欧州委員会、差別是正に関する指令案など提出

※この記事は、旧・日本労働研究機構(JIL)が作成したものです。

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  • 国別労働トピック:2000年2月

1999年11月、欧州委員会は、差別の是正に関する2指令案、共同体行動プログラムの決定案、およびコミュニケ案を提出した。一連の提案は、EC条約第13条(差別是正措置)に基づくものである。

まず、第1の指令案では、人種、民族、宗教ないし信条、障害、年齢および性的志向を理由とする雇用差別を対象に、平等取扱に関する一般的な枠組みが定められている。同指令案は、1)雇用や自営へのアクセスのための前提条件、2)あらゆる種類・水準の職業ガイダンス・訓練へのアクセス、3)解雇や賃金などの労働条件、4)職業団体への加入資格に適用される。同指令案は、加盟国に対し、以上の領域において上述の諸理由による差別が起こらないことを確実にするよう義務づける。また、加盟国は、差別の被害者が適切な法的救済を受けられるよう確実にすることも義務づけられる。

次に、第2の指令案では、異なる人種または民族の間の平等取扱原則を実施することを目的とされている。その適用範囲は第1の指令案よりも広く、その対象領域に加え、社会保護、社会保障、教育、商品・サービスの供給へのアクセス、文化活動に及ぶ。同指令案は加盟国に対し、以上の領域において人種または民族を理由とする差別が起こらないようにし、差別の被害者が適切な法的救済を受けられるよう確実にすることを義務づける。また、加盟国は、異なる人種または民族間の平等取扱を推進するための独立機関を設置することも義務づけられる。

それらに加えて、共同体行動プログラムを定めた決定案も提出されている。同決定案はこれまでの諸政策を基にして、1)差別問題の理解の改善、2)差別との戦いで積極的な人々の支援、3)差別への自己認識の向上を目的とする。

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