メールマガジン労働情報 No.1926

■□――【メールマガジン労働情報/No.1926】

官民連携で国民の所得増加が物価上昇を上回る経済を実現/経済財政諮問会議 ほか

―2023年12月22日発行――――――――――――――□■

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  本号の主な内容
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【行政】官民連携で国民の所得増加が物価上昇を上回る経済を実現/経済財政諮問会議 ほか
【統計】労組組織率16.3%、前年比0.2ポイント低下/労働組合基礎調査 ほか
【労使】2交替制夜勤職場が48.4%で過去最高に/日本医労連調査
【動向】2024年の景気、企業の4割超で「踊り場」を見込む/民間調査
【企業】現役世代同等の報酬水準、複数年契約および雇用上限年齢を超えた雇用契約に制度改定/カルビー ほか
【海外】法定最低賃金(SMIC)専門家委員会の報告書―24年1月の改定は物価上昇並みの引き上げにとどめるよう勧告/フランス ほか
【イベント】「テレワークセミナー」/東京テレワーク推進センター ほか

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【行政】
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●官民連携で国民の所得増加が物価上昇を上回る経済を実現/経済財政諮問会議

政府は21日、経済財政諮問会議を開催し、新経済・財政再生計画の改革工程表の改定、マクロ経済運営について議論した。
会議では、内閣府から2024年度の物価上昇率は2.5%、所得増加率は3.8%(定額減税等による増加分を含む)との試算が
示された(▽資料の2頁)。首相は、議論を踏まえ、総合経済対策に加え、「率先した賃上げ姿勢を示す観点から、
来年度の医療・介護・障害福祉の報酬改定でも、医療福祉従事者の賃上げを実現するために必要な水準を措置する」、
「本年を上回る賃上げの動きとあわせ、夏には定額減税等の効果が加わることで、官民連携で国民の所得増加が
物価上昇を上回る経済を実現したい」などと述べた。
https://www.kantei.go.jp/jp/101_kishida/actions/202312/21keizai.html
▽資料(資料2-1「令和6年度経済見通しと経済財政運営の基本的態度」(ポイント))
https://www5.cao.go.jp/keizai-shimon/kaigi/minutes/2023/1221/agenda.html

●24年度介護報酬改定の審議報告を公表、大臣折衝で介護職員のベア2.5%へ/厚労省

厚生労働省は19日、社会保障審議会介護給付費分科会の「2024年度介護報酬改定に関する審議報告」をHPに掲載した。
同報告は、「特に近年、物価高騰や全産業における賃金の引上げが進む中で、サービス提供体制の確保の観点から、
介護人材の確保と介護事業所の健全な経営環境を確保することが重要な課題である」と指摘。
介護職員の処遇改善については、現行の3つの加算を「介護職員等処遇改善加算」に一本化することで多くの事業所が
活用できるようにすることや、生産性の向上等を通じた働きやすい職場環境づくりとして、テレワークの取り扱い、
介護ロボットやICT等のテクノロジーの活用促進、人員配置基準の特例的な柔軟化、などについて考えを示している。
なお、20日に財務大臣と厚生労働大臣との予算編成の折衝が行われ、24年度の介護報酬の改定率を全体で1.59%とし、
介護職員等の処遇改善(24年度に2.5%、25年度に2.0%のベースアップ)に確実に繋がるよう措置するとした。
https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_36975.html
▽厚労大臣会見概要(12月20日)
https://www.mhlw.go.jp/stf/kaiken/daijin/0000194708_00640.html

●自動車運転者の労働者性、判断事例の資料をホームページに掲載/厚労省

厚生労働省は21日、貨物軽自動車運送事業の自動車運転者に係る労働者性の判断事例に関する資料をHPに掲載した。
個人事業主とされていた自動車運転者から労災請求がなされた事案において、労働基準監督署による調査の結果、
労働基準法上の「労働者」に該当すると判断されたものがあったことを踏まえ、他の業種と比べて申告が多く、
判断に困難が伴うことも多い自動車運転者が、「労働者」に該当すると実際に判断された事例をまとめたもの。
同省は、契約上、個人事業主とされている場合でも、実態として、労基法上の労働者に該当する場合には、
労働基準関係法令を遵守する必要があるとして、適切な対応を求めている。
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/roudoukijun/gyosyu/roudoujouken05/index_00010.html

●10月の宅配便の再配達率が約11.1%に減少/国交省

国土交通省は19日、宅配便の再配達率のサンプル調査結果を公表した。2023年10月の宅配便再配達率は約11.1%で
前年同月(約11.8%)と比べ約0.7ポイント減、本年4月(約11.4%)と比べ約0.3ポイント減となった。
同省ではドライバー不足が深刻化する中、再配達削減のための多様な受取方を推進し、年2回(4・10月)調査を実施。
本年6月の関係閣僚会議による「物流革新に向けた政策パッケージ」では、2024年度に再配達率6%を目指すとしている。
https://www.mlit.go.jp/report/press/tokatsu01_hh_000736.html

