定昇2.0%プラス、ベア2,500円を統一要求に/私鉄総連

(2012年12月7日 調査・解析部)

[労使]

大手私鉄やバスなど約230の労働組合が加盟する私鉄総連(藤井一也委員長、11万5,000人)は6日、都内で中央委員会を開き、「13春闘職場討議案」を確認した。2013年の春季生活闘争(春闘)で、昨年と同じく月額基本給を一人平均2.0%(定昇相当分)プラス2,500円分(ベースアップ分)の引き上げを統一要求として掲げる。また、16日に迫った衆議院議員選挙で民主党を基軸に社民党も含めた推薦候補者の当選に向け、選挙活動を強化する方針も確認した。

2013年春闘の職場討議案では、賃金カーブを維持するため、定期昇給相当(賃金カーブ維持)分を確保し、賃金水準の低下に歯止めをかけることに全力をあげる方針を打ち出した。一人平均ベア方式で取り組みながらも、これまで以上に個別年齢ポイントにおける賃金水準を重視し、一歳あたりの上昇額を明確にした上で交渉する。

私鉄・バス組合の統一要求では、各組合員の現行基本給を一人平均で、定期昇給相当分2.0%プラス賃金改善原資2,500円(ベア分)引き上げることを掲げた。加盟組合のうち、集計可能な159組合の平均基本給27万964円(平均年齢42.2歳、平均勤続17.2年)をもとに算出すると定期昇給分は5,400円となる。ベア分は、生活回復・向上分を合わせたもの。物価上昇分については、消費者物価指数が上昇していないことなどから要求に入れていない。定期昇給制度がない組合はベア分2,500円と合わせて、7,900円を要求する。

一方、ハイヤー・タクシーの専業組合は、月例基本給を一人2.0%(定昇相当分:定昇相当額1,500円+調整給2,000円)プラス2,500円(ベア分)の引き上げをめざす。

職場討議案は来年2月5日の拡大中央委員会で正式決定する。

衆院選の闘争方針も確認

今月16日に投開票される衆議院議員選挙の闘争方針では、民主党私鉄交通政策議員懇談会に所属する細川律夫氏、辻元清美氏、松本龍氏の3人を準組織内候補とし、さらに社民党も含む4人を重点候補として推薦することを決めた。

2010年の参議院議員選挙では、民主党の支持率低下に加え、私鉄が擁立した候補者名を加盟組合員に十分に浸透させることがでなかったことや、投票率が伸び悩んだことなどから当選させることができなかった。この反省から、今回の選挙では、推薦候補者氏名の周知を強化するとともに、期日前投票を中心に投票促進と棄権防止の呼びかけを徹底する。

藤井中央執行委員長は冒頭の挨拶で、16日に投開票される第46回衆議院選挙に触れ、「選挙戦も残すところあと10日となった。今回の選挙は短期集中決戦となるが、悔いが残らないよう結果を出していきたい」とし、準組織内候補や重点候補の当選に向け、投票促進を呼びかけた。

さらに衆議院の解散に伴い、私鉄総連を含む交通産別の悲願であった交通基本法が廃案になったことについては、「来年の通常国会に向け、新たな基本の成立をめざす。われわれの要求実現に向け、引き続き、連合、交運労協、民主党の私鉄交通政策議員懇談会などと緊密な連携のもとで粘り強く対応していきたい」と述べた。