国家公務員と国有企業従業員の最低賃金引き上げ

※この記事は、旧・日本労働研究機構(JIL)が作成したものです。

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  • 国別労働トピック:2003年7月

2003年1月より、国家公務員と国有企業従業員の最低賃金引き上げが行われ、月21万ドン(約14ドル)の最低賃金は、月29万ドン(約19.30ドル)に引き上げられた。引き上げの恩恵を受けたのは、600万人の国有企業従業員(教育、スポーツ、医療部門を含む)と30万人以上の公務員などである。(本誌2003年3月号の24万ドンへの最低賃金引き上げ案が修正され、最終的に29万ドン引き上げとなって実施された。)この最低賃金引き上げ(政令01/2003/ND-CP)は、2002年12月に国会承認され、1993年以前に退職した人々の年金を46%増額し、93年以降に退職した人の年金を38%増額する。

新たな最低賃金制度の下での給与や手当の調整についてMoLISAは2003年2月17日に、指針(04/2003/TT-BLDTBXH)を公表した。指針は、国有企業、親会社-子会社の形に組織形態が変化した国有企業、さらに、企業法の対象となっている株式会社、有限会社、パートナーシップ、民間企業を対象としており、これらのほとんどの企業において最低賃金は月29万ドンに設定された。指針で定められた新たな金額は2003年3月より適用される。

今回の最低賃金引き上げについては、国家財政負担を増すと心配する声がある一方で、低すぎる国家公務員の賃金を引き上げることにより、官民間の賃金格差を是正し、国家公務員や国有企業従業員の士気を向上させ、これらの部門に優秀な人材が集まることを期待する声もある。

大蔵省は最低賃金引き上げにより財・サービス需要が4.6%増加すると見込んでいる。同省は、最低賃金引き上げは、確かに物価水準を押し上げることになると考えられるが、国内の供給余力を越えることはないので持続的な一般物価上昇につながることは考えにくいとしている。

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