賃上げは単純平均で6,678円、2.55%に/国民春闘共闘の春闘中間総括

2023年6月28日 調査部

全労連や純中立労組懇などで構成する国民春闘共闘委員会(代表幹事:小畑雅子・全労連議長)は6月22日、都内でオンラインを併用して第2回単産・地方代表者会議を開き、2023年春闘の中間総括を確認した。5月25日時点の賃上げ集計では、回答引き出し組合の単純平均が6,678円、2.55%。中間総括は、「物価高騰を上回る賃上げには至らず、不十分な妥結水準」としながらも、ストライキ等の闘争戦術の活用で「『労働組合で声を上げれば変えられる』とのビジョンを労働者に示した」ことを評価している。

372組合が435回のストライキを実施

国民春闘共闘の第7回賃上げ集計によると、5月25日までに1,174組合が何らかの回答を引き出している。そのうち、金額もしくは率が明らかになっている有額回答を得た組合は712組合(60.6%)で、「定昇確保」などの言葉による回答を得た組合が462組合(39.4%)となっている。

有額回答を引き出した組合の単純平均(一組合あたりの平均)は6,678円(2.55%)で、前年同期と比べ723円増(0.44ポイント増)となる。一方、組合員一人あたりの加重平均では6,410円(2.25%)となり、前年同期比で981円増(0.24ポイント増)となった。

さらに、前年実績との比較が可能な557組合の単純平均額をみると、金額では6,743円で前年を1,241円上回る。率で対比可能な318組合の賃上げ率も単純平均では2.54%となり、こちらも前年を0.51ポイント上回っている。なお、前年実績を超える回答を引き出した組合は、額で356組合、率では208組合となっている。

2023春闘で国民春闘共闘は、「月3万円以上・時給190円以上(定期昇給相当分込みで10%相当)」の統一賃上げ要求を掲げている。これまでの集計結果について中間総括は、「一部の労働組合を除くと、物価高騰を上回る賃上げには至らず、不十分な妥結水準であることを直視しなければならない」などとしながらも、全国で1,247組合がスト権を確立し、372組合(支部・分会を1組合として換算)が435回のストライキを実施したことから、「『はじめてストライキを打った』『ストライキ学習会を行った』とする組合が多数生まれ、この経験を今後に活かそうとする動きもおきている」と指摘。ストライキ等の闘争戦術をこれまで以上に活用したことで、「『労働組合で声を上げれば変えられる』とのビジョンを労働者に示す意義ある実践となった」と評価している。

非正規労働者の時間額の引き上げは30円台に

非正規労働者の賃上げ状況については、14単産201組合から393件の実績が報告された。

時給制では252件の報告があり、そのうち引き上げ額がわかっている197件の単純平均は30.2円、率では39件の平均で2.95%。前年実績を額で6.9円、率では0.28ポイント上回っている。月給制では58件の報告が寄せられ、引き上げ額は53件の単純平均で4,615円、率では17件の平均で2.68%となった。こちらも前年実績を額(815円)、率(1.02ポイント)ともに上回っている。

また、企業内最低賃金協定の改定状況は、9単産77組合から時間額99件、日額22件、月額28件の報告があがっている。そのうち、時間額の改定では、新協定額の報告があった95件の単純平均が1,044円、日額では同19件の平均8,480円、月額は同24件平均が17万6,338円となっている。

インフレ・生活支援特別手当が増える一方で新型コロナ対策は減少/制度要求調査

一方、国民春闘共闘が6月14日に公表した制度的諸要求獲得状況調査の第2回集計によると、正規労働者の制度的諸要求について、549件の獲得が報告されている。

内訳は、労働時間の短縮関係50件、所得関係95件、両立支援・母性保護28件、労災対策・労働安全衛生21件、新型コロナ対策22件、雇用保障29件、ハラスメント防止2件、諸手当230件など。なお、非正規労働者に関しては152件の報告があり、内訳は休日・休暇関係10件、所得関係4件、両立支援・母性保護6件、新型コロナ対策12件、雇用保障6件、諸手当111件などとなっている。

国民春闘共闘によると、「インフレ手当、生活支援特別手当といった手当や初任給引き上げが多くなっている一方で、新型コロナ対策関係が減少している」という。