パネルディスカッション

パネリスト
椎名 卓也、下谷 智則、樋口 幸雄、丸川 智生、岡崎 淳一
コーディネーター
藤本 真
フォーラム名
第136回労働政策フォーラム「シニア層の労働移動─就労・活躍機会の拡大に向けて─」(2025年1月8日-15日)

論点1:採用、マッチングにおいてどのような工夫をしているか。どんな苦労があるのか

藤本 今回のフォーラムのテーマである「シニア層の労働移動」において、キーとなるトピックと言えるのが、「採用」と「マッチング」です。報告のなかでも椎名さん、下谷さん、樋口さんからそれぞれ、採用に関する自社、自組織の取り組みをお話しいただきました。

パネルディスカッションではまず、それぞれの企業・団体でシニア社員を採用する立場から、採用者の募集や選考にあたって留意、工夫、苦労されている点をあらためてお聞きしたいと思います。また、採用活動を通して、応募者の傾向などふだんの採用の場面で感じていらっしゃることをお話しいただければと思います。

丸川さんと岡崎さんには、マッチングを手がける立場から、工夫、苦労されている点や、近年のシニア層の応募者あるいは求人の動向について、ふだん感じていらっしゃることをお話しいただければと思います。

泰榮エンジニアリングでの採用の工夫と苦労

職種や年齢を制限せずに求人を公開

椎名 当社が求人募集等で留意、工夫しているところというと、契約社員の求人では、一般職という形にして、職種や年齢を制限せずに求人公開をしているところがあげられるかと思います。

職種では、当社では設計職がメインになるのですが、職種が合わないからといって候補先から外されないよう、まずは当社に目を向けてもらうために、面会する機会をつくることを優先しています。

選考では、面接時に、どんな仕事、どんなポジションでやりたいかや、給与面や稼働時間などの詳細の確認を細かくすることで、ミスマッチを防いでいます。

正社員希望者の増加と60歳定年制との折り合いに苦労も

苦労している点や懸念している点としては、受け入れ前の段階では、健康寿命が延びて就業意欲の高いシニア層の方が増えてきていることから、正社員を希望する人が増えていることがあげられます。当社は60歳定年制ですので、あまり年齢の高い方の正社員への応募は、制度上少し難しい問題もあります。職責や役職等の希望のアンマッチも時々あります。

受け入れ後では、入社したばかりの時期には問題なく勤務をしていても、就業を続けているうちに体力面で問題が出てきたり、家族で介護が必要になり、就業が困難になるということがあります。

また、求職者のスキルに見合う業務とうまくマッチングするように努めていますが、どうしてもマッチングできない場合もあります。その場合に納得してもらうか、柔軟に業務を替えるかという対応には苦慮しているところです。

「私にはどうしてもそれはできません」と言われてしまうことも

藤本 募集のときには、職種をあえて絞らないというお話でしたが、専門業務で働いてもらいたいというニーズがあるなかで、実際に応募してくる人はそういった職種の経験者でないことが多いのですか。

椎名 求人には一般職という形にして、備考に、こんな業務がありますと書いています。専門職といっても、がちがちの専門業務もあれば、専門知識を持っていなくてもできるものもあります。ただ、実際に「やってもらう業務がこれです」と紹介をしたときに、「私にはどうしてもそれはできません」といったことがあります。

藤本 そのずれというのは、入社してから埋めるというのはなかなか難しいのですか。例えば、能力開発や教育訓練で埋めていくことはできないのですか。

椎名 入社してからそういったずれが出た場合は、やはり違う業種・業務に移ってもらうなどということはやっています。ただ、事業所が変わってくる場合もありますので、それができないとアンマッチになる可能性が出てきます。

藤本 各事業所で募集をしているのですか。それとも、本社が一括で募集を行っているのですか。つまり、入社後の配属先でのぶれみたいなものが生じ得るかどうかをお聞きしたいのですが。

椎名 募集自体は茨城県・日立の事業所が一括で行っていますが、特にシニアの方に限っては、入社後の大きな異動はないようにしています。

顧客企業の定年退職者などにアプローチ

藤本 もう1つお聞きしたいのですが、先ほどのご説明では、シニア人材を積極採用する企業として、社内外にPRしているとのことでした。具体的にはどのようなことをされているのですか。

椎名 まず、当社のお客様の企業で定年退職される方などがいらっしゃる場合は、当社にご紹介していただくように、お願いに回っています。社内では、リファラル採用という形で、知り合いにシニアの方がいないか、アピールしています。

藤本 どの取り組みが、効果がありますか。

椎名 取引先企業では、シニアの社員に当社で継続して働いてもらいたいと考えるところは多いです。PRはそうした企業に効果があります。リファラル採用は最近増えてきており、社内広報も最近は効果が出ていると思っています。

