内国世帯見本調査

※この記事は、旧・日本労働研究機構(JIL)が作成したものです。

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  • 国別労働トピック:2002年12月

1 所得不均衡は是正困難

国連報告書にブラジルは世界4大所得不均衡国のリストとして挙げられている通り、ブラジル地理統計資料院の01の見本調査結果でも96年以来の所得不均衡は是正できないで居ることを証明した。1%の裕福なクラスが国内所得の13.6%を占め、国民の10%に当たる貧しい層は国内所得の1%を占めるに過ぎなかった。国民の50%に当たる低所得層は国民所得の14.4%を占めていたと報告されている。また国民の10%に当たる最低所得層は96年に平均月収69レアルであったものを、01年は61レアルに下げているとき、10%の裕福層は01年に2.745レアルを得ていた。ピラミッドの最上部にある1%に裕福層は平均7530レアルであったものを7.920レアルに増加させて、平均所得は一部の特権クラスのみに好転が見られ、大部分の国民は次第に貧しくなっている。就労人口の24.1%は最低給料の1倍以下の収入、26%は1~2倍の収入、12.9%は2~3倍の収入となっており、就労者の63%が最低給料の3倍以下の収入となっている。10歳以上の経済活動人口に占める就労人口はこの期間に55.1%から54.8にわずかな低下を見せており、これに人口増加率が加わって失業率増加を招き、労働市場の全般的悪化を招いている。特に農業就労人口は92年に就労人口に28.3%を占めたものが、99年は24.2%、01年には20.6%へ下がっており、大型機械化への移行により農業部門の良好な生産拡大と、農業収入の増加と、農業部門の雇用は反対の傾向を示している。

2 失業率も92年以来2番目

同調査は01年の失業率を9.4%、人数にして783万人と発表した。99年の9.6%より少し低いが、99年の経済活動人口に対する就労人口は99年の55.1%に対し01年は54.8%に下がって、労働市場の悪化を証明した。92~95年の経済活動人口に対する就労者率は約57%で推移していたが、96年は55%に下がっている。96年以降に労働市場の縮小が起こったまま、01年まで回復していない。99年から01年に掛けて経済活動人口は僅かに1.7%しか増加して居らず、労働市場へ参加する前に、学歴や技術水準を上げる準備に入ったことや、高年層が就職難のために、就労を諦めたことを予想させる。政府系の研究所であるジェツリオ・バルガス財団でも、ブラジルはかなり長期に渡って雇用増加は単に人口増加と同調しているだけであり、既存の失業者を吸収するまでには、至っていないと評価している。従って所得不均衡や貧困を是正する効力も持っていない。

3 非公式市場、1.820万人雇用

資料院の調査では、01年9月末日に10歳以上の就労者全体は7.540万人となっており、この内45.7%に当たる3.440万人が社会保障分担金を納付しているだけで、4.090万人は納付していない。給料生活者だけを見れば、2.370万人に当たる50.6%が正式に登録しているが、分担金を納付している労働者は45.7%に過ぎず、更に給料生活者の約40%に当たる1.820万人が非公式市場で働いており、監督官庁の監督の不備がこのような結果を招いている。自営や家事手伝い、報酬なし就労を加えると、全就労者のうち、社会保障分担金納入者は99年の43.5%が、01年に45.7%へ増加しており、就労者の過半数が納付しなくなったことが、社会保障制度の赤字を年々増加させている。

4 児童労働は減少

同調査は、01年に5~9歳の児童1.600万人のうち29万6.705人が通学せずに、労働に従事していることを明らかにした。10~14歳クラスでは360万人が学業を捨てて労働に従事していた。01年に7~14歳の義務教育年齢に達した児童の労働が前年より3.4%減少した事を明らかにしたが、5~6歳児童は23.8%が幼稚園や初等科に通学していないことを明らかにしており、就学の遅れは将来の生徒の成績に影響すると心配をコメントしている。文盲は92年の16%が01年は11%へ減少しているが、01年になっても、10歳以上の1.560万人が文盲であった。これとは別に、学歴が3年以下の、社会生活上では文盲と判定される人口が、10歳以上の人口の29.1%となっており、義務教育8年に満たない学歴所有者は約4.000万人に達した。

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