メールマガジン労働情報 No.1956

■□――【メールマガジン労働情報/No.1956】

最低賃金、同一労働同一賃金等、都道府県労働局の行政運営方針を公表/厚労省 ほか

―2024年4月19日発行――――――――――――――□■

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  本号の主な内容
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【行政】最低賃金、同一労働同一賃金等、都道府県労働局の行政運営方針を公表/厚労省 ほか
【統計】2030年代前半に、平均世帯人員は初めて2人を割り込む/社人研 ほか
【労使】中小組合の賃上げは平均4.75%、全体では5.20%と高水準/連合第4回回答集計 ほか
【動向】企業の77.0%が賃上げ実施も、規模間で「格差拡大」懸念/民間調査
【企業】職位変更を選択可能とする「ポストチェンジ制度」を導入/京王電鉄
【海外】「ビジネスと人権」の国家行動計画(NAP)を改定/アメリカ ほか
【イベント】「D.L.ブルスティン博士講演会&シンポジウム」、東京と大阪で計3回開催/21世紀の働くを考える会

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【JILPT研究成果情報】
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◇資料シリーズNo.279『運輸業・郵便業における需要変動と労使関係』
https://www.jil.go.jp/institute/siryo/2024/279.html

◇資料シリーズNo.278『職業適性検査結果からみた職業能力の推移と評価―GATB経年データ分析に基づく検討―』
https://www.jil.go.jp/institute/siryo/2024/278.html

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【JILPTからのお知らせ】
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◇『データブック国際労働比較2024』を公開!

経済、労働、雇用状況、勤労生活等に関する各国の統計指標を、国際比較が可能な形に
編集・収録した年刊資料集です。
https://www.jil.go.jp/kokunai/statistics/databook/2024/index.html

★2025年度 職員(事務職員)募集について

労働政策研究・研修機構では、以下のとおり事務職員を募集します。
応募資格:1990年4月2日以降に生まれた方で、四年制大学以上卒業者(2025年3月卒業見込者を含む)。
労働問題に広い関心があり、円滑なコミュニケーションを築ける人材を求めています。
https://www.jil.go.jp/information/koubo/shokuin/2024/index.html

★2024年度「東京労働大学講座・総合講座」(5月開講、オンライン開催)受講者募集中!

<人事管理・労働経済>部門 5月7日火曜~7月3日水曜(17講義日+試験)
<労働法> 部門      7月9日火曜~8月30日金曜(14講義日+試験)
開催方式:オンライン開催(ライブ配信)※オンデマンド配信ではありません。
配信方法:Zoomウェビナー利用
講義時間:午後6時30分~8時30分まで(120分)
受講料 :1部門につき35,000円(税込)、2部門受講は58,000円(税込)
https://www.jil.go.jp/kouza/sogo/index.html

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主要な労働関係法規を持ち運びに便利な分量・判型に収めたコンパクトサイズの法規集です。
【B6判変型1,191頁 定価:1,980円(本体1,800円) 3月15日刊行】
https://www.jil.go.jp/publication/ippan/houkishu.html

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【行政】
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●最低賃金、同一労働同一賃金等、都道府県労働局の行政運営方針を公表/厚労省

厚生労働省は、2024年度の「地方労働行政運営方針」を策定し、公表している。
人手不足の克服、継続的な賃上げ、多様な働き方の実現などの政府方針のもとで、雇用環境・均等、労働基準等の
都道府県労働局の各行政分野が一体となって推進する課題を掲げている。「最低賃金・賃金の引上げに向けた支援、
非正規雇用労働者の処遇改善等」では、同一労働同一賃金の遵守のため、監督署の定期監督と雇均部室による
事業主からの報告徴収や是正指導との連携をあげている。「リ・スキリング、労働移動の円滑化等の推進」では
職務給の導入・配偶者手当の見直し促進、成長分野等への労働移動の円滑化など、「多様な人材の活躍と魅力
ある職場づくり」ではフリーランスの就業環境の整備、仕事と育児・介護の両立支援など、課題ごとの運営方針を示している。
https://www.mhlw.go.jp/content/10401000/001238524.pdf
▽2024年度「地方労働行政運営方針」の策定について
https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_39340.html