すかいらーくHDでの採用の工夫と苦労

活躍できる場であることをまずきちんと伝えている

藤本 ありがとうございます。それでは引き続きまして、すかいらーくの下谷さんにおうかがいできればと思います。

下谷 当社のシニアの採用は、基本的にはパート・アルバイトの採用が大多数を占めています。ですので、パート・アルバイトの採用での話になります。

まず、採用とマッチングについてですが、シニアの方に、すかいらーくでのお仕事を対象に入れてもらう、認知してもらうということが当社としては最も大切だと思っています。ですので、すかいらーくのファミリーレストランでフロアまたは調理することがシニアの方にとっても活躍できる場であることをまずきちんと伝えて、応募してもらう努力をしています。

朝は苦にしないはずなのにその時間帯の応募はない

実際の応募では、本人が条件を示して応募してくるのですが、面接をしていくなかで、比較的採用が厳しいと感じているのが朝の時間帯です。どうしてもこの時間帯は学生を採用することが難しく、主婦の方も「ちょっと朝は」という方が多いなかで、シニアの方というのは比較的、朝、働くということが苦ではないはずなのですが、その時間帯で働きたいという条件を一番にあげて応募はしてくることは多くありません。

ただ、昼間や夜に働きたいと言って応募してきた方に対して、「朝、どうですか」と言うと、「もう全然平気です」と言われるようなことが実際に現場では起きていますので、繰り返しになりますが、まず、応募していただき、応募していただいた後にきちんと活躍の場があるということを面接の中で伝えていけると、シニアの採用は増えていくと思っています。

藤本 シニアの方の採用をしていることについて、ホームページ以外では、どういう情報発信をしていらっしゃるのでしょうか。

下谷 基本的に当社のアルバイトの方は、シニアも外国籍人財も一般の方も、やはりウェブの求人から入ってくる方が多いです。求人広告に「シニアの方大歓迎」などといったワードを入れて、シニアの方が求人を検索したときにきちんと目にすることができるように努めています。

藤本 そのワードは、例えば年齢不問とか、そういったワードになるのですか。それとも、シニアの方も大歓迎のように直接表現するのですか。

下谷 もうはっきりシニアという言葉を入れています。

藤本 店舗で働かれるシニアの方の選考の判断や権限は、店舗の店長が持っているのですか。

下谷 はい。

藤本 店舗の店長に対して、本社の本部のほうから、何かシニア層の採用にあたって留意点やガイドラインのようなものを渡したり、示したりといったことはしていますか。

店にとってニーズが高い時間帯も提示しながら採用につなげる

下谷 シニアの方だけでなく、外国籍、障がい者の方など、いろいろな方が応募されますので、面接マニュアルやガイドは用意していますが、特別シニアに特化したものはありません。

シニアの方に限らずですが、希望の時間と可能な時間はやはり違いますので、お店としてニーズがある時間帯にシニアの方がマッチして活躍できるのであれば、最初の希望の時間ではない時間というのも示しながら、採用につなげている状況です。

藤本 1日の勤務時間数には何通りかのオプションがあるのですか。例えば3時間とか4時間などの短時間など。

下谷 最低時間は1時間でも2時間でも可能です。ただし、実際に1時間で応募される方はほとんどいません。応募の条件に関しては柔軟に対応しています。

京都ライフサポート協会での採用の工夫と苦労

福祉では年代のバランスよく採用するのが自然

藤本 それでは樋口さんにおうかがいします。全く福祉とは関係がない業界からも入社されている方がいるということですが、募集していることを他業界に伝える工夫は何かしていますか。この点からお話しいただければと思います。

樋口 もともと新卒者だけの採用は考えてきませんでした。福祉の仕事は、やっぱり総合的な人間力というか、そういうものが求められる仕事です。出生から看取りまでの長い人生に寄り添って、その人が求める福祉ニーズに対応していくというのが仕事です。そうすると、やはりそれぞれの年代の人がバランスよく、担い手になっていただくというのが自然だと考えてきました。

動画に登場した5人は、全く職種は違うのですが、初めて福祉の世界に来た人たちです。私は、それが、これからの高齢者採用にとって1つのキーポイントではないかと思っています。動画に登場したパナソニック出身の方がおっしゃいましたが、普通、退職後の職種の選択で、福祉は浮かびません。しかし、福祉というのは、働くことがそのまま地域貢献や社会貢献だという意識を持てる仕事です。

福祉業界自体がはじめから高齢者を採用の対象と見ていない

私たちの団体はたまたま他業界から移ってきた人が多いのですが、背景には、福祉業界の問題があります。1つは、福祉業界自体がはじめから、高齢の人はもう対象でないとみている。当法人を訪ねてこられた方は、前に訪ねた先で「あなたの経歴はご立派やけども、うちの仕事はそういう仕事ではありません」みたいなことで断られたというような方たちばかりです。

報告で言いましたが、私たちの法人では、離職率が年3、4%で、二十数年間やってきました。この水準は福祉の世界ではほぼありません。だいたい14、15%というのが今の業界の数字です。

