富の集中と労働者所得の低下進む

※この記事は、旧・日本労働研究機構(JIL)が作成したものです。

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  • 国別労働トピック:2002年7月

IBGE(ブラジル地理統計院)、IBGEの調査によると、富の集中、労働者所得の低下が顕著に観察される。

これによると、ブラジルの国内総所得は、一人当たり1990年の6,087レアル(2001年のレアル基準)から6,872レアルに伸びているが、労働者の実質賃金は、著しく低下し、所得分配の不公平も改善されていない。この事実をはっきりと示すのは、ブラジル、所得分配の不公平を示す統計である。

これによると、ブラジルの国内総所得において、所得階層の上位1%の所得が、下位50%の所得と、大体、均衡している。

IBGEの雇用及び賃金担当のエコノミストであるシルレーネ・ラーモス・デ・ソウザは、ブラジルの経済成長がこれまで、数年で止まり、継続しないのは、失業率の高さと転職率の高さのせいで、新しい労働力が常に、前任者より低い賃金で甘んじるため、購買力が増大しないからであると説明している。

シルレーネによると、1999年6月、ブラジルの6大都市圏の新規雇用は前年同期に比し、24万6000増加した。しかし、実質賃金の低下で、家族が労働市場に参入せざるを得なくなり、失業率は一向にへらなかった。その結果、本年2月、ブラジルの主要大都市圏サン・パウロ、リオ・デ・ジャネイロ、レシーフェ、サルバドール、ベロ・オリゾンテ、ポルト・アレグレの就業人口の平均給与所得は、為替の大幅切り下げのあった1999年に比して、実質、10.6%も低下している。

これは解雇された労働者が新しい職を得ると、甚だしい時は、半分の賃金で就労しなくてはならないためである。

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