メールマガジン労働情報 No.1887

■□――【メールマガジン労働情報/No.1887】

女性の有業者率は53.2%、2.5ポイント上昇/就業構造基本調査 ほか

―2023年7月26日発行――――――――――――――□■

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  本号の主な内容
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【行政】来所困難者対象にデジタル技術を活用した失業認定を試行/厚労省 ほか
【統計】女性の有業者率は53.2%、2.5ポイント上昇/就業構造基本調査 ほか
【労使】「未来につながる転換点となり得る」と総括/連合の2023春季生活闘争まとめ ほか
【動向】学部卒生の総合職採用で、初任給を引き上げた企業は70%/民間調査
【企業】過去最高の賃金改定、月額平均7.3%増/森トラスト・ホテルズ&リゾーツ
【イベント】労働セミナー「企業対応を詳細解説!病気の治療と就労の両立支援」/東京都 ほか

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【JILPTからのお知らせ】
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◇『日本労働研究雑誌』2023年8月号を刊行しました!
 特集「入職前後の労働関係─試用・徒弟」

 労働市場では、一人前の労働者としてはまだ必要な労務を提供できない者,あるいは
十分な労務提供が可能か不明な働き手はどのように扱われてきたのでしょうか。本号
では、職業的自立や安定的な関係に入る手前のさまざまな状態に着目し,その実態や
課題を浮かび上がらせることを目的として、非典型キャリアや企業内養成工制度など
について取り上げています。
https://www.jil.go.jp/institute/zassi/backnumber/2023/08/index.html

◇『ビジネス・レーバー・トレンド』2023年8・9月号を公開しました!
 労働者が安全・健康で働ける職場づくりに向けて

 安全・健康で働くことは、労働者のためであることはもちろん、安心できる豊かな
社会づくりや、働きやすい職場と充実した職業生活を通じての企業発展にとっても、
最重要なテーマだと言えます。本号では、職場環境の改善と労働者の健康確保のあり方
をテーマとした労働政策フォーラムや、各地域からのモニター報告、公的統計や労働
組合による実態調査結果などを紹介し、これからの安全・健康確保に向けた職場づくり
を考えます。
https://www.jil.go.jp/kokunai/blt/backnumber/2023/08_09/index.html

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【行政】
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●来所困難者対象にデジタル技術を活用した失業認定を試行/厚労省

 厚生労働省は21日、デジタル技術を活用した来所によらない失業認定の試行を離島
での実施に続き、障害や子育て中で来所が難しい人などを対象に、東京、大阪など
大規模労働局の9カ所のハローワークで新たに実施すると発表した。雇用保険受給に必要
な失業認定のため4週間に1回、ハローワークへの来所が必要だが、対象者のうち希望者
に対し、自宅からのオンライン面談による失業認定を可とするもの。2023年度末まで試行
し、検証を行うとしている。
https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_34276.html
(資料)
https://www.mhlw.go.jp/content/12602000/001123390.pdf

●SOMPOケア不当労働行為再審査事件で初審命令を維持/中労委

 SOMPOケア株式会社が、(1)組合員を雇止めあるいは解雇したこと、(2)団体交渉
において会社に責任を持つ者を参加させない等の対応をしたことが不当労働行為である
として、労働組合が救済申立てを行った事件において、初審神奈川県労委は、申立期間
徒過により申立てを却下した。これを不服として、組合員が(1)に係る再審査を申し立て
た事件において、中央労働委員会は7月21日、初審申立ては適法な申立期間を徒過した
ものであるとして、初審命令を維持し、組合員の再審申立てを棄却した。
https://www.mhlw.go.jp/churoi/futouroudou/dl/r050721-1.pdf

●建設業、運送業、病院等を対象とした働き方改革助成金のリーフレット公表/厚労省

 厚生労働省は、2024年4月から建設業、自動車運転手、医師に時間外労働の上限規制が
適用されるのにあわせ、一定の要件を満たす中小企業を対象とした働き方改革助成金
(適用猶予業種等対応コース)のリーフレットを公表している。要件の一つである成果目標は、
建設業が36協定の月60時間超の時間外・休日労働の縮減と所定休日の1日から4日以上増、
運送業が時間外・休日労働の同様の縮減と9時間以上の勤務間インターバルの導入、病院等は
月80時間超の時間外・休日労働の縮減、9時間以上の勤務間インターバルの導入と、労働時間
の実態把握等の実施。助成額の上限は、建設業830万円、運送業880万円、病院等930万円。
申請締め切りはいずれも11月30日。
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000120692_00001.html
(建設業)
https://www.mhlw.go.jp/content/001082504.pdf
(運送業)
https://www.mhlw.go.jp/content/001082505.pdf
(病院等)
https://www.mhlw.go.jp/content/001082506.pdf