私たちの離職率が低いのは、創設当初から、どんな学歴、年齢、新卒者、中途採用者であれ、同一条件で採用してきたからです。多少の前歴加算はしていますが、そんな多くはしていません。今、高卒の人はほぼおらず、8割ぐらいが大卒です。採用試験と3回の面接で、ほぼ間違いなく私たちが望んでいる人物を採用できています。

実は知的労働も多い福祉の仕事

採用試験が1つのポイントです。福祉の仕事は一見、介護労働や肉体労働に思われがちですが、実は結構、知的労働です。支援計画や介護計画などいろいろな計画を立て、記録をつくり、分析するというような仕事がほぼ半分です。特に障害関係の知的発達の人たちの仕事はそうです。それが案外知られてない。採用試験では一定の点数を決めて、それ以下は採用しないと決めています。60歳の人でも、定年後の方でも、採用条件は一緒です。

これも案外知られてないのですが、退職金制度はわりと充実した業界です。福祉医療機構の退職手当共済による手厚い退職金制度が、この業界で働く人にとっての励みになっています。

藤本 樋口さんの協会に応募してこられる方は、基本的にハローワークで募集の情報を見て、連絡をしてきますか。それとも、直接、連絡する人が多いですか。

樋口 産業雇用安定センターかハローワークが主です。地元のハローワークがこの業界のことをよく理解しているという面があります。

産業雇用安定センターでのマッチングの工夫と苦労

事務系でシニアの場合、経験にこだわり過ぎると就職先は見つからない

藤本 では、今度はマッチングする立場で、岡崎さんから産業雇用安定センターでのマッチング事例や、マッチングにあたって何かご苦労されている点などございましたら、お話しいただければと思います。

岡崎 私どもは、報告でもお話ししたとおり、キャリア人材バンクという形で、60歳~70歳までの方についての再就職支援を行っています。求職者であるシニア層の側の状況でいうと、シニア層の方は当然のことながら、それまでいろいろな企業で経験を積んでこられて、その経験を生かしたいという思いが相当強い方が多い。

ただ、現実問題として、技術系の方はそれなりに生かせる場所を見つけることができるのですが、事務系の場合は、シニアになって経験を生かせるところは実はあまり多くない状況です。「これまでの経験を生かしたい」とあまり強く言われると、正直に言って、なかなか行き先が見つかりません。

中小企業は大企業より広い担当分野での活躍が求められる

60代後半にもなれば、体力的な問題などもあり、勤務時間もフルタイムではなくパートタイムで、勤務場所も自宅から遠くないところを希望するようになり、いわゆる主婦パートと同じような状況となります。

いまのシニア層は、いわゆる日本型雇用慣行の中で転職経験があまりない方が多く、そうした方々は外部労働市場について全く知識がありません。そういう中で転職先を探すと、本人のこだわりのほうが前面に出てしまう。

大企業から大企業への転職は多くなく、大企業から中小企業へ、中小企業から中小企業へという場合が多いです。大企業出身の方が大企業意識を持ち続けると、なかなか再就職はできませんし、再就職した後も、中小企業でうまくやっていけない人もいます。

中小企業では、マネジメントだけやりますというわけにはいきません。大企業出身の方は自分の専門分野にはものすごく強いのですが、中小企業では、経理も法務も人事も全部あわせた全体の管理部門をやってくれないとだめです、みたいな面があります。

求職者にはカウンセリングでこだわりを弱めてもらう

一方、企業側からすると、最近の人手不足などもあり、大企業を含めて、65歳あるいは場合によっては70歳までそのまま残ってほしいというところも増えてきています。ただ、新たに採用するとなると、やはり若い人がいいということになります。

そういうなかで苦労しているのは、求職者側に対しては、「今の労働市場はこうなっているから、こだわりをある程度捨てて、その中であなたがやりたいこと、できることを探さなければいけませんよ」と言わなければならないことです。ただ、最初からこれを言うと嫌われてしまうので、いろいろなカウンセリングをするなかで、徐々にそういうことを知ってもらうようにしています。

企業のほうには、求人で年齢不問と言いつつも、裏には若い人という思いがある場合が多いなかで、求職者に現場を見てもらったり、企業にも求職者の人柄を知ってもらう努力などをしながら、何とかマッチングにつなげていっています。

リクルートエージェントでのマッチングの工夫と苦労

シニア層のすべてがネガティブな要素を持っているわけではない

藤本 リクルートの丸川さんのところではどうですか。

丸川 私も同じように、対求人企業側への対応と、対転職希望者への対応に分けてお話ししたいと思います。

まず、対求人企業側に対する取り組みですが、いまも話に出た、「できれば若い人がいい」のような声にどう向き合うかというところが大きなテーマかなと思っています。組織構成を理由にご要望されることが多いのですが、一部の企業ではシニアのイメージが固定化されている企業もあります。例えば「年下の上司に対応できないのではないか」「柔軟性に欠けるがゆえに新しい業務を覚えることに苦労するのではないか」「そもそもやる気があるのだろうか」といった声を残念ながらいただくことがあります。

