男性の育児休業取得者の割合が前年から約10ポイント増加し、4割に到達
 ――厚生労働省が2024年度「雇用均等基本調査」結果を公表

国内トピックス

厚生労働省が7月30日に発表した「2024年度雇用均等基本調査」結果によると、2023年9月30日までの1年間に配偶者が出産した男性のうち、2024年10月1日までに育児休業を開始した男性の割合は、2023年度実施の前回調査から10.4ポイント上昇し、40.5%と約4割に達した。2022年度調査からみれば、この2年間で20ポイント以上増加したことになる。

調査時点は2024年10月1日で、同年10月1日から10月31日に実施。企業調査と事業所調査に分かれており、企業調査では、常用労働者10人以上の企業6,000社を対象とし、3,231社から有効回答を得た。事業所調査では、常用労働者5人以上の6,300事業所を対象とし、3,383事業所から有効回答を得た。

<男女の育児休業取得の状況>

事業所調査によると、2022年10月1日~2023年9月30日までの1年間に配偶者が出産した男性のうち、2024年10月1日までに育児休業(出生児育児休業である「産後パパ育休」を含む)を開始した男性の割合は40.5%で、初めて40%台に到達した。前回調査の30.1%から10.4ポイント上昇した(図表)。

図表:男性の育児休業取得率と男性の育児休業者がいた事業所の割合(過去5年間の推移)
画像:図表

(公表資料から編集部で作成)

男性の育児休業取得率を過去5年間でみると、2020年度は12.65%、2021年度は13.97%、2022年度は17.13%、2023年度は30.1%、2024年度は40.5%となっている。2022年度までは1割~2割程度の水準で推移していたが、2022年度以降は毎年10%程度の伸びとしている。

2022年10月1日~2023年9月30日までの1年間において配偶者が出産した男性の有期契約労働者の育児休業取得率は33.2%で、前回調査から6.3ポイント上昇した。

男性の育児休業取得者がいた事業所の割合は41.0%

2022年10月1日~2023年9月30日までの1年間に配偶者が出産した男性がいた事業所に占める、2024年10月1日までに育児休業を開始した男性がいた事業所の割合は41.0%で、前回調査から3.1ポイント上昇した。

男性の有期契約労働者だけをみると、育児休業者がいた事業所の割合は41.3%で、前回調査に比べ11.3%と大幅に上昇した。

女性の育児休業取得率は86.6%

2022年10月1日~2023年9月30日までに在籍し出産した女性のうち、2024年10月1日までに育児休業を開始した女性の割合は前回調査から2.5ポイント上昇の86.6%。また、同期間内において出産した女性の有期契約労働者の育児休業取得率は73.2%で、前回調査から2.5ポイント減少している。

同期間内に在職し出産した女性がいた事業所に占める、2024年10月1日までに育児休業を開始した女性がいた事業所の割合は前回調査から1.4ポイント上昇の89.0%。女性の有期契約労働者でみると、育児休業者がいた事業所の割合は75.1%で、前回調査から8.7ポイント減少した。

育休の最長利用可能期間の最多は「1歳を超え3歳まで」(32.6%)

育児のための休暇制度の規定がある事業所の育児休暇の最長利用可能期間をみると、「1歳を超え3歳未満」が32.6%(前回調査した2019年度で25.1%)で最も高く、次いで「1歳以下」の30.5%(同24.2%)、「3歳~小学校就学の始期に達するまで」の22.1%(同32.4%)、「小学校入学以降も利用可能」の14.7%(同18.2%)などの順となっている。

育児のための休暇制度の規定がある事業所において2023年4月1日~2024年3月31日までに休暇を利用した小学校就学前の子をもつ女性の割合は45.6%となり、前回調査が行われた2019年度から4.3ポイント上昇した。女性の有期契約労働者でみると、休暇利用者は9.0%(同8.5%)だった。

同期間における育児のための休暇を利用した小学校就学前の子をもつ男性の割合をみると、前回調査から10.5ポイント上昇し、29.6%となった。男性の有期契約労働者でみると2.2%となり前回調査から変化がなかった。

短時間勤務制度等の利用可能期間は「3歳未満」が最多

育児のための所定労働時間の短縮措置等の制度がある事業所の最長利用可能期間をみると、「3歳未満」が34.1%と最も高く、前回調査が行われた2023年度から2.0ポイント上昇した。次いで、「小学校卒業以降も利用可能」が24.5%(前回30.5%)、「小学校就学の始期に達するまで」が21.7%(同17.2%)などとなっている。

