INSEE調査:広がる所得格差
最も貧しいフランス人の3割は平均すると、最も豊かな人たちの8分の1の生活水準しか確保できていない。国立統計経済研究所(INSEE)は2000年に行われた7万世帯の税申告に基づいて、家計所得の大きな格差を明らかにした。この調査によると、フランス人の所得中央値(人口の半分を分ける水準)は、単身者の場合に1160ユーロ、14歳未満の子ども2人を抱えるカップルの場合に2430ユーロとなる。
フランスの豊かな家計と質素な家計はその所得水準によって隔てられるが、所得の出所も異なっている。賃金はどちらの場合も家計の主たる資金源であるとはいえ、初期所得(社会保障給付の加算および税引きの前)に占める割合はかなり違う。中央値をわずかに上回る家計の場合、賃金は初期所得の3分の2を構成しているが、最も豊かな家計の場合はおよそ2分の1を占めるにすぎない。
この調査からフランス人の3大カテゴリーが導き出される。「低所得家計」(人口の30%)は平均すると月額1129ユーロを手にしている(初期所得+社会保障給付-直接税)。この層を形成しているのは、30歳未満の者、失業者、大家族もしくは片親家族、そして所得税を払っていない単身者である。失業手当と社会保障給付はそれぞれ、彼らの税引き前所得の9%と21%を占めている。また、彼らが負担する税(社会保障税+住民税)は6%を超えない。
対照的に、「高額所得家計」(人口の1%)は8883ユーロの可処分所得というひときわ高い水準を誇示している。この場合、資産利潤と資産所得があるために、賃金および退職年金の割合が小さくなり、それぞれが税引き前所得の29%と13%を構成している。このカテゴリーの場合、年齢40~60歳の家計が多く、管理職、自由業、商業者、企業主などによって占められている。彼らは30%の税を負担しているが、そのうちの20%以上が所得税である。
最後の「中位所得家計」は人口の59%以上を占める。その所得のほぼ全部が賃金と年金である(税引き前所得の80%)。このカテゴリーについて、INSEEは3つの小グループに分類している。最も恵まれていないのは、現業労働者もしくは元現業労働者、そして年金生活者である(5分の2の家計)。彼らは月額1600ユーロを手にしているが、課税最低限ぎりぎりのところに位置し、その半分の家計は所得税を払っていない。このカテゴリーで最も恵まれているグループは月額所得が4302ユーロに達する。彼らは所得税を中心に20%以上の税を負担する。この両者の間に、ブルーカラーとホワイトカラーの両者で構成される月額所得2450ユーロ程度のグループがある。
NSEEの調査によると、「中位所得家計」の生活水準は平均の約2倍になるが、「高額所得家計」の2分の1程度だという。
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