トップページ




V 調査結果



1 労働時間制度

 (1) 週休制

  イ 何らかの週休2日制

    週休制の形態(注)をみると、「何らかの週休2日制」を採用している企業

   数割合は90.0%で、これを企業規模別にみると、1,000人以上98.4%、300〜999

   人98.5%、100〜299人93.9%、30〜99人87.8%となっている(第1図第1表)。

    適用労働者数割合でみると、「何らかの週休2日制」の適用労働者数割合は

   95.4%で、企業規模別には、1,000人以上98.2%、300〜999人98.0%、100〜299

   人94.3%、30〜99人89.0%となっている(第1図第2表)。

   (注) 労働者によって適用する週休制が異なる企業については、最も多くの労

     働者に適用している週休制の形態を当該企業の週休制の形態とした。



  ロ 完全週休2日制

    「完全週休2日制」を採用している企業数割合は33.6%で、前年(28.5%)

   に比べ5.1ポイント上昇した。企業規模別にみると、1,000人以上79.4%(前年

   77.7%)、300〜999人   64.2%(同55.6%)、100〜299人39.8%(同37.4%)、

   30〜99人27.6%(同21.4%)となっている(第1図第1表)。

    適用労働者数割合でみると、「完全週休2日制」の適用労働者数割合は60.9

   %(前年59.3%)で、前年に比べ1.6ポイント上昇した。企業規模別にみると、

   1,000人以上85.1%、300〜999人65.3%、100〜299人40.9%、30〜99人30.6%

   となっている(第1図第2表)。





 (2) 所定労働時間

  イ 週所定労働時間

    週所定労働時間(注)は、1企業平均39時間31分(前年40時間45分)、労働

   者1人平均38時間46分(同39時間18分)となった。前年と比べると、1企業平

   均では1時間14分の短縮となり、初めて40時間を下回った。また、労働者1人

   平均では32分の短縮となっている(第2図第3表第4表)。

    週所定労働時間が「40時間以下」である企業数割合は88.1%で、前年(53.2

   %)から34.9ポイント上昇し、適用労働者数割合は96.2%で、前年(79.7%)

