外国人労働者数は約182万人で、前年から約22万人増加
 ――厚生労働省「2024年外国人雇用実態調査」

国内トピックス

厚生労働省が8月29日に発表した「2024年外国人雇用実態調査」の結果によると、雇用保険被保険者数5人以上の事業所で働く外国人労働者の数は約182万人で、前年の約160万人から約22万人増加した。在留資格別にみると、「専門的・技術的分野」が38.9%を占めて最も多かった。労働者に就労上のトラブルを尋ねると、トラブルがあった労働者は10.9%で、その内容(複数回答)としては「紹介会社(送出し機関含む)の費用が高かった」が18.6%で最も回答割合が高かった。

調査は2023年から実施されており、外国人労働者を雇用する事業所における外国人の雇用形態や賃金など、また、外国人労働者の就労状況や生活状況などを調べている。雇用保険被保険者5人以上で、かつ、外国人労働者を1人以上雇用している全国の事業所と、当該事業所に雇用されている外国人常用労働者を対象にしており、今回の調査では3,623事業所、1万1,568人から有効回答を得た。

「製造業」が約56万人、「サービス業(他に分類されないもの)」が約32万人

事業所調査の結果によると、外国人労働者の数は182万4,646人。産業別にみると、「製造業」が最も多く56万950人(30.7%)で、前年から約5万人増えた。次いで「サービス業(他に分類されないもの)」が32万1,751人(17.6%)で、「卸売業、小売業」が19万3,824人(10.6%)、「建設業」が15万2,411人(8.4%)などとなっており、上位4産業で全体の約3分の2を占めている。

在留資格別にみると、「専門的・技術的分野」が70万9,114人で(38.9%)で、前年から約14万人増えている。「専門的・技術的分野」の内訳は、「技術・人文知識・国際業務」が32万2,349人(17.7%)で、「特定技能」が28万5,585人(15.7%)、「高度専門職」が1万8,011人(1.0%)。そのほかの資格では、「身分に基づくもの」が50万3,507人(27.6%)で、「技能実習」が36万8,287人(20.2%)などとなっている。

「きまって支給する現金給与額」の平均は27万4,900円

賃金の状況をみると、「きまって支給する現金給与額」は27万4,900円で、前年比2.7%増となっている。なお、「きまって支給する現金給与額」には、超過勤務手当が含まれており、算出ベースとなる平均の所定内実労働時間は157.1時間で、超過実労働時間が17.5時間となっている。

在留資格別にみると、「専門的・技術的分野」が前年比1.1%増の28万9,100円で、うち「特定技能」が同7.6%増の25万300円。「技能実習」が同2.9%増の21万円、「身分に基づくもの」が同1.0%増の30万5,200円となっている。

雇用する理由は「労働力不足の解消・緩和のため」が69.0%

外国人労働者を雇用する理由(複数回答)をみると、「労働力不足の解消・緩和のため」が前年の64.8%を4.2ポイント上回る69.0%で最も多く、次いで「日本人と同等またはそれ以上の活躍を期待して」が54.7%(前年56.8%)、「事業所の国際化、多様性の向上を図るため」が15.8%(同18.5%)、「日本人にはない知識、技術の活用を期待して」が13.2%(同16.5%)などとなっている。

外国人労働者の雇用に関する課題(複数回答)をみると、「日本語能力等のためにコミュニケーションが取りにくい」が43.9%(前年44.8%)で最も多く、次いで「在留資格申請等の事務負担が面倒・煩雑」が24.7%(同25.4%)、「在留資格によっては在留期間の上限がある」が21.5%(同22.2%)、「文化、価値観、生活習慣等の違いによるトラブルがある」が20.9%(同19.6%)などとなっている。

労働者の国籍・地域の最多は「ベトナム」で32.4%

労働者調査によると、国籍・地域は「ベトナム」が前年を2.6ポイント上回る32.4%で最も多く、次いで中国(香港、マカオ含む)が14.7%(前年15.9%)、フィリピンが10.5%(同10.0%)などとなっている。

職業別構成比をみると、「生産工程従事者」が33.4%、「専門的・技術的職業従事者」が13.4%、「サービス職業従事者」が12.5%、「建設・採掘従事者」が6.6%などとなっている。

現在の仕事への入職前居住地が日本だった者の入職経路をみると、「知人、友人」が35.2%で最も多かったが、前年(43.0%)からは減少した。次いで多いのは「求人広告(求人情報誌、インターネット)」で19.7%(前年19.3%)となっており、「日本国内の民間紹介会社」が10.8%(同9.9%)などとなっている。

現在の仕事への入職前居住地が日本以外だった者の入職経路については、85.0%が紹介会社や個人からの紹介等を受けており、その内訳は「出身国・地域の紹介会社・個人」が44.7%(前年51.5%)で最も多い。

仕事上のトラブル、8割以上の労働者が「なし」

今の仕事をするうえでのトラブルや困ったことをみると、「なし」が86.9%(前年82.5%)、「あり」が10.9%(同14.4%)。

「あり」の労働者にトラブルの内容(複数回答)を尋ねると、「紹介会社(送出し機関含む)の費用が高かった」が18.6%(前年19.6%)で最も多く、「トラブルや困ったことをどこに相談すればよいかわからなかった」が14.9%(同16.0%)、「事前の説明以上に高い日本語能力を求められた」が8.8%(同13.6%)などとなっている。

日本で一緒に住んでいる家族全員の手取り収入の合計(月額)は、「10~19万円」が34.8%で最も多く、次いで「20~29万円」が23.9%、「30~39万円」が12.6%、「40~49万円」が6.6%などとなっている。

(調査部)

2025年10月号 国内トピックスの記事一覧

~最近の監督行政の結果から~