事業再構築と雇用に関する調査(2002年06月17日)

日本労働研究機構 発表
平成14年6月

企業の約半数が人員削減を伴う事業再構築を実施、うち3社に1社は「希望退職の募集」または「早期退職優遇制度の創設・拡充」
人員削減の大半は「経営上の困難」がその理由、戦略的な人員削減は少数
人員削減の主な影響は「士気の低下」と「労働時間の増加」

~事業再構築と雇用に関する調査~

Ⅰ.調査の概要

近年の景気低迷や国内外の企業間競争の激化などを背景に、事業展開や資源配分の見直しなど、企業における事業再構築が進められている。本調査は、企業の事業再構築の実態や雇用に対する考え方を明らかにするとともに、過去一年間に再就職した従業員の状況をさぐることを目的として実施した。

調査は、従業員数300人以上の企業約10,000社に企業調査票を送付し、あわせて過去1年間に再就職で入社した正規社員各5人に従業員調査票の配布をお願いした。うち企業調査は1683社、従業員調査は2693票の回答を得て結果をとりまとめた。調査の実施期間は平成14年1月16日~2月8日。回答企業・労働者の構成は、参考表を参照のこと。

Ⅱ.調査結果の概要

<骨子>

Ⅰ 「事業再構築と雇用に関する調査」(企業調査)

1.事業再構築の方向性

  1. 事業再構築の主要な戦略は「省力化・合理化投資」「新製品・新サービス開発」「事業所統廃合」
    企業に事業再構築の状況についてみると、「生産性向上のための省力化、合理化投資」(57.6%)、「新製品・新サービスの開発強化」(44.1%)、「事業所の統廃合や不採算部門の縮小、撤退」(43.6%)が高い。(図1
  2. 事業再構築戦略の背景は「国内競争の激化」「市場の成熟化、需要不振」
    事業再構築戦略の背景となっている経営環境は、「国内における競争の激化」(84.4%)や「市場の成熟化、需要不振」(73.6%)の影響が大きいと答える企業が多い。次いで「雇用に係る長期的な債務負担の増大」が約5割。産業別にみると、製造業では「海外企業との競争の激化」、情報サービス業では「技術革新の進展」をあげる企業が目立つ。(図3図4

2.雇用戦略状況

  1. 「新規学卒採用」「中途採用」を縮小、「契約社員・派遣」「臨時・季節・パート」の活用を拡大
    今後の雇用戦略は、「新規学卒者採用」や「中途採用」は縮小方向、「契約社員・派遣労働者活用」や「臨時・季節・パートタイム労働者活用」は拡大方向の企業が多い。また、企業規模が小さいほどいずれの形態の労働者についても雇用に消極的。(図5
  2. サービス業を除く各業種で回答企業のほぼ半数が人員を削減
    最近3年間に人員削減を実施した企業は17.5%、現在実施中は25.4%、今後実施するのは9.0%と、約半数の企業で人員削減に取り組んでいる。業種別にはサービス業の各業種では「これまで人員削減は実施しておらず、実施の計画もない」との回答が多い。(図6
  3. 人員削減は「自然減」「採用抑制」中心だが、3社に1社は「希望退職、早期退職優遇」も実施
    人員削減の方法は、「自然減」(81.6%)や「採用抑制」(76.9%)の比率が高いが、「希望退職の募集、早期退職優遇制度の創設・拡充」も34.2%と3社に1社があげている。解雇は6.9%にとどまる。業種別には「希望退職の募集、早期退職優遇制度の創設・拡充」は建設業や機械関連製造業、卸売・小売業、飲食店でやや多い。(図9
  4. 人員削減の理由~経営上の困難が大半、戦略的な人員削減は少数
    人員削減を実施する理由は、「現在の重大な経営上の困難に対処するため」(36.4%)、「将来表面化が予想される重大な経営上の困難に対処するため」(35.8%)となっている。一方で、「得意分野に特化するなど、収益の一層の向上を図るため」(8.2%)となっており、戦略的な意味での人員削減は少数となっている。(図10
  5. 人員削減に伴う影響
    人員削減に伴う影響については、「従業員の士気の低下」、「従業員の労働時間の増加」がそれぞれ約5割。以下、「従業員の生産性の向上」35.9%、「優秀な人材の流出」33.0%が続く。(図11
    人員削減の規模別に影響の大きさをみたところ、人員削減の比率が高いほど「従業員の士気の低下」や「優秀な人材の流出」、「従業員の生産性の低下」をあげる企業が多い。(図12