この声に対して、当社がどう向き合っていくかですが、よくやっているのが、「今いらっしゃるシニアの社員の方々がみなさんそうですか」という話をするということです。そうすると、人事の方々も「みんなではないよね。人によるね」となる。これはシニアに限った話ではないのですが、こうして理解をいただきながら、面接の機会までつなげていきます。

企業の採用選考に関わる全員に理解してもらうことが重要

ただ、難しいのが、人事の方々にこのお話をして合意をいただいたとしても、他の面接官の方がそういったイメージをお持ちの場合、話がうまくつながらなくなってしまうといったことがあります。いかにその企業の採用選考に関わる方々全員にこうした理解をしていただけるかがチャレンジポイントです。

また、ジョブのバリエーションをどうやって増やしていくかが1つ大きなポイントです。ジョブとスキルのマッチングを目指しますが、ITエンジニア、機械・電気・化学のエンジニア、施工管理を含む建設に関わる技術系などの職種に関して言えば、スキルが明確であり、評価されやすく、同じ仕事が社外にもありますので、比較的シニアの採用にも目を向けてくれます。しかも、こうした職種はマーケットでの需要が高いので、当社からの提案も比較的よく聞いてもらえます。

事務系や、セールスのような企業内特殊スキルが高いと思われがちな職種だと、なかなか企業側が評価しづらいというところが苦労しているポイントです。ただ、急成長している企業では採用総数が多くなり、未経験の方が増え、育成のニーズが高まるため、この育成役をシニアの方に担っていただくという動きがあります。

転職希望者には、まずは多様な選択肢を視野に入れてもらう

対転職希望者向けの取り組みでは、まず、多様な選択肢を視野に入れて検討してもらうことが大事なポイントです。シニアだからということではありませんが、どうしても経験が長い分、これまでのポジションや企業規模、職種、年収も含めた条件にこだわりを持つ人も多いのは事実です。こういったときに当社では、それは受け止めつつ、その方が仕事に対してどんなやりがいを感じてこられたのかの深堀りに注力しています。例えば、最初は管理職がいいという条件が強かった方が、それはなぜなのか?どんなときにやりがいを感じていたかをおうかがいしていくと、実は人を育てていくことや若手がキラキラしていくことが自分のやりがいだったということがわかり、そうであれば肩書はなくても育成のポジションであればやりがいをもって働けるかもしれない、と役職にこだわらなくなるケースもあります。

本当に大事にしていることは何か、働く目的は何かという話を通じて、結果的に選択肢が広がっていくケースは多いです。とはいえ、求人が無限にあるわけではありませんので、面接に行くなかでその条件をすり合わせていきます。最初から条件をすべて決めて、条件すべてに合致しているものだけ応募するのではなく、条件が全部合ってないかもしれないけれど、関心があるのであれば応募してみる。こうした流れをつくっていくことが大事だと思っています。

年代に関わらず、最初から全ての条件を満たす会社がすぐ見つかることは珍しい

藤本 リクルートでは20代~50代などの転職マッチングが多いと思います。以前、私はミドル世代の転職について調査したことがあるのですが、管理職経験や専門的な分野の仕事・職務経験があれば、紹介してくれる仕事が多かったり、自分のスペックに合った仕事を紹介してもらえるというケースが多いような気がします。シニアの方の場合は、やはり全部の条件を満たせるような求人というのは、なかなかないというのが現状なのでしょうか。

丸川 シニアだからというよりは、たとえもっと若い世代の方であったとしても、すべての条件を満たした会社がすぐ見つかるということはレアケースだと思います。

定年という制度が前提にあるなかで、最初からシニアの方を採用すると考えている企業はそれほど多くないと思います。ですので、例えば60歳定年なのに、単に「正社員募集」としているのは、シニアで該当者がいると思ってないからで、本当にスキルがマッチする方がいればシニアの方を検討していただける会社はあると思います。

論点2:採用後の定着に向けた取り組みと苦労していること

藤本 次の論点に進みます。これは主に企業におうかがいしたい点なのですが、シニアの方を採用した後の定着や活躍、また安心して働ける職場づくりに向けてどういった工夫や取り組みをしているか、そのなかでのご苦労があれば教えてください。

京都ライフサポート協会での定着に向けた工夫と苦労

明るい職場づくりなど労働環境をよくすることが最大のポイント

樋口 やはり、明るい職場にするなど、労働環境をよくしていくことが最大のポイントだと思います。高齢者の場合は、体力も含めて個人差が大きいですし、支援する側の意識を変えていかなければいけない。

動画に登場した5人の影響を、組織内で誰が一番受けているかというと、30代や40代のこれから法人事業を担っていく人たちです。シニア層の働きぶりを見て、すごくいい影響を受けています。はじめは、採用者が「また高齢者か」と受け取る職員も一部にはいますが、変わっていきます。働く意欲が高く、経験値も高くて能力も高いということが分かっていくと、職場が本当に変わっていきます。

