雇用保障法の改革

カテゴリー:非正規雇用

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  • 国別労働トピック:2005年8月

スウェーデン政府は、労働組合の助言に従い、非正規労働者の雇用契約の改革を盛り込んだ雇用保障法の改正を提案している。改正法案は新しく「雇用法」と名づけられた。

新「雇用法」は、1)使用者の12カ月を上限に非正規労働者を採用する権利、2)36カ月を上限に代替要員を雇い入れる権利、3)非正規労働者が採用6カ月経過後、正規労働者として雇用される権利、4)使用者の季節労働者を募集する権利、5)使用者が67歳以上の労働者を非正規雇用として雇い入れる自由、6)両親休暇中の労働者に対するより強力な雇用保証(もし両親休暇中の労働者が構造変化や仕事の不足によって解雇される場合、当該労働者が仕事に復帰した時点から予告期間が始まることとする)――などの内容を盛り込んでいる。労働組合と使用者団体は、現在、法案に対する意見を求められている。

雇用保障法の改革は、その大部分がスウェーデン労働組合総同盟(LO)によって2001年に提案された。政府は改正法案の作成と環境党や左翼党から安定した支持を得るために4年の歳月を費やした。現在の議会で法案を通過させるためには、それら政党の支援が不可欠である。

労働組合側は、改正法案に満足している。ただし、LOは、12カ月間非正規として雇用されている労働者を正規労働者として採用しない理由および6カ月間非正規として雇用されている労働者が自動的に正規労働者の空きポストに採用されない理由をすべての関係者に通知するよう義務づけることを要求している。

労働組合の心配と遅きに失した政府の行動の理由は現在の非正規雇用の形態が相当数に上ること、および非正規労働者数がますます増加していることにある。スウェーデン企業連盟(SN)は、より単純化した法律とより少ない非正規雇用の形態を望んでいる。また、非正規雇用としての12カ月の期限は厳しすぎるとして、少なくとも代替要員のように36カ月とすべきであると主張している。SNは、改正法案は失業を増加させ、企業の生産調整をより困難にするとして、疑義を呈している。また、わずか6カ月の雇用期間で正規雇用として採用される権利を与えるのは、非正規労働者の雇用契約期間を現行よりもさらに短くする、と断言している。

LOは、6カ月の非正規雇用期間で契約を打ち切ると非常に費用がかかるため、使用者はそれを採用するほど愚かではないだろうと主張する。

政府の改正法案は、この秋もしくは、2006年初め(総選挙の前)に議会に提出される予定である。2006年9月の総選挙で保守系政党が勝利し政権を発足させた場合、(現在の世論調査ではこの可能性が高い)、改正法案は直ちに廃案になると見られている。

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