(香港特別行政区)財務長官、2001年末までに失業率3%に低下と予測
ドナルド・ツァン財務長官は2000年8月1日、訪問中のオーストラリアで財界人を前に、香港の失業率は来年末までに3%に低下するであろうと語った。ツァン長官は、過去6カ月間の香港の景気回復を強調し(当月記事「政府、年間成長率を8.5%に上方修正」を参照)、それが雇用市場の好転に及ぶことを指摘して、3%という数値目標に言及したが、同長官が失業率について具体的な数値目標を挙げるのは初めてなので、香港でも注目されている。
しかし、香港在住のエコノミストは、3%という数字は、アジアの金融危機のあおりを受けて香港の景気が後退する前の一般的な水準であることから、この発言に疑問を呈する者もある。香港科学技術大学経済発展研究所のフランシス・リー博士は、香港の失業率がこの3%の水準に戻る可能性を疑問視している。リー博士は、香港では経済の構造的変化が生じており、それによって労働者に要求される技能の水準も上がっているので、未熟練労働者の再教育は困難に直面しており、景気後退以前の状態に戻ることは不可能ではないまでも、非常に困難だとしている。
ツァン長官の発言から2週間後の8月15日、2000年5~7月期の労働市場統計が発表され、失業率は3カ月連続の低下の後で横這いになった。
統計によると、失業率は前期と同じ5%で、失業者数は前期比で900人増加して17万2000人だった。また、不完全雇用率は3%で、前期比で0.2ポイント低下し、不完全雇用者数は前期比で600人減少して10万2000人だった。失業は運輸、小売業で改善し、装飾、整備、飲食業部門で後退した。また不完全雇用は、主に装飾、整備等の部門で改善した。
労働力全体は、4~6月期の337万6800人から338万人に増加し、このうち雇用労働者数は320万8000人で、前期比で1200人増加した。
この統計について、政府は、大卒者や学卒者が労働市場に新規参入したのに、失業者数の増加はわずかであり、失業率も横這いで安定しているとして、楽観的な見方を示している。
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