シニア職員でも民間企業の平均賃金程度の水準を保証

求人情報でシニア層の賃金水準をみるととても低いのですが、当法人では、シニアの職員でも入って半年も経てば、民間企業の平均賃金程度にはなります。変則勤務に入ればそれ以上になります。ただ、福祉業界は賃金が低いものだという印象が行き渡っていて、なかなか就職先の選択肢に入れてもらえないのが実情です。

その点は自分たちの問題でもあるのですが、福祉は安定的な職場だと言えます。給料は基本的に国が保障している公定価格ですし、報告でも述べたように退職金も手厚い。だから、私はそんなに悲観していません。本当に悩んだことは1回もないです。5人に1人は75歳で、70歳の2人に1人は働いている。そんな状況のなか、担い手はいくらでもいると私は思っています。

藤本 京都ライフサポート協会で一番高齢の方は何歳ですか。

樋口 78歳です。

藤本 その方はどのような仕事をしているのですか。

樋口 もともと正職員だったのですが、非正規になってもらっています。さすがにフルタイム勤務ではありません。ただ、70歳以下ではフルタイムの職員がいます。別に制限があるわけではありません。

福祉事業所でも企業と同じで仕事の切り出しはできる

藤本 体力面のケアはしていますか。

樋口 福祉にはあらゆる仕事があります。福祉事業所といっても企業と同じです。ですので、仕事の切り出しはできます。障がいのある人にマンツーマンで対応するような激しい仕事はさせないなどの配慮はしています。

丁寧な見守りや余暇の支援など、必要な仕事はいくらでもあります。また、事務職は、構造的に多くありませんが絶対に必要です。どの福祉法人も幅広い知識を持つ事務職経験者の方に来てもらいたいと思っており、特にICTに強い事務職が求められています。

すかいらーくHDでの定着に向けた工夫と苦労

マニュアルや動画などの自己学習ができるツールを用意

藤本 すかいらーくでは採用されたシニアの方が活躍できるように、どのような取り組みをされていますか。

下谷 基本的に一般の方とシニアの方で分けていないのですが、1つは、マニュアルや働き方を示す動画といった、自己学習ができるツールを用意しています。わからないことを一つひとつ聞かなくても済み、社会人経験豊富なシニアの方にとってはより効果的だと思っています。

時給で働くパート・アルバイトの方たちは、仕事の範囲が広がったり、役職が上がることで、働きながら成長を実感し、継続して勤務していただいていると思っています。

藤本 店舗で働いているアルバイトやパートの方に意識調査などはしていますか。

下谷 シニア向けのアンケートは実施していませんが、従業員全体に向けたサーベイは実施しています。また、長く仕事をしていただいている従業員に勤続表彰をしています。

藤本 店舗はさまざまなポジションや仕事があると思うのですが、採用されたシニアの皆さん全員が接客をされているわけではないのですよね。

下谷 そうですね。接客やられる方もいれば、調理、デリバリー、食品工場でライン勤務する方もいます。

高齢者になると、どうしても年齢から来るけがなど、労災のリスクが高まるということもあり、工場等では、定期的な面談の中で、筋力の低下をご本人に自覚させるような取り組みを実施しています。

店舗では配膳ロボットの導入などで体力面をカバー

藤本 工場では重い物を運ぶような仕事もあるのですか。

下谷 比較的、重い物を運ぶ部署もあります。ただ、仕事の範囲が非常に広いので、重い物を運ばない部署ももちろんあります。店舗勤務については、以前であれば、重い物を運んだり、多く歩かなければいけないことからシニアの方には抵抗もあったのですが、配膳ロボットの導入などデジタルの仕組みを駆使することで対応しています。

藤本 店舗での人の動き方やどういった作業が多いかなどは、従業員が働きやすい職場をつくるという観点から、調査や分析をしているのですね。

下谷 そうですね。一番有名なのはネコ型配膳ロボットだと思うのですが、もともとは、お客様に対するサービス、利便性の向上ということで始めました。結果的に、フロアで働く従業員の歩行数は明らかに減っています。

藤本 報告のなかで、誰もが働きやすい職場を目指してシンプルなオペレーションを構築するというご説明がありましたが、具体的にはどのような内容ですか。

下谷 以前は、オーダーを取るという作業は「ハンディターミナル」という携帯端末を使っており、ハンディターミナルの中身を覚える量は多かったです。今は、テーブルでお客様自身が注文するデジタルメニューブックを導入したり、レジ操作についても、お客様が自分のタイミングでお会計できるようなセルフレジを導入していることによって、働くうえで覚えることが減っています。シニアの方で、覚えることが大変だとあきらめていた方が、「これだったらやれる」と続けていただいている面はあると思っています。