   から16.5ポイント上昇した(第3表第4表)。

    産業別に1企業平均週所定労働時間をみると、金融・保険業(37時間09分)が

   最も短く、次いで電気・ガス・熱供給・水道業(38時間25分)、不動産業(38時間

   29分)の順となっている。一方、鉱業、建設業(ともに39時間52分)、運輸・通信

   業(39時間50分)、卸売・小売業,飲食店(39時間40分)などでは比較的長くなって

   いる(第3表)。

   (注) 「週所定労働時間」とは、就業規則等で定められた1週当たりの所定

      労働時間をいう。労働者によって週所定労働時間が異なる企業について

      は、最も多くの労働者に適用される週所定労働時間を当該企業の週所定

      労働時間としている。また、週所定労働時間が週によって異なる場合は、

      1ヵ月平均あるいは変形労働時間制の採用に伴うものである場合は変形

      期間内で平均した週所定労働時間による。



  ロ 1日の所定労働時間

    1日の所定労働時間(注)は、1企業平均7時間41分(前年7時間45分)、

   労働者1人平均7時間42分(同7時間43分)となっている。1企業平均を企業

   規模別にみると、1,000人以上7時間44分、300〜999人7時間41分、100〜299人

   7時間42分、30〜99人7時間41分と、規模間の差はほとんどみられない

   (第5表)。

   (注) 「1日の所定労働時間」とは、就業規則等で定められた通常労働日の1

     日当たりの所定労働時間(始業時刻から終業時刻までの時間から休憩時間

     を差し引いた時間)をいう。





 (3) 年間休日総数

   年間休日総数は、1企業平均103.5日で、前年(102.1日)よりも1.4日増加し

  た。内訳は「週休日」が86.4日(同83.8日)、「週休日以外の休日」が17.1日

  (同18.3日)となっている。

   労働者1人平均は112.5日で、内訳は「週休日」が94.8日、「週休日以外の休

  日」が17.7日となっている(第6-1表第6-2表)。

   企業規模別にみると、1企業平均では1,000人以上116.9日、300〜999人112.8

  日、100〜299人107.1日、30〜99人101.2日、労働者1人平均では1,000人以上

  119.3日、300〜999人113.9日、100〜299人108.1日、30〜99人 103.1日となって

  おり、いずれも規模が小さくなるほど年間休日総数は少なくなっている

  (第6-1表)。





 (4) 年次有給休暇の取得状況

   平成9年(又は平成8会計年度)1年間に企業が労働者に付与した年次有給休

  暇日数(繰越日数を除く。)は労働者1人平均17.4日で、そのうち、労働者が取

  得した日数は9.4日でともに前年と同じであった。取得率(付与日数に対する取得

  日数の割合)は53.8%となっている(第7表)。





 (5) 変形労働時間制

  イ 採用状況

    変形労働時間制の採用企業数割合は54.4%と、前年(40.5%)に比べ13.9ポイ

   ントの上昇となった。企業規模別にみると、1,000人以上68.7%、300〜999人

   56.2%、100〜299人 55.4%、30〜99人53.5%となっている。

    変形労働時間制の種類別に採用企業数割合をみると、「1年単位の変形労働

   時間制」が  35.9%で前年の15.1%に比べ20.8ポイント上昇する一方、「1ヵ

   月単位の変形労働時間制」は16.3%で前年の22.4%から6.1ポイント低下した。

   「フレックスタイム制」は4.4%(前年4.8%)となっている(第3図第8表)。

    企業規模別にみると、「1年単位の変形労働時間制」の採用企業数割合は、

   1,000人以上18.8%、300〜999人25.2%、100〜299人34.6%、30〜99人37.9%と

   、小規模ほど採用企業数割合が高い。一方、「1ヵ月単位の変形労働時間制」

   は1,000人以上33.0%、300〜999人   23.8%、100〜299人18.1%、30〜99人

   14.6%、「フレックスタイム制」は1,000人以上33.4%、300〜999人13.1%、

   100〜299人5.0%、30〜99人2.5%と、大規模ほど採用企業数割合が高い

   (第8表)。

    部門ごとに「1年単位の変形労働時間制」の採用企業数割合をみると、「生

   産部門」が  43.0%と最も高く、次いで「生産補助・修理部門」40.6%、「運

   輸・通信部門」39.7%などとなっている(第9表)。「1ヵ月単位の変形労働

   時間制」を採用している企業数割合では、「対人サービス部門」25.4%が最も

   高く、次いで「運輸・通信部門」19.8%などとなっている(第10表)。



  ロ 適用労働者数割合

    変形労働時間制の適用を受けている労働者数割合は47.7%(前年44.1%)で

   、企業規模別には1,000人以上47.1%、300〜999人44.3%、100〜299人50.4%、

   30〜99人49.1%となっている(第11表)。

    変形労働時間制の種類別に適用労働者数割合をみると、「1年単位の変形労

   働時間制」は21.3%で前年の11.6%から9.7ポイントの上昇、「1ヵ月単位の変

   形労働時間制」は18.8%で前年の22.7%から3.9ポイントの低下、「フレックス

