単純平均7,513円、2.73%/国民春闘共闘委員会の第1回賃上げ集計

2024年3月22日 調査部

全労連や中立組合などでつくる国民春闘共闘委員会(代表幹事:小畑雅子全労連議長)は3月15日、2024春闘の第1回賃上げ集計結果を公表した。それによると、13日時点で383組合が回答を引き出し、有額回答のあった228組合の単純平均は7,513円、率で2.73%。額、率ともに1999年以来、25年ぶりの引き上げとなっている。

国民春闘共闘は今春の賃上げ交渉で、統一要求として「月額3万円以上、時間額190円以上、10%以上」の賃上げを掲げている。

加重平均は7,447円、2.52%

第1回賃上げ集計をみると、13日時点で回答を引き出したのは383組合(昨年275組合)。このうち、有額回答は228組合で、単純平均(組合平均)は7,513円、率で2.73%となった。昨年を額で1,118円、率も0.24ポイント上回り、額、率ともに1999年以来、最も高い水準の引き上げとなった。加重平均(組合員平均)では7,447円(前年同期比1,802円プラス)、率で2.52%(同0.45ポイントプラス)となっている。

前年実績と比較可能な209組合についてみると、単純平均は7,476円(前年7,181円)で前年を289円上回っている。一方、率が比較可能な142組合の賃上げ率は2.73%(同2.59%)で、こちらも前年比0.14ポイント増。前年実績を超える回答を引き出しているのは、額で108組合・51.7%、賃上げ率も68組合、47.9%と、約半数程度になっている。

同一産業間で回答水準にバラツキも

各単産の動向をみると、JMITU、化学一般労連、出版労連の計5組合が2万円以上の回答を得ているほか、卸売・小売業、医療、社会福祉・介護関係でも5桁回答がみられるなど、55組合(前年同時期39組合)が5桁の回答を引き出している。その一方で、同一産業間でも企業ごとに回答水準にバラツキが出ているのが特徴だという。

時給引き上げ額は41.4円

一方、非正規労働者の賃上げ状況については、5単産72組合から194件の報告が寄せられている。

時給制では124件の報告があり、そのうち引き上げ額がわかっている105件の単純平均は41.4円(前年度最終集計31.5円)と、昨年の地域最低賃金の引き上げ分(43円)に届かない水準にとどまっている。月給制の引き上げ額は27件の単純平均で5,493円(同4,538円)だった。
再雇用者の賃上げ状況は時給制(23件)で34.4円、月給制(17件)は4,614円となっている。

「最低限必要として求めた要求に遠く及ばない回答」(黒沢幸一事務局長)

国民春闘共闘の黒沢幸一事務局長(全労連事務局長)は会見で、「物価高騰が続くもとで、生活を支えるうえで最低限必要として求めた賃上げ要求に遠く及ばない回答状況。このままでは実質賃金のさらなる低下を逃れられない水準だ」などと指摘。高水準で妥結する大手労組の動きが目立つなか、「高水準といえるのは超大企業だけで、中小企業の賃上げは厳しいもので、二極化する回答結果になっている」と説明した。

非正規労働者の回答状況についても、「低賃金労働者の底上げを図り、雇用間の格差是正を図る姿勢が見られない」などと述べたうえで、「このまま終わるわけにはいかない」と強調。「24春闘はこれからが重要だ」として、「納得いく回答が得られるまでたたかい抜く」姿勢を示した。