育児のための所定労働時間の短縮措置等の制度の導入状況(複数回答)をみると、「短時間勤務制度」が70.0%(2023年度前回調査61.0%)と最も高く、次いで、「所定外労働の制限」が64.0%(同55.4%)、「始業・終業時刻の繰上げ・繰下げ」が38.4%(同36.8%)などの順となった。

<女性管理職の状況>

女性管理職の状況には大きな変化がみられず

企業調査によると、課長相当職以上(役員を含む)の女性管理職がいる企業の割合は54.9%で、係長相当職以上の女性管理職がいる企業の割合は64.4%となり、前回の2023年度調査からそれぞれ0.7ポイント、1.7ポイント上昇した。

女性管理職がいる企業の割合を役職別にみると、女性の部長相当職がいる企業の割合は14.6%で前回調査から2.5ポイント増加。女性の課長相当職がいる企業の割合は、22.5%で前回調査から1ポイント上昇した。

課長相当職以上の管理職に占める女性の割合は、前回調査から0.4ポイント増加し13.1%。係長相当職以上の管理職等に占める女性の割合は、前回調査から0.7ポイント増加し15.8%となっている。

女性の割合を役職ごとにみていくと、役員は21.1%(前回20.9%)、部長相当職が8.7%(同7.9%)、課長相当職が12.3%(同12.0%)、係長相当職が21.1%(同19.5%)となっている。いずれも前回調査から大きな変化はみられなかった。

<ハラスメント防止対策>

セクハラやマタハラ対策に取り組む企業割合が上昇

セクシュアルハラスメントを防止するために対策に「取り組んでいる」企業の割合は89.9%と9割に近づき、2023年度の前回調査から3.9ポイント上昇した。

過去3年間にセクシュアルハラスメントに関する相談実績または事案のあった企業は6.0%となっている。

妊娠・出産・育児休業等に関するハラスメントを防止するための対策に「取り組んでいる」企業の割合は88.0%で、前回調査から5.3ポイント上昇した。規模別にみると、最も割合の低い「10~29人」でも83.5%と8割を超えている。

過去3年間に妊娠・出産・育児休業等に関する相談実績または事案のあった企業をみると、0.9%となった。

パワハラに取り組む企業割合は90.0%

パワーハラスメントを防止するための対策に「取り組んでいる」企業の割合は90.0%と9割に達し、前回調査から3.8ポイント上昇した。いずれの企業規模でも8割を超えた。

過去3年間にパワーハラスメントに関する相談実績または事案のあった企業は14.6%となっている。

約3割の企業がカスハラ防止対策を講じる

企業のカスタマーハラスメント(カスハラ)対策をみると、「一定の取組をしている」が30.1%、「今後取組を検討している」が36.2%、「取り組んでいない」が33.7%で、約3割の企業が対策を講じている。

「一定の取組をしている」と回答した企業の割合を規模別にみると、「5,000人以上」が67.6%、「1,000~4,999人」が53.4%、「300~999人」が36.9%、「100~299人」が38.0%、「30~99人」が29.6%、「10~29人」が28.7%となっている。

就職活動中の学生へのハラスメント対策に取り組む企業は24.7%

就職活動中やインターンシップ中の学生・求職者へのハラスメント対策の取り組みでは、「一定の取組をしている」が24.7%、「今後取組を検討している」が30.6%、「取り組んでいない」が44.6%となっている。

「一定の取組をしている」と回答した企業の割合を規模別にみると、「5,000人以上」が59.7%、「1,000~4,999人」が51.7%、「300~999人」が35.4%、「100~299人」が34.2%、「30~99人」が26.2%、「10~29人」が22.1%となっている。

4社に1社がフリーランス等へのハラスメント対策を実施

取引先の労働者やフリーランス等自社の労働者以外へのハラスメント対策をみると、「一定の取組をしている」が26.1%、「今後取組を検討している」が32.5%、「取り組んでいない」が41.4%となっている。

「一定の取組をしている」と回答した企業を規模別にみると、「5,000人以上」が58.1%、「1,000~4,999人」が49.9%、「300~999人」が40.9%、「100~299人」が32.6%、「30~99人」が25.8%、「10~29人」が24.4%となっている。

(調査部)

2025年10月号 国内トピックスの記事一覧

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