   タイム制」は7.6%で前年の9.8%から2.2ポイントの低下となった(第11表)。





 (6) みなし労働時間制

   みなし労働時間制の採用企業数割合は8.9%で、前年の6.1%から2.8ポイント上

  昇した。種類別にみると、「事業場外労働のみなし労働時間制」の採用企業数割

  合が8.3%(前年5.8%)、「裁量労働のみなし労働時間制」の採用企業数割合が

  1.4%(前年0.5%)である(第12表)。

   適用労働者数割合でみると5.5%で、前年の3.8%から1.7ポイント上昇した。種

  類別にみると、「事業場外労働のみなし労働時間制」が5.1%、「裁量労働のみな

  し労働時間制」が0.4%である(第13表)。
第14表 部門別事業場外労働のみなし労働時間制採用企業数割合





 (7) 特別休暇

   病気休暇、リフレッシュ休暇などの制度のある企業数割合をみると、病気休暇

  23.1%、有給教育訓練休暇4.7%、リフレッシュ休暇11.7%、ボランティア休暇

  2.0%となっている(第15表)。

   企業規模別にみると、1,000人以上では病気休暇36.5%、有給教育訓練休暇3.3

  %、リフレッシュ休暇51.2%、ボランティア休暇17.0%であるのに対し、30〜99

  人では病気休暇23.0%、有給教育訓練休暇5.2%、リフレッシュ休暇8.2%、ボラ

  ンティア休暇1.4%となっており、特にリフレッシュ休暇とボランティア休暇は、

  企業規模による採用企業数割合の違いが大きい(第15表)。

   リフレッシュ休暇又はボランティア休暇を採用している企業について、賃金の

  支給状況と1回当たり最高付与日数をみると、リフレッシュ休暇については賃金

  の全額支給の企業数割合が93.6%、1回当たり最高付与日数7.0日、ボランティア

  休暇については賃金の全額支給の企業数割合が68.4%、減額支給16.2%、無給

  15.4%、1回当たり最高付与日数95.5日となっている(第15表)。







2 賃金制度(家族手当制度)

 (1) 家族手当の支給対象範囲

   家族手当制度のある企業数割合は78.1%(前回平成4年調査78.5%)で、企業

  規模別にみると、1,000人以上92.5%、300〜999人89.7%、100〜299人85.8%、

  30〜99人74.3%となっている(第16表)。

   支給対象範囲別に家族手当制度のある企業数割合をみると、「配偶者」76.6%

  、「満18歳未満の子供」63.0%、「満18歳以上で在学中の子供」35.8%、「満60

  歳以上の父母・祖父母」26.8%となっている(第16表)。





 (2) 配偶者手当額、配偶者の収入金額による支給制限及び年間収入限度額決定方

  法

   配偶者についての家族手当(以下「配偶者手当」という。)を支給する企業に

  おける1企業平均の「配偶者手当額」は10,500円となっている。企業規模別にみ

  ると、1,000人以上17,400円、300〜999人14,200円、100〜299人11,100円、30〜99

  人9,600円で、1,000人以上は30〜99人の約1.8倍の額となっている(第16表)。

   配偶者手当のある企業のうち、配偶者手当について支給制限(配偶者の年間収

  入が一定額を超えると「配偶者手当」を支給しない)を設けている企業数割合は

  49.9%で、企業規模別にみると、1,000人以上71.0%、300〜999人52.1%、100〜

  299人53.8%、30〜99人47.5%となっている(第17表)。

   「配偶者手当」について支給制限を設けている企業について、配偶者の収入金

  額の上限の決定方法をみると、「配偶者控除の対象となりうる限度額(103万円)

  に合わせている」38.5%、「所得税の非課税限度額(103万円)に合わせている」

  37.9%とする企業が多く、「社会保障の被扶養者となりうる限度額(130万円)に

  合わせている」15.4%などとなっている(第17表)。



第18表 配偶者手当の支給制限の対象となる配偶者の年間収入金額

階級別企業数割合及び1企業平均年間収入金額





3  退職金制度

 (1) 退職金制度の有無及び形態

   退職金制度のある企業数割合は88.9%(前回平成5年調査92.0%)で、企業規

  模別にみると、1,000人以上99.5%、300〜999人97.7%、100〜299人95.9%、30〜

  99人85.7%と、企業規模が大きいほど退職金制度がある企業数割合が高くなって

  いる(第19表)。

   退職金制度のある企業について、形態別に企業数割合をみると、「退職一時金

  制度のみ」47.5%(同47.0%)、「両制度の併用」32.2%(同34.5%)、「退職

  年金制度のみ」20.3%(同18.6%)となっており、前回平成5年調査と比べ、「

  両制度の併用」の割合が低下する一方、「退職年金制度のみ」が上昇した

  (第4図第19表)。

   企業規模別にみると、「退職一時金制度のみ」の企業数割合は企業規模が小さ

  いほど高く、1,000人以上の9.6%に対し、30〜99人は56.1%と5割を超えている。

  一方、「退職年金制度のみ」の企業数割合は1,000人以上で22.7%、300〜999人で

  31.2%、100〜299人で23.1%、30〜 99人で18.2%となっている(第19表)。





 (2) 退職一時金制度

  イ 退職一時金制度の支払準備形態

    退職一時金制度のある企業について、支払準備形態別企業数割合(複数回答)