泰榮エンジニアリングでの定着に向けた工夫と苦労

全員が「シニアエンジニアリングスタッフセンター」に所属

藤本 泰榮エンジニアリングではいかがですか。

椎名 当社ではまず、コミュニケーションを大事にしようと考えています。職場の安全と安定を目指し、シニア層専属の「シニアエンジニアリングスタッフセンター」(SESセンター)という部隊をつくっており、そこで、年代の近い従業員どうしで会話ができるような環境ができあがっています。シニアの方は、SESセンターからそれぞれの仕事に出向くというような形を取っています。

各拠点でも、年齢の壁を設けず、同じ場所で上下関係なく、若手と一緒に業務を行い、なるべく風通しのいい環境にするよう努めています。

担当業務については、お客様の客先の社員の方で、シニアになってから当社に来ていただいた方は、それまでの職種を継続する事が多いのであまり問題ありません。それ以外の方については、本人と相談のうえ、決めるようにしています。また、当社は社内教育にも力を入れていることから、教育課という部署で、技術や知識が豊富なシニアの方が講師になり、若手指導をしてもらっています。

処遇面については、まず、当社の基準に基づいて、希望に沿うものかを確認してもらい、入社後は、所属する上長やお客様の評価、実務の評価をふまえて、フレキシブルに見直すようにしています。

苦労している点は、大手を退職された方だとどうしても大手時代に見合った処遇を希望することが多く、中小企業として用意できる水準を理解してもらわなければならないところです。

藤本 SESセンターは、何歳から所属することになるのですか。

椎名 今は60歳以上の方が所属されるようになっています。

藤本 60歳以降に貴社に採用された方も、60歳以前から貴社で勤務している方も、60歳になるとセンターの所属になるのですね。

椎名 そうです。

藤本 以前所属していた部門にかかわらず、全員、センターに集まるのですか。

椎名 そうです。

外部から採用されたシニアの社員が講師を務めることも

藤本 社内教育では、60歳を過ぎてから外部から採用された方が、講師を務めることもあるのですか。

椎名 はい。いま当社では、電子回路の設計業務なども請け負っているのですが、そうしたシニア社員が、新しく入社した社員に対し、細かい展開接続図のような設計書類の見方や、部品の使い方などの指導を行っています。

藤本 社外出身ということが、社内研修を行うときにハンデにならないのですか。

椎名 そこはあまりネックにはなっていません。

藤本 シニア社員が客先で仕事をする場合もあると思いますが、客先での安全衛生管理や健康管理は、客先を管理する管理職に任せているのですか。

椎名 客先に派遣労働者として入る場合は、派遣先での管理を含め情報としてはすべて当社の管理部門で収集しています。

藤本 処遇の話もありましたが、60歳以降に採用された方と、60歳以前から勤務している社員との間で、賃金のレベルを合わせるようなことはしているのですか。

椎名 基本的に外部から来られる方は、最初は嘱託社員という形になり、時間給のレベルを一定で決めています。そこをスタート地点として、拠点ごとに、経歴などを考慮して上下させています。

定年後再雇用の社員では、定年時の年収の何%という形でルールを定めています。水準を一定に合わせているかといえば、そうはなっていないというのが答えです。

論点3:今後、シニア層の活躍の場を広げていくためには

すかいらーくHDでの活躍の場を広げる取り組み

65歳以上は健保財政を考慮して週20時間未満の勤務に

藤本 3つめの論点に移ります。これからシニア層の活躍の場は増えていくことが予想されます。しかし、現状は、十分に活躍できているとは言えないのではないかとの印象を持っています。採用、あるいはマッチングに携わってみて、今後、シニア層の活躍の場を広げるために必要な取り組みは何だと思いますか。それぞれお話をいただければと思います。

下谷 これは自社健保を持つ当社だけの問題かもしれないのですが、当社の65歳~75歳を対象とした再雇用制度は、週20時間未満の働き方に限定しています。その理由は、週20時間を超えると社会保険の加入要件にかかるのですが、65歳以上の方の社保加入は、自社健保の場合は前期高齢者納付金の負担が非常に大きく、健保財政に影響を与えます。ですので、社会保険に加入して、フルタイムまたは週20時間以上の働き方をしていただくことに二の足を踏むような状況になっています。

国も含めて、シニアの活躍を広げようという政策を打っているのであれば、この前期高齢者納付金の負担に関して、何らかの手を打っていただけると、今よりももっと多くのシニア層の勤務、または、長い時間の勤務が増えるのではないかと思っています。

藤本 社保未加入ということで、起きている問題などはありますか。

下谷 社保未加入ですと、労働時間の制限がかかりますので、週20時間以上の勤務をすることができません。65歳までフルタイムで働いていて、その後も、すかいらーくの仕事が選択肢にあがるものの、週20時間だとどうしても収入が減ってしまうということで、マッチングがうまくいかないということもあります。

