統一要求は月額2万5,000円以上、時間額150円以上/国民春闘共闘の春闘方針

2020年1月17日 調査部

[労使]

全労連や中立労組などでつくる国民春闘共闘委員会(代表幹事:小田川義和全労連議長)は1月10日、都内で第1回単産・地方代表者会議を開き、2020年国民春闘方針を確認した。賃上げの統一要求として、月額2万5,000円以上、時間額150円以上の引き上げを求める。産業内・企業内最低賃金は、時間額1,500円以上を目指すこととし、具体的な水準は時間額・日額・月額の各区分の設定も含め、各産別・単組の決定に委ねる。

賃上げ要求額は昨年と同水準

賃上げ要求額は、組合員1万5,407人分を集約した「働くみんなの要求アンケート」に加え、2015年以降の実質賃金の目減り分や消費税増税分などを踏まえて、昨年と同水準の月額2万5,000円以上、時間額150円以上としている。

アンケート結果については、正規労働者の月額賃上げ要求額は、「1万円」(29.6%)、「3万円」(19.0%)、「2万円」(15.4%)の順となり、加重平均額は2万4,517円。一方、フルタイム非正規雇用労働者の月額賃上げ要求額は、「1万円」(28.8%)、「5万円」(17.3%)、「2万円」(14.7%)、「3万円」(14.7%)で、加重平均額は2万2,177円、時間換算で148円となった。また、非正規労働者の時間額の賃上げ要求額は、「100円」(28.7%)、「50円」(16.7%)、「400円以上」(12.8%)、「200円」(12.2%)の順となり、加重平均は139.5円となっている。

賃金の目減り分を取り戻すことが重要

一方、賃金の目減り分については、「働く人々の生活悪化に歯止めをかけ、内需拡大による経済再生への道を切り拓くには、実質賃金低下分の4.4%に定昇相当分の約2%と消費税増税分2%を加えた8.4%の賃上げをめざす」として、厚生労働省の「毎月勤労統計調査」(2019年5月確報)の一般労働者の平均の所定内賃金(31万796円)、時給労働者の平均賃金(1,162円)にそれぞれ8.4%を乗じた金額(月額2万6,107円、時間額97.6円)を算出。そのうえで、「アンケートと実質賃金の目減り分を考慮するとともに、正規雇用労働者と非正規雇用労働者の格差の是正を図る」として、要求額を設定した。

企業内最賃1,500円以上を

産業内・企業内最低賃金については、「(全労連が実施している)最低生計費試算調査等の結果からも、全国どこでも月額22~23万円程度が必要であり、月150時間で換算すると、時間で1,500円程度の賃金が必要」として、時間額1,500円以上を目指すこととした。一方、「現行の産別あるいは企業内の最低賃金額や最低賃金要求額には幅があり、統一して直ちに時給1,500円以上を設定したうえで、日額や月額を設定することは困難」として、具体的な水準は時間額・日額・月額の各区分の設定も含め、各単産・単組の決定に委ねる。なお、最賃に関しては、全国一律最低賃金制度の確立を求める。

連続する11時間以上のインターバル規制を

そのほかの方針では、労働時間規制要求も重視。4月からの改正労基法の中小企業への適用を踏まえ、「新36協定キャンペーン運動」を引き続き推進するとともに、① 時間外労働の上限は週15時間、月45時間、年360時間までとする ② 勤務時間インターバルは24時間について連続する11時間以上とする ③ 深夜勤務、変則勤務、対人労働の場合は労働時間を短縮する――ことを求める。

方針は、回答指定日を3月11日に設定。翌12日をストも含む一斉行動日とする。また、同月末には交渉集中ゾーンを配置する。