「暮らし」に関する相談が最多/産業カウンセラー協会の電話相談

(2012年02月29日 調査・解析部)

[動向]

日本産業カウンセラー協会は27日、東日本大震災の被災者や家族、関係者を対象に実施した「こころの無料電話相談」の集計結果を公表した。約3,000件の相談が寄せられ、生活や情報収集、就労関連などの「暮らし」に関するものが全体の3分の1強を占めている。

9カ月間で3,054件の相談が

日本産業カウンセラー協会では、昨年4月1日から12月27日までの9カ月間に渡り、無料の電話相談を開設した。

まとめによると、この間、寄せられた相談は3,054件。内容は、経済面や食べ物への不安、住居・避難先での人間関係などに悩む「生活全般」の相談がもっとも多く31.6%を占めた。次いで、うつや不眠などの「メンタル不調」(19.5%)、身体不調や持病などの「身体疾病関連」(3.0%)、相談窓口の問い合わせなどの「情報収集」(2.8%)、疲れや無力感などを訴える「被災体験」(2.5%)、「就労関連」(2.3%)、「自殺念慮」(2.2%)――などとなっている。

いわゆる「暮らし」に直結する相談(「生活全般」「情報収集」「就労関連」の合計)が全体の3分の1強に達したほか、「こころ」の相談(「メンタル不調」「被災体験」「自殺念慮」「被災体験」「支援体験」の合計)も約4分1を締めたのが今回の特徴。また、主訴(主な相談内容)がどのカテゴリにも属さない「その他」の相談も36.0%あったという。

多様な形態での支援の継続を

月別の推移をみると、「暮らし」に関する相談は、4~6月にかけて増加した後、緩やかな減少傾向にあったのに対し、「こころ」の相談は4月以降、緩やかに増えて11月がピークになった。同協会では、「震災直後はショックや避難場所でのストレス、怒りなどの相談が寄せられたが、時間が経つに連れ、突然の無力感、激しい疲労感、強い孤独感、家庭内不和など震災時から必死で頑張ってきた反動で、心のバランスが崩れている様子がうかがえる」などと分析。「避難先での被災者同士のつながりづくりや、支援活動従事者への心身両面への支援など、多様な形態での支援を継続する必要がある」と強調する。

単身者が孤独を深めている様子も

一方、相談者の年代は約半数が「不明」だが、把握できているなかでもっとも多かったのは40代で全体の18.0%。以下、30代(11.5%)、20代(11.0%)、50代(10.3%)――などとなっている。20代の相談は、開設初期は多かったが5月をピークに減少。逆に、夏頃からは40代の相談が急増した。同協会では、 (1)未成年の子を抱える30代、40代は、放射線による食べ物への不安、避難すべきか否かの迷い、周囲との認識の壁による人間関係の不和、失職や避難先でのこれからの生活などの現実的な問題に悩み、疲れ果てている (2)30~50代にかけて、家族や親しい親族を持たない独身者や、震災で家族を失って一人ぼっちになった人からの相談が多く、「絆」が強調される一方で、地元や避難先で孤独を深めている様子がうかがえる――ことを指摘している。

▽東日本大震災支援「こころの無料電話相談」9ヶ月間に計3,054件/(社)日本産業カウンセラー協会PDF