●官民連携によるコンテンツ産業活性化戦略について議論/新しい資本主義実現会議

政府は17日、「新しい資本主義実現会議」を開催し、官民連携によるコンテンツ産業活性化戦略について議論した。
首相は議論を踏まえ、「制作現場の労働環境や賃金といった面で、クリエイターが安心して持続的に働ける環境が
未整備。クリエイター個人の創造性が最大限発揮される環境を整備する必要がある」と述べ、契約適正化のため、
優越的地位の濫用防止と、独占禁止法抵触のおそれがあることを示す指針の作成を図り、官民で制作サイドに
収益を還元するビジネスモデルを構築する、とした。また、「海外展開促進のため、ビジネス展開の支援強化や、
留学支援、国内での学びの場の整備などを実施する」などと述べた。
https://www.kantei.go.jp/jp/101_kishida/actions/202404/17shihon.html

●経済団体等に、大学等卒業予定者の就職・採用活動について要請/政府

政府(内閣官房、文科省、厚労省、経産省)は「2025年度卒業・修了予定者等の就職・採用活動に関する要請事項」
を取りまとめ、16日、経済団体等(1,314団体)に要請した。日程・開始ルールは従来と同様で、広報活動3月・
採用選考活動6月・正式内定10月とし、学事日程等に十分配慮する。専門活用型インターンシップ(2週間以上)
で春休み以降に実施されるものを通じ高い専門的知識・能力を有すると判断された学生については、6月以前から
採用選考に入れることとする。また、学生の職業選択の自由確保のため、オワハラ防止の徹底等を要請。
https://www.cas.go.jp/jp/seisaku/shushoku_katsudou_yousei/2025nendosotu/index.html
▽2025年度卒業・修了予定者等の就職・採用活動に関する要請等について
https://www.cas.go.jp/jp/seisaku/shushoku_katsudou_yousei/2025nendosotu/2025betten1.pdf
▽厚労省:大学等卒業・修了予定者の就職・採用活動時期について
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000184189_00002.html

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【統計】
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●2030年代前半に、平均世帯人員は初めて2人を割り込む/社人研

社会保障・人口問題研究所は12日、「日本の世帯数の将来推計(全国推計)2024年推計」を公表した。
世帯総数は、2020年の5,570万世帯から2030年の5,773万世帯でピークとなり、その後、減少に転じ、
2050年には5,261万世帯となる。「世帯の単独化」が進み、平均世帯人員は、20年の2.21人から、33年に初めて
2人を割り込み1.99人に、50年には1.92人になる。「単独」世帯の数・割合は、20年の2,115万世帯・38.0%から
50年には2,330万世帯・44.3%(6.3ポイント上昇)に増加。2020~50年の間に、高齢単独世帯に占める未婚者の
割合は、男性は33.7%から59.7%、女性は11.9%から30.2%となり、近親者のいない高齢単独世帯が急増する。
推計は5年ごとに実施しており、今回は2020年の国勢調査を基に、2020~50年の30年間について将来推計したもの。
https://www.ipss.go.jp/pp-ajsetai/j/HPRJ2024/hprj2024_PR.pdf
▽資料
https://www.ipss.go.jp/pp-ajsetai/j/HPRJ2024/t-page.asp

●3月の消費者物価指数、2.6%上昇/総務省

総務省は19日、2024年3月の全国消費者物価指数を公表した。生鮮食品を除く総合指数は106.8で前年同月比
2.6%の上昇。前月比(季調値)は0.1%の上昇。前年同月比で上昇が大きかったものは、「生鮮果物」12.1%、
「教養娯楽サービス」9.4%、「菓子類」8.8%などの順。品目では「たまねぎ」38.7%、「りんご」32.8%、
「果実ジュース」28.0%、「宿泊料」27.7%などの上昇が目立つ。「都市ガス代」マイナス10.1%、「電気代」同1.0%
などは下落したが、下落幅は縮小。生鮮食品及びエネルギーを除いた総合指数は106.2、前年同月比は2.9%の上昇。
あわせて、2023年度平均の消費者物価指数も公表された。生鮮食品を除く総合指数は105.9で前年比2.8%の上昇。
生鮮食品及びエネルギーを除いた総合指数は105.3で、前年度比3.9%の上昇。前年度比で上昇が大きかった
ものは「乳卵類」15.2%、「家事用消耗品」11.7%、「菓子類」10.4%など。下落は「電気代」マイナス15.5%、「ガス代」同7.6%。
▽2024年3月分
https://www.stat.go.jp/data/cpi/sokuhou/tsuki/index-z.html
▽2023年度平均
https://www.stat.go.jp/data/cpi/sokuhou/nendo/index-z.html
▽報道資料:2024年3月分及び2023年度平均
https://www.stat.go.jp/data/cpi/sokuhou/tsuki/pdf/zenkoku.pdf