同じ理由から、当社と同じように65歳以上に関しては週20時間未満に制限する会社は比較的あるのではないかと思っています。

京都ライフサポート協会での活躍の場を広げる取り組み

まずは福祉業界の紹介を強めることが必要

藤本 樋口さんには先ほど、福祉の構造的な課題についてご指摘いただきましたが、福祉業界または社会全体で、シニア層の活躍を促すためにはどうすればいいのか、何かご意見がありますか。

樋口 やはり、ハローワークや業者さんも含めて、もう少し福祉の分野を紹介していただきたいと思っています。当法人にたどり着いた人が、もうあきらめようかと思ったときに、ホームページを見てつながったと言っていたケースが何回かあります。

福祉というと介護というイメージが強いのですが、就業・生活支援センターなどでは、学校の校長だった人や、長く企業に勤務していた人が相談対応の中心を担っている場合がありますし、相談の担い手は不足しています。

報告の冒頭で言ったように、当法人のような機関では、障害の分野は中小の事業所が多く、全国組織で言えば日本知福協は障害分野での最大の事業者団体です。さまざまな研修制度もあります。こうした内容の周知も含めて、ぜひ、不安がらずに門戸をたたいてくれる環境づくりを、国も進めてほしいということに尽きます。

また、看護師や医師など、健康管理に関わるような業種、職種の人も結構いる業界ですので、安心して働いてもらえる環境だということも強調したいです。

動機の持ち主はいてもそれに見合うマッチングになっていない

藤本 採用されたシニアの皆さんは、自分でホームページを見て応募してきた人と、ハローワークで紹介を受けた人のどちらが多いですか。

樋口 先ほども言いましたが、福祉の仕事はやっぱり自分事であり、家族の誰かが介護を受けるという経験を契機に、福祉の仕事を探しに行くという人が多いです。しかし、繰り返しになりますが、なかなか紹介してもらえなかったり、つなげてもらえないという人が多いのではないかと思います。

藤本 つまり、動機の持ち主はいるのだけれども、動機に見合ったようなマッチングができていないと。

樋口 われわれ業界も本当にいろいろと努力しないといけないのですが、若い人に向いている仕事だと捉えているマッチング会社も多い。ですので、映像を通して、われわれの業界を見せる努力をしています。業界自体も意識を変えていかなければなりません。

泰榮エンジニアリングでの活躍の場を広げる取り組み

チーム制で健康に不安な場合は若い社員がサポートに

藤本 椎名さんいかがですか。シニア層の活躍の機会を増やしたり、活躍を支える人事管理の取り組みをしやすくするには、どうしたらよいか、お考えになっていることがありましたらお聞かせください。

椎名 先ほどもお話に出ましたが、年下の社員が仕事を依頼しなければならないことや、健康面、体調面の不安が課題としてありますので、当社では、若手社員の育成も狙いにはあるのですが、シニアの社員は若い社員とチームを組み、健康的に少しつらくなったときに、若手社員がヘルプに入れるようにしています。

また、これも先ほども触れたように、シニア社員を受け入れているということを外部にPRしたり、取引先企業のヒアリングを強化しています。

当社が改善が必要だと考える点としては、就業制限の問題です。年金が下がってしまうので、実際の職責に見合った給与はもらえないという人もおり、そういった社員のモチベーションの維持を考えていく必要があります。

フルタイム勤務を望む人もおり、収入が下がらなくなる政策的な対応のほかに、現場作業や現場設計作業に対する危険なイメージを理由とした敬遠される風潮の払拭を、政策とともに考えていただけるといいなと考えています。

60歳以上は現場に行く前に必ず健康チェックを実施

藤本 労災防止の理由から、何歳以上の人は現場に行けないなどといった会社のルールはありますか。

椎名 年齢制限はつくっていませんが、現場へ行く前の健康チェック、例えば片目をつぶって真っすぐ歩けるかどうかや、片足で立っていられるかどうかなどは、60歳以上の方には必ず実施してもらっています。

また、通常、若手を含めて、社員には出張前の健康チェックを行っており、シートを使って身体面と精神面のチェックを行っています。

藤本 健康面のケアで、こうした政策的な支援があればいいというようなものは思いつきますか。

椎名 今はちょっと思いつきませんが、どういうふうにすればお客様に問題ないと言ってもらえるのか、考えていけるといいかなと思っています。

リクルートエージェントでの活躍の場を広げる取り組み

ジョブの解像度を上げてバリエーションを増やすべき

藤本 では、マッチングをする立場から、まず丸川さんにおうかがいします。

丸川 シニアの方に限りませんが、多様な立場の皆さんが就業しやすいジョブの解像度をちゃんと上げて、バラエティーを増やしていくことがとても大事なのかなと聞きながら感じました。

前半でも述べましたが、エンジニアの職種は比較的わかりやすくスキル化しやすい一方、セールスのような企業特殊性の高いと思われている職種は難しい側面もある。例えば、先ほど樋口さんが福祉業界の事務職についてお話ししていましたが、福祉業界の事務職とは実際、どういう実務なのだろうか、どういう経験が生きるのだろうかといったような、解像度を上げていかないと、「セールス職は難しいよね」で止まってしまうのかなと感じます。