●「人手不足相談窓口」を開設/中小企業基盤整備機構

中小企業基盤整備機構は21日、2024年1月より全国9ヶ所の地域本部およびオンラインで「人手不足相談窓口」を開設
すると発表した。併せて発表した「人手不足に関する中小企業・小規模事業者の意識調査(11月実施)」結果によると、
3割強が人手不足の状況を深刻と捉え、6割強が重要または将来的な課題と認識。特に建設業やその他サービス業、
飲食・宿泊業で深刻度が高い傾向。人材確保対策への取組は、シニアの活用は進んでいるものの、副業人材・外国人・
障害者の活用は進んでいない。業務効率化、職場環境整備等については、「行っていない/予定なし」の回答が
30%から50%あり、理由としてコストやノウハウ不足があがっている。これら調査結果や、中小企業からの支援ニーズ
(人手不足に関する相談窓口の開設、補助金制度、情報提供等)に対応するよう、同機構は人手不足に関する支援体制を
順次強化していくとしている。
https://www.smrj.go.jp/org/info/press/2023/bkmqel000000c6n2-att/20231221_press01.pdf

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【統計】
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●労組組織率16.3%、前年比0.2ポイント低下/労働組合基礎調査

厚生労働省は20日、2023年「労働組合基礎調査」結果を公表した。2023年6月30日現在の推定組織率は16.3%で、
前年比0.2ポイント低下し、過去最低。労働組合員数は993万8,000人で、同5万5,000人(0.5%)減少。
パートタイム労働者については、141万人で、同6,000人(0.4%)増加、組織率は8.4%で同0.1ポイント低下。
女性の労働組合員数は347万3,000人で、同2,000人(0.0%)増加、組織率は12.4%で同0.1ポイント低下。
https://www.mhlw.go.jp/toukei/itiran/roudou/roushi/kiso/23/index.html
▽報道発表資料
https://www.mhlw.go.jp/toukei/itiran/roudou/roushi/kiso/23/dl/houdou.pdf

●10月の実質賃金、前年同月比2.3%減少/毎勤統計確報値

厚生労働省は22日、10月の「毎月勤労統計調査」結果(確報・事業所規模5人以上)を公表した。
現金給与総額は、就業形態計で27万9,232円(前年同月比1.5%増)、うち一般労働者が36万3,772円(同1.9%増)、
パートタイム労働者が10万3,102円(同3.2%増)。一方、実質賃金は2.3%減で19カ月連続の減少。
総実労働時間は138.3時間(0.8%増)。うち、所定内労働時間は128.0時間(1.0%増)、所定外労働時間は10.3時間(1.8%減)。
https://www.mhlw.go.jp/toukei/itiran/roudou/monthly/r05/2310r/dl/pdf2310r.pdf
▽統計表等
https://www.mhlw.go.jp/toukei/itiran/roudou/monthly/r05/2310r/2310r.html

●11月の消費者物価指数2.5%上昇/総務省

総務省は22日、2023年11月の全国消費者物価指数を公表した。生鮮食品を除く総合指数は106.4で前年同月比2.5%の上昇。
前月比(季調値)は0.1%上昇で横ばい。前年同月比で上昇が大きかったものは、「生鮮果物」19.0%、「乳卵類」14.2%、「家事用消耗品」12.3%
などの順。品目では「宿泊料」62.9%、「りんご」31.3%、「ねぎ」29.0%などの上昇が目立つ。
一方、「電気代」マイナス18.1%、「ガス代」同11.6%などエネルギー価格が下落した。
https://www.stat.go.jp/data/cpi/sokuhou/tsuki/index-z.html
▽報道発表資料
https://www.stat.go.jp/data/cpi/sokuhou/tsuki/pdf/zenkoku.pdf

●23年12月の総人口、前年同月比62万人減/総務省人口推計

総務省は20日、人口推計の2023年12月概算値及び7月の確定値を公表した。23年12月1日現在の総人口(概算値)は1億2,424万人
(前年同月比62万人・0.50%減)。7月1日現在の総人口(確定値)は1億2,451万7千人(同60万8千人・0.49%減)。
年齢階層別(確定値)では「15歳未満」が2.11%減少、「15~64歳」が0.36%減少、「65歳以上」が0.09%減少。
うち「75歳以上」人口は3.94%増加した。
https://www.stat.go.jp/data/jinsui/pdf/202312.pdf
▽統計表等
https://www.stat.go.jp/data/jinsui/new.html

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【労使】
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●2交替制夜勤職場が48.4%で過去最高に/日本医労連調査

8時間以上の長時間勤務が前提となる「2交替制夜勤」を行う病棟(2交替病棟)が48.4%で過去最高に――。
日本医労連(佐々木悦子委員長、約14万4,000人)が13日に公表した「2023年度夜勤実態調査」で、
夜勤に従事する看護職員・看護要員の過酷な労働実態が明らかになった。集計データからは、長時間夜勤や
短い勤務間隔での労働が行われ、月の夜勤回数も依然として深刻な状況であることがうかがえた。
医労連は、改善に向けて看護師の増員や夜勤の改善を求めている。(JILPT調査部)
https://www.jil.go.jp/kokunai/topics/mm/20231222.html