●労災の死亡者数18.4%減、休業4日以上死傷者数1.0%減/厚労省

厚生労働省は18日、2024年の労働災害発生状況(4月速報値)を公表した。死亡災害は、死亡者数が124人で
前年同期比18.4%減少。業種別では、陸上貨物運送事業は37.0%減、第三次産業13.3%減、建設業12.2%減など。
休業4日以上の死傷者数は、2万1,655人で前年同期比1.0%減。業種別では、第三次産業0.8%減、建設業2.2%減、
陸上貨物運送事業0.3%増。公表数値は、新型コロナウイルス感染症のり患による労働災害を除いたもの。
https://www.mhlw.go.jp/bunya/roudoukijun/anzeneisei11/rousai-hassei/dl/24-04.pdf

https://www.mhlw.go.jp/bunya/roudoukijun/anzeneisei11/rousai-hassei/

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【労使】
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●中小組合の賃上げは平均4.75%、全体では5.20%と高水準/連合第4回回答集計

連合は18日、2024春季生活闘争 第4回回答集計結果を公表した。
平均賃金方式で回答を引き出した3,283組合の加重平均は5.20%・1万5,787円(昨年同時期比1.51ポイント・4,765円増)
で、第3回回答集計の5.24%増とほぼ同水準を維持した。このうち、組合員300人未満の中小組合2,123組合の加重平均は
4.75%・1万2,170円(同1.36ポイント・3,714円増)。全体も中小組合も、比較可能な2013年以降で最も高い水準で、
「賃上げの流れ」は引き継がれている、としている。
https://www.jtuc-rengo.or.jp/activity/roudou/shuntou/2024/yokyu_kaito/kaito/press_no4.pdf?3657

●最低賃金行政等に関し、厚生労働省へ要請/連合

連合は16日、厚生労働省に対し、最低賃金行政等に関する要請を行った。日本の最低賃金が諸外国に比べ低い
ことや物価上昇を挙げ、中期的に大幅な水準引き上げをめざすこと、地域間拡散の縮小をはかることを求めた。
また、最低賃金の早期発効への配慮、労務費上昇分の適切な価格転嫁に向けた対応、最低賃金の履行確保のための
体制や改定額を踏まえた公契約の見直しや、家内労働・最低工賃について、最低賃金との均衡を考慮した協議や
策定サイクル(現行3年ごと)の見直し検討を要請した。
https://www.jtuc-rengo.or.jp/news/news_detail.php?id=2098
▽要請書
https://www.jtuc-rengo.or.jp/news/file_download.php?id=7765

●2024年に賃上げ「実施予定」は86.8%/経済同友会

経済同友会は11日、経営トップ等を対象に実施した2024年3月の「景気定点観測アンケート調査」結果を
発表した。景気の現状について、前回調査(12月)と比べ、「拡大している」が2.1%から4.3%に、
「緩やかに拡大している」が66.2%から67.6%へ増加したことなどから、景気判断指数は32.4から35.7へ
やや上昇した。雇用判断指数はマイナス45.6(前回43.0)で、2期連続で不足超が拡大。2024年に賃上げを
「実施予定」は86.8%、「実施予定なし」は4.9%。賃上げ率(年収ベース、見込)は「4~5%」(23.0%)が
最多で「5~6%未満」(19.7%)、「3~4%未満」(17.8%)と続くが、「8%以上」も5.9%に達した。
https://www.doyukai.or.jp/policyproposals/uploads/docs/20240411a.pdf

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【動向】
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●企業の77.0%が賃上げ実施も、規模間で「格差拡大」懸念/民間調査