3.希望退職、早期退職優遇制度

  1. 希望退職、早期退職優遇制度の基準
    希望退職、早期退職優遇制度の適用基準は「年齢」が74.6%と最も多く、「勤続年数」が33.1%。適用年齢の下限の平均は45.5歳。(図14
  2. 希望退職、早期退職優遇制度の措置内容
    希望退職、早期退職優遇制度の内容は、「退職金の割増」が9割以上と最も多く、うち85.6%が「すべての対象者に適用」としている。退職金の割増額は、平均値で15.7か月分、中央値で12か月分だった。(図15
  3. 希望退職、早期退職優遇制度の応募状況
    「ほぼ予定どおりの応募」だった企業は36.5%で、「予定以上」と「予定には達しなかった」がそれぞれ14.0%、16.4%となっている。(図17

Ⅱ 「再就職の状況に関する調査」(個人調査)

1.離職時の状況

  1. 離職の理由
    過去1年間に再就職した人の離職の理由は、「自己の申し出による退職」が71.1%と最も多い。以下、「会社の倒産・廃業」(6.0%)、「契約期間の満了」(5.7%)。年齢別には、45歳以上で「希望退職、早期退職優遇制度に応じた」との回答が10%を超えている。(図19
  2. 早期退職優遇制度の利用状況
    早期退職優遇制度を利用した理由としては、「会社の将来に不安があった」「新しい仕事にチャレンジできるよい機会であった」をあげる者がそれぞれ約4割と多い。(図20
    早期退職優遇制度の措置内容は、「退職金の割増」が8割と最も多く、次いで「再就職の相談・斡旋」が約4割。退職金の割増は、中央値で12か月分だった。(図23図24
  3. 自己の申し出による退職をした理由
    自己の申し出による退職の理由は、「会社の現状や将来に対する不安から」が約4割を占める。以下、「賃金や労働時間など労働条件に不満だった」、「新しい仕事に挑戦してみたかった」などが続く。(図29

2.再就職時の状況

  1. 再就職の経路
    現在の勤め先に就職したのは「募集広告による応募」が25.1%、「職安の利用」が23.2%。年齢別に傾向が異なり、35歳~54歳では「仕事上の知人・友人による紹介」が、55歳以上では「前の会社からの斡旋・援助」が最も多い。(図30
  2. 会社から評価された要素
    再就職に際し会社から評価されたと感じている点は、「これまでの実務経験」が64.1%と高い。(図31
  3. 前の勤め先と比べた賃金の変動
    再就職後の賃金は、「1割以上3割未満減少」が23.5%、「変わらない」が19.7%、「1割以上3割未満増加」が18.9%。年齢別には、年齢が高いほど「減少した」との回答が多い。(図32図33
  4. 現在の仕事の満足度
    現在の仕事には、「やや満足している」(43.6%)、「とても満足している」(24.7%)と、約7割が満足と答えている。企業規模別には、転職後の企業の規模が大きいほど満足度が高い。(図34
    また、これまでの経験が現在の仕事に活かされている人ほど、満足している割合が高くなっている。(図35
    退職の理由別にみると、「会社都合」や「契約期間の満了」で辞めた人に比べ、「自己の申し出」によって退職した人の方が「とても満足している」との回答が多い。(図36

※本調査の詳細については、「事業再構築と雇用に関する調査報告書」として日本労働研究機構より刊行する予定


全文(PDF:584KB)

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