業員情報の管理と人材育成を行う
「人事管理システム(HRM)」9.3%、「顧客管理システム(CRM)」9.1%、などが挙がった。
https://www.tdb.co.jp/report/economic/20250912-it-investment/

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【企業】
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●男性育休、1カ月必須に 本人・同僚対象に報奨金5万円/三井住友銀

三井住友銀行が10月から、男性行員の約1カ月間の育児休業取得を原則必須とすることが11日、分かった。併せ
て、取得者本人と同僚に5万円の報奨金を支給する。育休取得により欠員が出ても、業務を意欲的にカバーでき
るようにするのが狙い。
報奨金は約2万4,000人の全行員が対象。6カ月以内の育休の場合に支給し、女性が取得した場合も対象とする。
従業員への報奨金支給により、育休による同僚の負担感を減らし、育休に協力的な職場づくりを目指す。
三井住友銀は、出産後に最長2年の育休を認めている。子育て支援に力を入れており、2023年度の男性行員の育
休取得率は10%を達成した。ただ、取得日数は平均12日にとどまっており、約1カ月の取得を目標としている。
時事通信(2025年9月11日)※リンクなし

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【判例】
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●ジェットスターに支払い命令 賃金体系変更「合理性なし」/東京地裁

格安航空会社ジェットスター・ジャパン(千葉県成田市)の客室乗務員(CA)ら15人が、同意なく賃金体系を変
更されたとして、計約1,270万円の未払い賃金の支払いを求めた訴訟の判決が11日、東京地裁であった。中野哲
美裁判長は「労働条件の変更に合理性は認められず、無効だ」として計約1,212万円の支払いを命じた。判決に
よると、同社は2021年4月に賃金体系を時給制から固定給制に変更するなどし、同意が得られなかった原告ら一
部のCAについても、22年8月から新制度に基づく支給を始めた。訴訟では、制度変更の合理性が争点となった。
中野裁判長は、新制度の導入で賃金が約3~10%減額され、CAらが相応の不利益を受けたと認定。同社側は一定
の賃金を保障する仕組みだと主張したが、「減額する必要性、相当性は認められず、CAらに対する説明も不十分
だった」として制度変更は無効と結論付けた。
判決後に都内で記者会見した原告の女性は「会社のマネジメント姿勢に警鐘を鳴らす判決だ」と評価した。
時事通信(2025年9月11日)※リンクなし

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【イベント】
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●国際労働問題シンポ「プラットフォーム・エコノミー-新しい経済と私たちの働き方-」/大原社研・ILO駐日事務所

法政大学大原社会問題研究所とILO駐日事務所は10月14日(火)、第38回国際労働問題シンポジウム「プラット
フォーム・エコノミー 新しい経済と私たちの働き方」を法政大学市ケ谷キャンパスにて開催する。
第1部では、2025年第113回ILO総会討議資料より、政府、労働者、使用者の立場から日本の現状について問題提
起する。第2部では、「プラットフォーム経済においてディーセント・ワークを実現するために、何ができるか」
をテーマにパネルディスカッションを行う。
https://www.hosei.ac.jp/info/article-20250905190914/

●シンポ「これからの日本の企業経営と経営者のあり方を考える~経営アカデミー60周年記念」」/日本生産性本部

日本生産性本部は経営アカデミーの設立60周年記念として2025年度第2回生産性シンポジウム「これからの日本
の企業経営と経営者のあり方を考える」を10月17日(金)にオンライン開催する。同アカデミーは、次世代リーダー
育成を目的に1965年に設立されたもので、約1万6,000人が修了した。節目の年にあたり、改めて困難な時代に
おける日本企業と経営者のあり方を考える。変革を牽引するリーダーシップと企業経営の核心についての基調講
演に続き、ファシリテーターを交えての質疑応答を予定している。
https://www.jpc-net.jp/news/detail/20250916_007718.html