   をみると、「社内準備」が68.3%と最も高く、次いで「中小企業退職金共済制

   度」30.2%、「特定退職金共済制度」11.1%、「その他の支払準備形態」3.5

   %となっている(第20表)。

    企業規模別にみると、大規模ほど「社内準備」を採用する企業が多く、1,000

   人以上で98.6%となっている一方、30〜99人では「社内準備」は相対的に低く

   60.6%となり、替わって「中小企業退職金共済制度」(36.8%)が高くなって

   いる(第20表)。



  ロ 退職一時金の算定基礎額

    支払準備形態が社内準備である退職一時金制度のある企業について、算定基

   礎額の種類別企業数割合(複数回答)をみると、算定基礎額を「退職時の賃金」

   とする企業70.9%、退職時の賃金以外の「別に定める額」とする企業30.6%と

   なっている。企業規模が大きくなるほど「別に定める額」とする企業数割合が

   高く、1,000人以上43.6%、300〜999人40.2%、100〜299人29.7%、30〜99人

   29.0%となっている(第21表)。

    算定基礎額を「退職時の賃金」とする場合の内容別に企業数割合をみると、

   「すべての基本給」39.6%、「一部の基本給」30.8%となっている。

    企業規模別にみると、300人以上の各規模では「一部の基本給」が「すべて

   の基本給」を上回っているが、300人未満の各規模では「すべての基本給」が

   「一部の基本給」を上回っている(第21表)。

    算定基礎額を「別に定める額」とする場合の方式別に企業数割合をみると、

   「定額方式」とする企業数割合が最も高く15.6%で前回平成5年調査の8.9%

   から6.7ポイント上昇した。次いで「点数方式」8.2%、「別テーブル方式」7.9

   %となっている。企業規模別にみると、1,000人以上では「別テーブル方式」が

   18.2%で最も高く、次いで「点数方式」16.9%、「定額方式」10.5%であるが、

   30〜99人では「定額方式」が18.4%で最も高く、次いで「点数方式」6.4%とな

   っている(第21表)。



  ハ 退職一時金の保全措置

    退職一時金制度のみで支払準備形態が社内準備のみの企業について、退職一

   時金の「保全措置(注)を講じている」企業数割合は21.1%である(第22表)。

   (注) 「保全措置」とは、「賃金の支払の確保に関する法律」第5条努力義務

     に規定されている退職手当の保全措置をいう。社外積立である中小企業退

     職金共済制度、適格年金又は厚生年金基金に加入している企業は、努力義

     務が免ぜられている。





 (3) 退職年金制度

  イ 退職年金の支払準備形態

    退職年金制度のある企業について、支払準備形態別企業数割合をみると、「

   適格年金(注)のみ」が52.3%と最も高く、次いで「適格年金と厚生年金基金

   との併用」21.4%、「厚生年金基金のみ」20.3%となっている。また、「企業

   独自年金のみ」は3.2%となっている(第5図第23表)。

    前回平成5年調査と比べると、「厚生年金基金のみ」及び「適格年金と厚生

   年金基金との併用」は上昇したが、「適格年金のみ」の形態は低下している

   (第23表)。

    企業規模別にみると、「適格年金のみ」とする企業数割合は、いずれの規模

   でも最も高いが、300〜999人及び100〜299人では約6割となっているのに対し

   て、1,000人以上及び30〜 99人では約5割となっている(第23表)。

   (注) 適格年金とは、退職労働者に対して年金(又は一時金)を給付するため

     に事業主と労働者との間で結ばれた年金規約(規程)に基づいて年金契約

     を信託会社又は生命保険会社との間で結ぶもので、法人税法及び所得税法

     により税制上の優遇措置が認められる企業外積立型の年金制度である。



  ロ 退職年金の拠出制

    退職年金制度のある企業について、支払準備形態別に拠出制(年金の掛金な

   どの一部を労働者にも負担させる制度)を採用している企業数割合をみると、

   適格年金のある企業では4.0%、厚生年金基金のある企業では27.6%、企業独

   自年金のある企業では3.7%となっている(第24表)。



  ハ 退職年金の受給資格要件

   (イ) 退職年金制度のある企業について、支払準備形態と退職年金の受給資格

     要件別に企業数割合をみると、適格年金のある企業については、「会社都

     合」退職の場合、「勤続年数のみ」を受給資格要件とする企業が47.2%、