●「労働者協同組合周知フォーラム」の開催/厚労省

 厚生労働省は、「労働者協同組合周知フォーラム」(西日本ブロック)を大阪市と
オンラインのハイブリッド形式で9月24日(日)に開催する。同フォーラムでは基調
講演や活動中の労働者協同組合による事例紹介を通じ、地域の課題解決に向けた活動
の選択肢として期待される労働者協同組合の魅力と可能性を伝えるとしている。労働者
が組合員として出資し自ら従事する労働者協同組合は、2022年10月の法人制度スタート
後、55法人が設立されている。
https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_34317.html
(フォーラム・西日本概要)
https://www.roukyouhou.mhlw.go.jp/forum/forum_nishinihon

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【統計】
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●女性の有業者率は53.2%、2.5ポイント上昇/就業構造基本調査

 総務省は21日、「2022年就業構造基本調査」結果を公表した。2022年10月1日現在
の有業者(収入を得る仕事のある人)は6,706万人で前回(5年前・2017年)調査比で
85万人増加、有業率は60.9%(同1.2ポイント上昇)。うち女性は3,035万4千人、
53.2%(同2.5ポイント上昇)。テレワークをした者は1,265万人(有業者比19.1%)。
年間の実施頻度は「20%未満」が最多、次いで「80%以上」。フリーランスの数は
209万人(同3.1%)、職業別では「学術研究,専門・技術サービス業」(13.5%)が
最も高い。有業者で育児をしている人は821万人、介護をしている人は365万人で、
前回調査に比べ、それぞれ5.9ポイント、2.8ポイント上昇。
https://www.stat.go.jp/data/shugyou/2022/index2.html
(結果の要約)
https://www.stat.go.jp/data/shugyou/2022/pdf/kyouyaku.pdf
(結果の概要)
https://www.stat.go.jp/data/shugyou/2022/pdf/kgaiyou.pdf

●5月の実質賃金、前年同月比0.9%減少/毎勤統計確報値

 厚生労働省は25日、5月の「毎月勤労統計調査」結果(確報、事業所規模5人以上)
を公表した。現金給与総額は、就業形態計で28万4,998円(前年同月比2.9%増)、
うち一般労働者が37万9円(同3.5%増)、パートタイム労働者が10万2,233円
(同3.5%増)。一方、現金給与総額指数を消費者物価指数で割った実質賃金は、同0.9%減
で14カ月連続の減少。総実労働時間は133.6時間(同2.0%増)。うち所定内労働時間は
123.9時間(同2.1%減)、所定外労働時間は9.7時間(同・増減なし)。
https://www.mhlw.go.jp/toukei/itiran/roudou/monthly/r05/2305r/dl/pdf2305r.pdf
(統計表等)
https://www.mhlw.go.jp/toukei/itiran/roudou/monthly/r05/2305r/2305r.html

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【労使】
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●「未来につながる転換点となり得る」と総括/連合の2023春季生活闘争まとめ

 連合(芳野友子会長)は21日、2023春季生活闘争まとめを確認した。まとめは、
今次闘争の最終集計(7月3日時点)で、賃上げの平均回答額(加重平均で1万560円)、
率(同3.58%)ともに、賃上げが復活した2014年以降で最も高い水準となるとともに、
賃上げ率は1993闘争以来の高い水準を記録したことをうけ、「労使が中長期的視点
を持って粘り強くかつ真摯に交渉した結果であり、未来につながる転換点となり得る
ものと受け止める」と評価した。ただ、中小組合による格差是正の取り組みについて
は、「全体的に健闘」と総括したものの、回答の分散度合いが昨年より大きくなった
ことから、引き続き、適正な価格転嫁の取り組みなど継続的に賃上げができる環境を
つくっていくことの必要性を訴えた。(JILPT調査部)
連合HP 2023春季生活闘争ページ
https://www.jtuc-rengo.or.jp/activity/roudou/shuntou/index2023.html#matome
「2023春季生活闘争まとめ ~評価と課題~」(PDF)
https://www.jtuc-rengo.or.jp/activity/roudou/shuntou/2023/houshin/data/matome20230721.pdf?9162

