若者の就業環境改善へ総合対策策定
―労働基準監督の強化や苦情通報制度を整備

カテゴリー:若年者雇用

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  • 国別労働トピック:2013年1月

雇用労働部は11月29日、教育科学技術部、ジェンダー平等家族部と共同で、賃金遅配や最低賃金以下の就労など、不公正な扱いを受けている若者の就業条件を改善するための総合対策を発表した。政府は、事業所の労働基準監督の強化、スマートフォン・アプリの開発や苦情ホットラインの運営を通じた総合通報システムの構築、若年労働者の相談を専門とする労働監督官の配置などの対策を実施する。

対象事業所の拡大や集中実施

政府は、労働基準の監督を強化するため、対象となる事業所を現行の1900から3800に大幅に拡大する。雇用労働部の地方雇用労働事務所は、地域の産業特性に応じた集中的な監督を実施する。パートタイムで働く大学生に加えて、15~18歳の未成年者も保護の対象とする。継続的な監督を実施するため、事業所監督の頻度を年2回(冬と夏)から年4回に増やす。ジェンダー平等家族部やその他の関連部と共同で実施する監督も年2回から年4回に増やす。監督対象事業所の10%を過去6カ月間に関連法に違反した事業所の中から選定し、法令遵守に関する監督を重点的に行う。事業所が違反を繰り返した場合、故意の違法行為や著しい怠慢により労働条件に関する法律に違反した場合は、直ちに司法手続きを執る。

政府はまた、若者の就業条件全般をチェックするとともに、ポスター、リーフレットや関連ウェブサイトによる広報活動を実施するため、退職した専門職を「就業条件自警団」に任命する。パートのための苦情センターを地方自治体の教育事務所、特性化高校、大学および韓国青少年相談福祉院の福祉センターに設置する。

スマートフォン活用の通報システム構築

政府は、若者に対する権利侵害を迅速に改善するため、スマートフォン・アプリや苦情ホットラインを含む様々なオンライン・オフラインによる苦情通報制度を整備する。雇用労働部は、「法律違反事業所通報アプリ」と呼ばれるモバイル・アプリを開発し、12月5日に運用を開始した。この新しいアプリは、若年パート、女性労働者等が最低賃金違反、書面による労働契約作成義務違反、職場のセクシャルハラスメントなどついて通報し、いつでもどこでも相談を受けることができるようにするものである。全国47カ所の地方雇用労働事務所は、アプリによる通報を迅速に取り扱う専門の労働監督官を配置し、平日は午後10時まで、土曜日は午後6時まで相談を受け付ける。アプリを通じて事件を通報すると、最寄りの地方雇用労働事務所の労働監督官につながり、電子メールでカウンセリングを受けることができる。苦情ホットラインに電話し管轄地域の労働監督官と直接話すこともできる。さらに、平日雇用労働事務所に相談に行くことのできない若年パートのために、土曜日の午前9時~午後6時まで、予約による訪問相談制度を設けている。

「法律違反事業所通報アプリ」は、最低賃金、パートのための10の重要な規則、セクハラへの対処法など、若年パートや女性労働者が知っておくべき情報も提供している。

「キャリアと仕事」など学校での学習重視も

政府は、使用者が自発的に若者の就業条件を改善するよう、様々な教育・広報活動を通じて啓発に努めている。使用者が若者を採用する際、就業条件に関する教育を行うよう奨励している。そのような教育と労働安全衛生法によって採用の際に義務づけられている訓練を連携させる方法を検討している。

中学校・高校の指導相談員養成プログラムでは、若者の就業条件の保護に関する問題を取り扱っている。学生は、学校の「キャリアと仕事」の授業で就業条件に関する問題について学習する。

政府は、若年女性労働者が性的暴行や職場の嫌がらせの犠牲者となった場合、速やかに通報できるよう、女性および若者緊急ヘルプラインを運営する。小規模事業所に対する支援を拡大するため、セクハラ防止教育を行う指導員を無料で派遣する。各地域や産業の使用者団体等と共同で職場におけるセクハラの防止に関する意識啓発を推進する。

雇用労働部、教育科学技術部、ジェンダー平等家族部等は共同で、若者の就業環境を改善するための基盤を強化する目的で、3年毎に若者の就業条件に関する調査を実施する。

政府は、これらの対策の進捗状況を四半期ごとに評価するため、政府担当官、専門家等で構成される「若者のためのより良い就業環境に関するタスクフォース」を設置する。また、政府機関、青年組織等で構成される「若者の就業条件保護のためのサポーター」と呼ばれる公的機関と民間の協力グループを設立する。

参考

  • 雇用労働部Web情報

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