調査シリーズ No.48
「『団塊の世代』の就業と生活のビジョン」
フォローアップ調査結果
―「団塊の世代」:60歳定年の正社員の「この一年」―

平成 20 年 6月 27日

概要

当機構では、2006年に実施した「『団塊の世代』の就業・生活ビジョン調査」(※)のフォローアップ調査を実施しました。完全に 60歳台入りした昭和 22年生まれの人々を始めとして「団塊の世代」の 60歳定年企業の正社員の人々が、前回調査から今回の調査実施時までのおよそ1年の間に就業面でどのような変化を経験したのか、また、前回の調査で把握した高齢期における就業や生活ビジョンについて変化があったのかどうかを調査し、今後の「団塊の世代」の就業・生活の動向に伴うさまざまな論点に係る基礎的なデータを提供しようとするものです。

主な調査結果は以下のとおりです。

◆「団塊の世代」の60歳定年企業の正社員のこの1年の就業状況

1.昨年 60歳を迎えた昭和 22年生まれの人は、今回の調査時現在も8割が雇用者として就業しており、そのうち他の企業へ転職した人は 8.3%にとどまる。

2.昭和 22年生まれの人で現在無業の人は 13.2%いるが、多くの人が再び何らかの仕事をしたいとしており、この時点での「完全引退」は2%程度である。

◆進む現在の企業での継続雇用制度

3.前回調査に比べて定年以降も何らかの継続雇用制度があるとする人は増加しており( 77.8%→ 82.9%)、制度の着実な導入・普及が窺われる。

4.現在の職場での継続就業を希望する人の割合は、着実に上昇( 53.6%→ 60.5%)している。

5.働く人が考える就業継続のために必要な措置は、就業継続できる制度そのものの整備から処遇や仕事内容の見直しの方へシフトしている。

◆就業継続した人の変化したものと変化しなかったもの

6.定年を迎え就業継続を果たした人の就業条件などをみると、雇用・就業形態は「嘱託社員」や「契約社員」といった形態に転換され、また役職は解かれた場合が多い。その中で仕事の内容や就業時間といった就業条件の変更はあまり行われなかったが、年収に限っては広範かつかなり大幅な減額調整が行われた。

◆高齢期の就業ビジョン・・・引退見込み年齢はやや上昇

7.仕事をしていたい年齢は、大きなものではないが、前回調査に比べて総じて上昇している。

8.60歳以降に希望する雇用・就業形態等をみると、「契約社員・嘱託社員」を見込む割合が 65歳までほぼ横ばいとなるなど、着実な就業継続が窺われる。

◆高齢期の生活ビジョン・・・大きな変化はない中で公的年金の受給額の認知度が上昇

9.生活ビジョン関連の項目の結果には大きな変化はみられない中で、公的年金受給見込み額の認知度が相対的に大きな上昇を示している。このことが、引退見込み年齢を高める要因の一つになっている面も窺われる。

10.配偶者のいない女性では、「住居の確保」や「仕事のこと」を生活設計上の不安に挙げる人が相対的に多い。

(※)プレス・リリース(2007. 2 .20)

JILPT 調査シリーズNo.30 『「団塊の世代」の就業と生活ビジョン調査結果』(2007.2)

JILPT 労働政策研究報告書No.85 『「団塊の世代」の就業と生活に関する調査研究報告』(2007.4)

本文

執筆担当者

浅尾 裕
JILPT 主席統括研究員

データ・アーカイブ

本調査のデータが収録されています(アーカイブNo.15)。

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