     「年齢と勤続年数」の両方とする企業が46.0%、「年齢のみ」とする企業

     が6.8%となっている。一方、「自己都合」退職の場合、「年金を支給する

     る」企業は64.5%で、「年金を支給する」企業について受給資格要件をみ

     ると、「勤続年数のみ」が70.4%と最も高く、次いで「年齢と勤続年数」

     の両方とする企業が27.4%となっている(第25表)。

      厚生年金基金のある企業については、「会社都合」退職の場合、「勤続

     年数のみ」を受給資格要件とする企業が55.3%となっている。「自己都合」

     退職の場合は、「年金を支給する」企業が77.2%で、「年金を支給する」

     企業について受給資格要件をみると、「勤続年数のみ」が90.1%と最も高

     くなっている(第25表)。

   (ロ) 年金の受給資格要件を「年齢と勤続年数」の両方とする企業について、

     「会社都合」退職の場合の受給資格年齢をみると、適格年金、厚生年金基

     金、企業独自年金ともに「60歳」とする企業数割合が最も高く、それぞれ

     54.6%、69.2%、69.9%となっている。受給資格とする勤続年数をみると、

     適格年金では「20年」とする企業数割合が52.1%と半数を占め、厚生年金

     基金では「15年」(39.6%)、「10年」(38.8%)が4割ずつ、企業独自

     年金では「10年」(26.7%)、「15年」(25.9%)、「20年」(25.8%)

     がほぼ同じ割合となっている(第26表)。

      一方、「自己都合」退職の場合の受給資格年齢をみると、適格年金は「

     55歳」、厚生年金基金及び企業独自年金は「50歳」とする企業数割合が高

     く、それぞれ49.2%、42.9%、44.5%となっている。受給資格とする勤続

     年数をみると、適格年金では「20年」(69.3%)、厚生年金基金では「10

     年」(57.1%)、企業独自年金では「20年」(45.8%)とする企業数割合

     がそれぞれ最も高くなっている(第27表)。



  ニ 退職年金の支給開始時期

    退職年金制度のある企業について、支払準備形態別に支給開始時期別企業数

   割合をみると、適格年金と企業独自年金では「退職後即時支給」が最も高くそ

   れぞれ84.9%、76.8%となっている。一方、厚生年金基金では、「一定年齢か

   らの支給」が51.4%と最も高く、次いで「退職後即時支給」が48.6%となって

   いる(第28表)。



  ホ 退職年金の支給期間

    適格年金及び企業独自年金のある企業について、年金支給期間別企業数割合

   をみると、「有期」がそれぞれ86.9%、77.2%、「終身」が13.1%、22.8%と

   なっている。「有期」とする企業について、その期間をみると、適格年金、企

   業独自年金とも「10年」とする企業数割合がそれぞれ92.6%、91.6%と大部分

   を占めている(第29表)。



  ヘ 退職年金の一時金選択制

    退職年金制度のある企業について、一時金選択制(注)の有無をみると、「一

   時金選択ができる」とする企業数割合は適格年金96.1%、厚生年金基金83.4%

   、企業独自年金95.8%となっている(第30表)。

   (注) 「一時金選択制」とは、退職年金の受給権者が年金の全部又は一部を一

     時金で受給することを選択できる制度をいう。





 (4) 早期退職優遇制度

  イ 早期退職優遇制度採用状況

    退職金制度のある企業について、定年前の早い時期に退職する者に対し退職

   金を優遇するという早期退職優遇制度を採用している企業数割合は3.4%である。

   企業規模別にみると、1,000人以上33.9%、300〜999人16.2%、100〜299人4.4

   %、30〜99人0.6%と、企業規模の大きいほど採用割合が高い(第31表)。

    学歴、年齢別に採用状況をみると、大学卒、高校卒ともに45歳時点で1.1%、

   50歳時点で2.5%、55歳時点で2.9%の企業が、早期退職優遇制度を採用すると

   している。1,000人以上についてみると、大学卒は45歳時点で16.1%、50歳時点

   で26.8%、55歳時点で28.4%の企業が、また、高校卒ではそれぞれ16.3%、

   26.8%、27.9%の企業が早期退職優遇制度を採用するとしている(第31表)。



  ロ 男性標準労働者のモデル退職金額

    学校卒業後直ちに入社し、標準的な昇進経路を経て自己都合で退職した場合

   の男性(男性標準労働者)のモデル退職金(退職一時金と退職年金現価額(注)