●働き手の成長に資する投資による円滑な労働移動等への政府の支援を要請/経団連

 経団連は21日、長野県で開催した2023年夏季フォーラムの総括文書を公表した。
「サステイナブルな資本主義」の実践を通じた、Society 5.0 for SDGsの実現に向けた
取組みを進めるとして、産業競争力強化の推進、働き手の成長に資する投資による円滑な
労働移動の実現、社会不安を払拭するヘルスケア提供環境の確立等を課題とした。働き手
の成長に資する投資と円滑な労働移動の実現では、「労働移動推進型」のセーフティー
ネットへの移行、働き手が生涯を通じて自らの働き方を選択するためのリスキリングを
含むリカレント教育等の支援をあげ、教育訓練給付の充実、副業・兼業の一層の促進に
向けた環境整備、働き方に中立な税・社会保障制度の構築を求めるとしている。
https://www.keidanren.or.jp/policy/2023/053.html

●景気判断指数は上昇、「年収の壁」と配偶者手当の関係も調査/経済同友会

 経済同友会は14日、経営トップ等を対象に実施した2023年6月の「景気定点観測
アンケート調査」結果を発表した。景気の現状について、前回調査(3月)と比べて、
「緩やかに拡大している」が52.1%から75.5%へ増加したことなどから、景気判断指数は
18.9から38.3へ上昇した。雇用判断指数はマイナス49.5で、2000年以降で最低(不足超)。
2024年に賃上げを「実施予定」は46.0%、「実施しない予定」2.5%、「まだ決めて
いない」50.5%。配偶者控除や健康保険・年金に関連する「年収の壁」と配偶者手当の
関係では、「制限なし」31.8%、「106万円」30.4%、「130万円」21.2%、「150万円」
(6.1%)など。
https://www.doyukai.or.jp/policyproposals/uploads/docs/20230714k.pdf

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【動向】
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●学部卒生の総合職採用で、初任給を引き上げた企業は70%/民間調査

 マイナビは18日、「2024年卒 企業新卒採用活動調査」結果を発表した。24年卒採用
について、6月時点の採用充足率が「5割以上」は前年比4.8ポイント減の39.5%で、
コロナ禍初年度の21年卒の40.9%を下回った。学部卒生の総合職採用で初任給を引き
上げた企業は70.0%、引き上げ額が最も多かったのは5,000円~1万円未満で36.0%。
引き上げ理由(複数回答)は「給与制度の見直しで全社員の給与を引き上げたため
(53.0%)」が最多で、次いで「求職者へのアピールのため(48.8%)」。
就職活動で学生が生成系AIを利用している実感がある企業は4.6%。利用経験がある
学生(学生調査、18.4%)との間で、利用実感に差があるとしている。
https://www.mynavi.jp/news/2023/07/post_39260.html
(調査概要)
https://career-research.mynavi.jp/reserch/20230718_54858/

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【企業】
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●過去最高の賃金改定、月額平均7.3%増/森トラスト・ホテルズ&リゾーツ

 森トラスト・ホテルズ&リゾーツは20日、2023年7月に賃金を改定したと発表した。
月額昇給率は全社平均で7.3%(内訳:ベースアップ5.0%、昇格・定期昇給等2.3%)。
6月に支給した賞与を含む年収ベースでは前年比16.8%増の見込みで、過去最高水準
の賃金改定となる。国内の観光業全体の深刻な人手不足を踏まえ、同業種だけでなく
異業種の優秀な人材が観光業に従事できるよう今回の決定に至ったとしている。
https://www.mt-hr.com/press/pdf/2023/20230720_mthr.pdf

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【イベント】
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●労働セミナー「企業対応を詳細解説!病気の治療と就労の両立支援」/東京都

 東京都労働相談情報センターは、労働セミナー「企業対応を詳細解説!病気の治療と
就労の両立支援~疾病別(がん・脳卒中・心筋梗塞・メンタルヘルス)に考える両立
支援」をオンラインで開催する。オンデマンドで、配信期間は7月26日(水)から8月
15日(火)まで。病気に罹患した社員の雇用継続のための治療と就労の両立支援総論
から疾患別の両立支援を解説する。受講無料。定員200名。HPから申し込む。
https://www.hataraku.metro.tokyo.lg.jp/seminarform/index/detail?kanri_bango=seminar-zchuo-001354

●シンポジウム「ベトナムの最新の労働事情とこれからの人材戦略」/海外産業人材育成協会

 海外産業人材育成協会は8月30日(水)、労働事情シンポジウム「ベトナムの最新の
労働事情とこれからの人材戦略」を東京・足立区で開催する。ベトナムから使用者団体
の担当者、日系人材紹介会社の元社長を招き、コロナ禍が労使関係にもたらした影響や、
今後の取り組み(人材育成、インフレ対策等)に関し、法改正や企業動向等に触れ、
情報提供する。パネルディスカッションでは会場からの質問を受け付ける。
https://www.aots.jp/hrd/ibe/employment/report20230830/