ですので、こういう実務があって、実はここにはこういうやりがいがあるんだよとか、この実務はこういう経験も生きるという具体的な情報を収集し、シニアの方々も活躍しやすい、働きやすいジョブのバリエーションを増やしていくことがとても必要だと思いました。

仕事を切り分ければ専門知識がない人でも働けるようになる

当社で起こっている事例をお話しします。エンジニアリング業界や建設業界は比較的、シニア層の活用が進んでいる業界だと思うのですが、そのなかでも施工管理という仕事は、シニア層の活躍が目立つ職種だと思っています。ただ、なかなか採用は難しいのですが、実は施工管理の仕事の中には、書類を作成し、原価を計算し、それをまとめ上げるという、施工管理の経験がなくてもできる部分がある。業務のレベルで分解すると、実は、事務職の方でもできる部分を切り分けできるという事例が生まれてきています。

シニア層に限らず、週3日で勤務される人や、さまざまな制約がある人でもできるように仕事を切り出して、そのバラエティーを増やすことができれば、シニア層の活躍ももっと進むのかなと思いました。

藤本 そのタスクの切り出しは、貴社が行うのですか、求人する企業が行うのですか。

丸川 すべてのお客様にご提案ができているわけではないのですが、取り組み始めています。すてきな事例があったときに、その事例を抽象化しながら、ほかの企業様にも紹介していくというのが、マッチング機関の1つの役割だと思っています。

産業雇用安定センターでの活躍の場を広げる取り組み

一定の年齢で将来の職業キャリアを展望すべき

藤本 では、岡崎さんからも、シニア層の労働移動、マッチングを有意義に拡大していくために必要なことをお話しいただければと思います。

岡崎 いま、定年が60歳ないし65歳になり、努力義務ですが70歳まで雇用する形になっています。そうしたなかで、それまで働いていた企業でキャリアを終えて、そのまま仕事を辞める方もいるでしょうし、定年を契機に、もう少し違う仕事をしてみたい、あるいは、福祉など違うことをやってみたいという方々もおられます。

そうすると、やはり、ある一定の年齢のときに、自分の将来の職業キャリアをそれぞれの人が考えるという機会がないとなかなか難しい。昔から言われていますが、定年になってからということではなく、50代になったぐらいで、セカンドキャリアについての教育や啓発を各企業でやっていただくということが、非常に有効だと思っています。

年金との関係ですが、年金の額だけをみるのではなく、給与と年金を合わせた総収入を見ましょうという、きちんとした情報提供が必要かなと思います。

シニア層にも活躍してもらわないと社会全体が回らないことを共通認識に

企業側について言うと、やっぱりシニア層にも活躍してもらわないと社会全体が回らないんだということを、企業社会全体である程度共有していくことが必要だと思います。また、若い層と同じような採用や仕事のしかたでは難しいと皆さん指摘されましたが、シニア層が活躍していくためにはどうすればいいのかということを、各企業や各業界で考えていただく。その際に、やはり政府や地方公共団体などがしっかりとした政策を講じていくことが必要ではないかなと思います。

当センターでも、いろいろなマッチング機関を知っていただく努力をしていきたいですし、福祉業界とは、4県でトライアル的に福祉分野を切り出したなかで紹介するような取り組みも行っているのですが、シニア層を活用している業界や職種がいろいろあるという情報を自分たちの経験を含めて整理し、データ提供し、そういうなかでよりよいマッチングを進めていきたいと思っています。

まとめ

シニア層を枯れさせないよう、企業の工夫とマッチングの頑張りに期待

藤本 ありがとうございました。3つの論点について、皆さまから示唆のあるたくさんの意見をいただきました。

今日、お話を聞いて思ったのですが、経験やスキルを持つシニア層が当然のように活躍しているなかで、日本は何かと年齢で区切る傾向があり、60歳や65歳になると、1つのカテゴリーに入れて、まだまだ活躍できる人たちを社会的に損なっているような面があるような気がします。

実は、シニア人材へのニーズはいろいろなところにあり、そうした人たちが活躍できるようにシニア層に目を向けてもらう取り組みが求められます。企業の人事労務管理での工夫とマッチング機関の頑張りがうまく結びついていけばいいと思います。

今日はマッチング機関と企業の方々に登壇いただいたので、個人についての話はしませんでしたが、個人のほうも、前もって自分の強みを意識してリスキリングなどの取り組みや意識改革を行い、国などがそれをサポートすることが必要なのではないか、とも思いました。

いずれにしても、現状のシニアをめぐる雇用体制などによってシニア労働者の活力が失われないようにするために、シニア層の労働移動を通じた就労活用機会の拡大が必要なのではないかとあらためて感じた次第です。以上をもちまして、パネルディスカッションを終了したいと思います。長時間にわたり、どうもありがとうございました。

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