   の合計額)をみると、大学卒の場合、45歳では915万円、50歳では1,439万円、

   55歳では1,770万円、高校卒の場合はそれぞれ913万円、1,376万円、1,611万円

   となっている(第32表)。

    早期退職優遇制度を適用した場合のこの額に対する加算金額をみると、大学

   卒の45歳では657万円(加算割合71.8%)、50歳では754万円(同52.4%)、55

   歳では616万円(同34.8%)、高校卒ではそれぞれ596万円(同65.2%)、627

   万円(同45.6%)、522万円(同32.4%)となっている(第32表)。

   (注) 「退職年金現価額」とは、将来支払うべき年金の額の総額からその間

      に生ずる利息分を差し引いた額をいう。なお、厚生年金基金の場合、厚

      生年金などの公的年金及び厚生年金基金の代行部分を除く上乗せ給付(

      プラスアルファ部分)のみの額である。





 (5) 退職金制度の見直し

   退職金制度について「過去3年間に見直しを行った」企業数割合は16.9%、ま

  た、「今後3年間に見直しを行う」企業数割合は22.2%となっている。見直しの

  内容をみると、「退職一時金」についてとする企業数割合が、過去3年間、今後

  3年間ともそれぞれ11.8%、16.6%と最も高くなっている(第33表)。

   退職金制度について「過去3年間に見直しを行った」企業の見直した主な理由

  (複数回答)をみると、「同業他社、世間の水準に合わせた変更」が38.2%と最

  も高く、次いで「労働者の高齢化に伴う人件費増大に対処」が22.3%、「退職金

  原資の積立て不足」19.0%、「年功重視から能力・業績重視に改めた」17.3%と

  なっている(第34表)。







4 退職金支給実態

 (1) 退職者数

   退職金制度のある企業における平成9年1年間の勤続20年以上かつ45歳以上の

  退職者数は  235,500人(男性退職者は211,600人)である。企業規模別には1,000

  人以上130,300人、300〜999人38,500人、100〜299人36,500人、30〜99人30,200人

  である(第35表)。

   退職事由別割合をみると、「定年」が56.0%、「定年以外」では「自己都合」

  20.5%、「会社都合」13.4%、「早期優遇」10.1%となっている。企業規模別に

  みると、「定年」は各規模とも5〜6割であるが、定年以外の事由では、「自己

  都合」とする者が1,000人以上では17.2%であるのに対し、100〜299人、30〜99

  人では約27%となっている一方、「早期優遇」による退職者が1,000人以上では

  15.1%と高い割合になっている(第35表)。





 (2) 退職年金受給資格者数と受給方法

   退職年金制度のある企業における平成9年1年間の勤続20年以上かつ45歳以上

  の受給資格者数は146,700人で、退職年金の受給方法別退職年金受給資格者数割合

  をみると、「年金の全部を一時金として受給」が58.6%と最も高く、次いで「年

  金の全部を年金として受給」31.2%、「年金の一部を年金、一部を一時金として

  受給」10.2%となっている。企業規模別にみると、1,000人以上では「年金の全部

  を一時金として受給」が43.0%で最も多いものの、「年金の全部を年金として受

  給」も42.3%となっている。一方、他の規模では「年金の全部を一時金として受

  給」が7〜9割を占めている(第36表)。

 (注) 以下の(3)〜(6)に述べる退職金の額に関する統計は、退職金制度のある企業

   における平成9年1年間の勤続20年以上かつ45歳以上の男性退職者について、

   平成9年1年間に支給又は支給額が確定した退職金の額である。なお、退職年

   金については現価額に換算したものである。





 (3) 学歴・労働者の種類別にみた退職金(男性定年退職)