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【動向】
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●2024年の景気、企業の4割超で「踊り場」を見込む/民間調査

帝国データバンクは、「2024年の景気見通しに対する企業の意識調査」結果を発表した。
2024年の景気について、「回復」局面を見込む企業は12.8%で22年11月調査の23年見通しと比べ1.3ポイント増加、
「踊り場」局面を見込む企業は42.1%(同3.0ポイント増)、「悪化」局面を見込む企業は20.3%(同5.0ポイント減)。
景気への懸念材料は、「原油・素材価格(の上昇)」(59.0%)が最多(複数回答可)。次いで「人手不足」(40.5%)が
前年より急上昇(14.4ポイント増)し、「為替(円安)」(37.4%)などが続く。
https://www.tdb.co.jp/report/watching/press/p231209.html
▽詳細
https://www.tdb.co.jp/report/watching/press/pdf/p231209.pdf

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【企業】
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●現役世代同等の報酬水準、複数年契約および雇用上限年齢を超えた雇用契約に制度改定/カルビー

カルビーは、定年到達後の社員に適用する「シニア社員制度」を2024年4月より改定すると発表した。
社内で他にいない高度な専門性を持ち、業績に貢献し、後継者への伝承に取り組む者をシニアマイスターとして新設し、
定年到達時処遇を引き継ぐ。また、現行のシニアエキスパートは社外でも通用する専門性などの定義はそのままで、
現役世代のエキスパート(高度な専門性を持つ人財)と同等の報酬に引き上げる。どちらも、契約期間は3年を上限に
双方合意で決定し、65歳の雇用上限年齢を超えて雇用継続可能とする。
https://www.calbee.co.jp/newsrelease/231221.php

●定期昇給分含む10.9%の賃上げを決定/松屋フーズ

松屋フーズホールディングスは11日、2024年4月1日の給与改定による正社員約1,835名のベースアップと
新卒初任給の引き上げ等を発表した。新卒初任給の引き上げ(大卒初任給230,000円を250,000円)に
ベア、定期昇給分等を加味し、10.9%の賃上げを実施。既に決定している「奨学金返済支援制度」や
「海外人材の確保(ダナン外国語大学とのインターンシップ協定)」との相乗効果により、
「優秀な人材の確保、従業員の定着率向上(モチベーション向上)」を志向し、「さらなる成長
(成長と分配の好循環)」を実現するとしている。
https://www.matsuyafoods.co.jp/whatsnew/topics/55900.html

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【海外】
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●国別労働トピック/JILPT

<フランス>
▽法定最低賃金(SMIC)専門家委員会の報告書―24年1月の改定は物価上昇並みの引き上げにとどめるよう勧告

法定最低賃金(SMIC)が1月1日に定例改定される。これに先立ち11月30日に専門家委員会の報告書が
政府に提出されたが、規定通りの物価上昇分の引き上げにとどめるよう勧告する内容だった。委員会は
SMIC引き上げに伴って賃金が引き上げられる労働者の割合が過去にない高い水準であることを問題視し、
SMICの過度な引き上げは、貧困問題の解決に悪影響を及ぼすと指摘している。また、産別協約の
最賃引き上げが遅れているため、個別の企業にも悪影響を及ぼす懸念があるとしている。(JILPT調査部)
https://www.jil.go.jp/foreign/jihou/2023/12/france_01.html

<中国>
▽2024年の新卒者の就職支援を強化

教育部は12月、来年の新規学卒者に対する26項目の就職支援措置を発表した。景気の低迷を受けて
若者の失業が悪化する中で、2024年に卒業する学生の就職や起業を後押しし、就職活動に関する
学校の責任を強めるほか、企業を招いて校内で求人活動を展開することなどを盛り込んでいる。(JILPT調査部)
https://www.jil.go.jp/foreign/jihou/2023/12/china_01.html

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【イベント】
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●「テレワークセミナー」/東京テレワーク推進センター

東京テレワーク推進センターは2024年1月、テレワークに関するセミナーを会場(文京区)とオンラインで開催する。
1月9日(火)は「テレワークで人手不足解消!活躍人材を採用し、生産性向上につなげるテレワーク活用術」、
1月16日(火)は「働き方はどう進化する?欧州の働き方の最新事情と今後の展望」。どちらも参加無料、要事前予約。
定員各回(オンライン)300名、(会場)15名。
https://tokyo-telework.metro.tokyo.lg.jp/seminarevent

●社会保険レベルアップ講座/神奈川県労働福祉協会

神奈川県労働福祉協会は2024年2月6日(火)、「社会保険レベルアップ講座」をライブ配信で開催する。
社会保険の基本を学び、さらに知識を深めたい方を主な対象としたレベルアップ講座で、
実務担当者の必須知識と、実務上の重要ポイントやイレギュラーなケースなどを解説する。
講義翌々日から、オンデマンド配信もあり(1カ月間視聴可能)。受講料15,000円、要事前申込。
https://www.zai-roudoufukushi-kanagawa.or.jp/hoken-levelup.html