帝国データバンクは18日、緊急調査「2024年度賃上げ実績と初任給の実態アンケート」結果を発表した。
2024年4月の正社員給与の前年同月からの変化(見込み含む)を尋ねたところ、「賃上げする/した」企業は
77.0%。内訳は、「3%増加」とした企業が22.0%で最多、「5%増加」15.0%、「2%増加」12.4%が続いた。
一方、「据え置き」は16.6%、「賃下げ」は0.6%。連合の目標である「賃上げ率5%以上」を実現した企業割合は
26.5%。規模別に「賃上げする/した」企業割合をみると、大企業は77.7%、中小企業は77.0%とほぼ同水準
ながら、小規模企業は65.2%。「原料費などの高騰を完全に価格転嫁できていない」、「固定費が上がっており
賃上げどころではない」など、賃上げに対して厳しい声があることも紹介している。
https://www.tdb.co.jp/report/watching/press/pdf/p240408.pdf

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【企業】
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●職位変更を選択可能とする「ポストチェンジ制度」を導入/京王電鉄

京王電鉄は16日、育児・介護・不妊治療中の管理職を対象に、最大3年間にわたって職位変更を選択可能とする
「ポストチェンジ制度」を新たに導入すると発表した。同日より開始し、移行期間の終了後は原則移行前の
職位に復帰する。育児・介護などのライフイベントに直面した管理職が、一時的に職位を変更することで業務負荷を
軽減し、ワーク・ライフ・バランスの比重を可変的にすることで、柔軟なキャリア形成を実現可能とする、としている。
あわせて、同社がこれまで導入したキャリア支援策(社外派遣、社内公募など)の実績も紹介している。
https://www.keio.co.jp/news/update/news_release/news_release2024/nr20240416_career%20support.pdf

●ベースアップと定期昇給で平均6%の給与水準引き上げ/ファーストキッチン

ファーストキッチンは、2024年4月分給与から基本給を一律1万2,000円引き上げると発表した。定期昇給と合わせて、
平均6%の給与水準引き上げとなる。対象は全正社員及び全エリア正社員の約200人。人材確保と、物価上昇する
環境下での社員の生活水準維持のため、としている。
https://www.first-kitchen.co.jp/idm/detail.php?inf_id=52

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【海外】
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●国別労働トピック/JILPT

<アメリカ>
▽「ビジネスと人権」の国家行動計画(NAP)を改定

米国務省は3月25日、ビジネスと人権に関する「国家行動計画(National Action Plan、NAP)を改定した。
「責任ある企業行動(Responsible Business Conduct、RBC)」を支援する取り組みを中心にした2016年12月
制定の計画を、人権・労働者の権利の強化などを進める観点からアップデートした。(JILPT調査部)
https://www.jil.go.jp/foreign/jihou/2024/04/usa_02.html

<中国>
▽安定志向が高まり、大学院志願者数が初めて減少

中国教育部の統計によると、中国の2024年の大学院志願者数は前年比で36万人減少し、438万人だった。
大学院志願者数が減少したのは9年ぶり。経済の見通しの不安と就職状況の悪化により、競争が激しく
なっている中で、大学院卒の有利性も揺らぎ始めている。一方で、安定を求めて、国家公務員試験への
参加が増えている。(JILPT調査部)
https://www.jil.go.jp/foreign/jihou/2024/04/china_03.html

<ILO>
▽強制労働による違法利益が年間2,360億ドルに増加

ILO(国際労働機関)が3月19日に発表した報告書によると、民間経済における強制労働による違法利益、
被害者数ともに大幅に増加している。(JILPT調査部)
https://www.jil.go.jp/foreign/jihou/2024/04/ilo_01.html

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【イベント】
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●「D.L.ブルスティン博士講演会&シンポジウム」、東京と大阪で計3回開催/21世紀の働くを考える会

「D. L. ブルスティン博士講演会&シンポジウム」が6月中下旬に東京および大阪にて計3回開催される。
「働くこと」と「ウェル・ビーイング」にフォーカスし、21世紀の"人間の仕事"を考える。
パネリストには、労働・キャリアの分野の研究者、有識者が登壇(JILPTの下村英雄副統括も参加予定)。
各回のテーマ・日程は次のとおり。会場参加とオンライン参加あり。
参加費は一般8,000円、連携団体4,000円、学生3,000円。
 第1回「働くことの未来への対話」6月16日(日) 東京会場
 第2回「企業組織で働くことへの対話」6月18日(火) 大阪会場
 第3回「社会課題と働くことへの対話(変化する社会の中での不安定就労)」6月22日(土) 東京会場
https://www.world-meeting.co.jp/blustein2024/index.html