地球温暖化対策で談話を発表/基幹労連

(2010年12月15日 調査・解析部)

[労使]

基幹労連は10日、「地球温暖化対策・各政策手法の検討に対して」と題する工藤智司事務局長の談話を発表した。地球温暖化対策として検討されている各政策手法が国内の産業・雇用、国民生活に深刻な影響を及ぼすとの見方を示している。

国民負担を増大させる仕組みが検討されている

談話は、政府が検討を進める地球温暖化対策について、「本来、世界のCO2を削減するという観点から、いかに海外での技術適用を進めていくかという検討が求められるべきだが、現在各省庁では日本一国だけの目標達成のみをターゲットに、国内の産業・雇用に影響を及ぼし、国民負担を増大させる仕組みが重複して検討されている」と強調。そのうえで環境税については、「現在検討されている石油石炭税の5割アップがどのように世界のCO2削減に結びつくのか、不明と言わざるを得ない。税率のアップが産業、雇用と国民生活にどのような影響をもたらすのかも不明だ」と指摘した。

再生可能エネルギーの全量買取制度の導入で10万人規模の雇用が失なわれる

また、排出量取引制度に関しても「国が規制・キャップをかけてペナルティーを課すような手法は、統制経済そのものだ」と厳しく批判。「世界のCO2削減のためには、海外での技術適用を促進し、その成果が正しく評価される仕組みの導入こそが必要だ」として、二国間・地域間の協力体制の構築の推進を求めた。

再生可能エネルギーの全量買取制度についても触れ、「現状の余剰買取制に関わる検証もなされないままに導入されようとしており、あまりに性急と言わざるを得ない。本格的な導入をめざすのであれば、まず現状の制度を評価したうえで、系統安定化に要するコストも含め、産業・雇用、国民生活に与える影響を明示しつつ検討を加えるべきだ」などとクギを刺したうえで、「電力多消費産業に対する配慮がないままに導入されれば、電炉製鉄業・鋳物業は壊滅的な打撃を受け、10万人規模の雇用が失われる」と、国内雇用に与える影響を懸念。「本制度を真剣に導入しようとするのであれば、政府が責任を持ってこの国で事業を営み、雇用を確保できる必要な措置をとるべきだ」と訴えている。