   男性定年退職者の退職金の額は、「大学卒(管理・事務・技術職)」2,871万

  円(月収換算 45.3ヵ月分)、「高校卒(管理・事務・技術職)」1,969万円(同

  41.6ヵ月分)、「高校卒(現業職)」1,351万円(同37.0ヵ月分)、「中学卒(

  現業職)」1,192万円(同36.8ヵ月分)となっている(第6図第37表)。

   「大学卒(管理・事務・技術職)」について勤続年数別にみると、勤続20〜24

  年は1,088万円(月収換算20.6ヵ月分)であるが、勤続35年以上では3,203万円(

  同49.3ヵ月分)となっている。

   同じく「大学卒(管理・事務・技術職)」について企業規模別にみると、1,000

  人以上3,219万円(月収換算49.1ヵ月分)、300〜999人2,393万円(同39.0ヵ月分)

  、100〜299人2,045万円(同35.1ヵ月分)、30〜99人1,222万円(同24.0ヵ月分)

  となっている。

   これを前回平成5年調査と比べると、勤続年数計で、「大学卒(管理・事務・

  技術職)」は2,462万円から2,871万円に、月収換算は41.9ヵ月分から45.3ヵ月分

  にそれぞれ増加、「高校卒(管理・事務・技術職)」は1,816万円から1,969万円

  に、月収換算は39.9ヵ月分から41.6ヵ月分にそれぞれ増加、「高校卒(現業職)」

  では1,159万円から1,351万円に、月収換算は35.7ヵ月分から37.0ヵ月分にそれぞ

  れ増加、「中学卒(現業職)」では1,148万円から1,192万円に、月収換算では35.9

  ヵ月分から36.8ヵ月分にそれぞれ増加した(第37表)。





 (4) 退職事由別にみた退職金

   「大学卒(管理・事務・技術職)」の男性退職者について、退職金の額を退職

  事由別にみると、定年退職者2,871万円(勤続35年以上3,203万円)、会社都合退

  職者3,292万円(同4,710万円)、自己都合退職者1,750万円(同2,815万円)、早

  期優遇による退職2,820万円(同3,174万円)となっている(第38表)。





 (5) 製造業・非製造業別にみた退職金(男性定年退職)

   製造業と製造業以外の業種で、男性定年退職者の退職金の額を勤続35年以上に

  ついて比較すると、製造業では「大学卒(管理・事務・技術職)」2,690万円、

  「高校卒(管理・事務・技術職)」2,055万円、「高校卒(現業職)」1,630万円、

  「中学卒(現業職)」1,499万円となっているのに対し、非製造業では、すべて

  の学歴・労働者の種類において、退職金の額は製造業より高く、製造業を100と

  した場合、非製造業は「大学卒(管理・事務・技術職)」が130、「高校卒(事

  務・管理・技術職)」が116、「高校卒(現業職)」108,「中学卒(現業職)」

  が122となっている(第39表)。





 (6) 退職金制度の形態別にみた退職金(男性定年退職)

   勤続35年以上について、男性定年退職者の退職金の額を退職金制度の形態別に

  みると、「大学卒(管理・事務・技術職)」では「退職一時金制度のみ」2,330

  万円、「退職年金制度のみ」3,030万円、「両制度の併用」3,308万円、「高校卒

  (管理・事務・技術職)」では「退職一時金制度のみ」1,628万円、「退職年金制

  度のみ」2,085万円、「両制度の併用」2,371万円、「高校卒(現業職)」では「

  退職一時金制度のみ」1,686万円、「退職年金制度のみ」1,407万円、「両制度の

  併用」1,834万円、「中学卒(現業職)」では「退職一時金制度のみ」1,523万円、

  「退職年金制度のみ」1,369万円、「両制度の併用」1,733万円となっている

  (第40表)。





 (7) 退職年金月額(男性定年退職)

   退職年金制度のある企業から退職し、退職年金を受給した勤続年数35年以上の

  男性定年退職者の退職年金月額をみると、退職年金制度のみの企業からの退職者

  については、「大学卒(管理・事務・技術職)」19万6千円、「高校卒(管理・

  事務・技術職)」15万8千円、「高校卒(現業職)」が11万円、「中学卒(現業

  職)」が10万円、「退職一時金制度と退職年金制度の併用」の企業からの退職者

  については「大学卒(管理・事務・技術職)」が13万7千円、「高校卒(管理・

  事務・技術職)」が10万5千円、「高校卒(現業職)」が7万7千円、「中学卒

  (現業職)」が7万円となっている(第41表)。








                                    TOP

                                  トップページ