2024年に全国の労働基準監督署で取り扱った賃金不払事案の件数が前年から約1,000件増加
――賃金不払が疑われる事業場に対する監督指導結果(2024年)
国内トピックス
厚生労働省がさきごろ発表した賃金不払が疑われる事業場に対する監督指導(立入調査)結果(2024年)によると、2024年に全国の労働基準監督署で取り扱った賃金不払事案の件数は、前年から約1,000件増えて2万2,354件となっている。不払い金額の合計は、前年から約70億円増加して172億1,113万円となった。
96%が指導によって使用者が賃金を払って解決
2024年に、全国の労働基準監督署で取り扱った賃金不払事案の件数は2万2,354件で、前年から1,005件増えた。その対象労働者数は18万5,197人で、前年から3,294人増加。金額は172億1,113万円で、前年から70億1,760万円増えた。
取り扱った件数のうち、2024年中に、労働基準監督署の指導によって使用者が賃金を支払い、解決された賃金不払事案の件数は2万1,495件(96.2%)で、その対象労働者数は18万1,177人(97.8%)、金額は162億732万円(94.2%)だった。
監督指導件数の最も多い業種は「商業」で、「製造業」「保健衛生業」と続く
業種別の監督指導状況をみると、「商業」が4,494件(20%)で最も多く、「製造業」が4,297件(19%)、「保健衛生業」が3,416件(15%)、「接客娯楽業」が2,832件(13%)、「建設業」が2,213件(10%)、「運輸交通業」が1,338件(6%)などとなっている。
対象労働者数では、「製造業」が4万6,120人(25%)、「保健衛生業」が4万4,585人(24%)、「商業」が2万4,206人(13%)、「教育・研究業」が1万3,321人(7%)、「建設業」が1万665人(6%)などとなっている。
金額では「運輸交通業」が70.2億円(41%)で最も多く、「保健衛生業」が25.6億円(15%)、「製造業」が18.6億円(11%)、「商業」が13.9億円(8%)、「建設業」および「教育・研究業」がともに9.2億円(5%)などとなっている。
(調査部)
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~最近の監督行政の結果から~
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